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プレミア低迷の昌平はいかにして激戦区・埼玉を制したのか。堅牢を敷く西武台を振り切って“不敗神話”を継続!【総体予選】

プレミア低迷の昌平はいかにして激戦区・埼玉を制したのか。堅牢を敷く西武台を振り切って“不敗神話”を継続!【総体予選】


 全国高校総体(インターハイ)埼玉予選は6月14日、NACK5スタジアムでプレミアリーグEASTの昌平、プリンスリーグ関東2部の西武台による3年連続同一カードの決勝が行なわれ、昌平が2-1で競り勝ち、3大会連続7度目の優勝を遂げた。決勝には7度進んで7連勝、不敗神話を継続した。本大会(7月25日~8月1日・福島県)出場も3大会連続7度目となる。

 今年の昌平はともにJリーグに進んだMF長璃喜(川崎)やMF山口豪太(湘南)のような豪傑が不在。中断中のプレミアリーグEASTでの得点は4番目に少なく、失点は7番目に多い数字が示すように12チーム中10位と低迷している。

 197センチの大型GK土渕璃久(3年)が初戦5日前の練習中、右手首の舟状骨を骨折。昨季終盤から頭角を現したボランチ工藤敦士(3年)も怪我で戦線離脱中だ。故障者や怪我から復帰して間もない主力を多数抱えたことで、3試合とも先発の陣容が違った。

 この日は今大会初先発の古川雄規(3年)がCBに入り、体調不良で準決勝を休んだ主将のMF飯島碧大(3年)も戦列に戻り、右と左の2列目を交互に担当。持ち前の軽やかなドリブルで敵陣に顔を出した。

 4-2-3-1の陣形から、ポジションにとらわれぬ流動的な動きでアタック。序盤は長いキックも使いながら、ドリブルと短いパス交換を織り交ぜて敵の守備の急所を探った。エースFW立野京弥(2年)とその周辺を往来するMF島田大雅(3年)が、どん欲にゴールを狙った。
 
 ただ芦田徹監督が「ボールを持つゾーンを整理し、ペナルティーエリアまで運んでやり切るシーンを増やしたかったのですが、前半は攻め急いでしまった」と振り返ったように、相手の守備組織を崩壊してから決定機に持ち込む場面は少なかった。西武台の出足の良さとタイトな応対、チャレンジアンドカバーが行き届いていたことも理由のひとつだ。

 昌平は前半2分、右サイドで敵ボールを奪取した立野から島田につないでシュート。左2列目の松本太佑(2年)がDFに当たったこぼれ球を打ったが、これもDFにブロックされ最初の絶好機を取り逃がした。12分には左CKのクリアボールを立野がヘディングシュート。決まったかに見えたが、西武台のGK福田晋作(3年)の好守に阻まれる。立野は16分にも決定打を放ったが、これも福田に阻止された。

 戦況に応じて知恵を絞り、工夫も施した。前半20分過ぎから飯島と松本のポジションを入れ替えたのだが、芦田監督は「飯島のほうが左から行ける感じがした」と説明。結果論だが松本を右で起用したことで、先制点が生まれている。

 6大会ぶり9度目の優勝を狙った西武台は、初戦の3回戦から3試合連続無失点の堅陣だ。J1クラブの練習にも参加したCB唐﨑将(3年)を軸に、アンカー阿部貴史(3年)が加勢して守備ユニットを編成。シュートに対して出足鋭く身体を預けてブロックし、危機を防いだ。

 前半の40分間は我慢比べの持久戦。昌平の決定打が身体を張った守りに防御されれば、西武台の一撃はほとんどが枠を外したもの。手堅い内容で前半を終えた。
 昌平が勝負のセカンドハーフで先手を取った。19分、島田と立野を経由し右でパスを預かった松本が逆サイドのネットに先制点を蹴り込んだ。松本はこの10分前にも、同じ場所から同じ角度に際どいシュートを放っていた。

 松本と飯島は31分から、前半キックオフと同じポジションに戻したが、これが図に当たった格好だ。ボールを受けた松本がキックフェイントでマーカーをかわし、今度は左から左足で決勝点を突き刺した。

 指揮官は「自分を高めようと相当練習しています。判断など未熟なところはありますが、強みでもあるキックの良さがゴールにつながりましたね」と賛辞を送り、フルタイム稼働したファイトをねぎらった。

 トーナメント戦での得点は初めてと大喜びする当人は、「結果を出すには練習が一番大切なので、練習は大好きです」と声を弾ませる。初戦の準々決勝と準決勝は左SBで先発し、この日は左の2列目でスタート。「サイドバックは運動量を活かした攻撃参加ができますし、2列目は得意のドリブルで仕掛ける楽しみがあります」とPRする。

 昌平の下部組織である中学生年代の街クラブ、FC LAVIDAから昇格。J1クラブの練習を経験した勝利の立役者は、「インターハイはまずベスト8が目標。自分が活躍して注目され、将来はJリーグでプレーしたい」と終始ご機嫌だった。

 西武台は40分、主将のボランチ髙橋祐輔(3年)が途中出場のMF金子修(3年)の絶品右クロスをダイビングヘッドで決めて1点差。しかし4分あった追加タイムに好機は到来せず、決勝では昌平に3連敗を喫した。
 
 怪我の土渕に代わり、初戦からゴールマウスを守ってきたのがGK服部瑞希(3年)だ。「こんな大舞台は初めての経験なのでちょっと緊張しましたが、親友の土渕をはじめ仲間や家族など、応援してくれる人たちのことを思ったら平常心で臨めました」と、1失点に悔しさをのぞかせながらも3連覇を喜んだ。

 この日はその土渕の18歳の誕生日。「試合前にメッセージを送りましたが、優勝できたことが何よりのプレゼントです。インターハイにも出られたら、武器であるビルドアップで得点につなげたい」と笑顔が絶えなかった。

 昨春就任した芦田監督は、昌平でインターハイの指揮を執るのは2度目だ。「この夏が大きく成長する時間と考えた時、インターハイに向けた準備と戦いはチームの成長につながります。それを思うと優勝できたのは大きい」とタイトル獲得の意義を強調するとともに、プレミアリーグでの巻き返しにも手応えを掴んだようだ。

取材・文●河野 正
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配信元: SOCCER DIGEST Web

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