サッカーW杯で日本代表がオランダ戦に奮闘して沸き上がった一方で、アメリカのトランプ大統領が「イランとの戦闘終結に向け合意が終了した。ホルムズ海峡は通航料なしで開放される」とSNSに投稿。和平合意が大きく動き出す気配だ。
しかし、この投稿前の6月13日、やはりSNSに何の説明もないまま、北朝鮮の金正恩国務委員長とのツーショット写真を掲載した。これが世界中に、様々な憶測を飛び交わせることになった。軍事アナリストが言う。
「掲載写真は2018年、シンガポールでの第一回目となる米朝首脳会談時の散策ツーショットです。イラン紛争終了後、トランプ大統領が北朝鮮と再度、非核化交渉を開始する、というシグナルではないかとされています」
トランプ大統領と金委員長の再々会談の話は、第二次トランプ政権が始まった当初からくすぶっていた。現実味を帯びたのは今年5月14日から15日、トランプ大統領の訪中時だ。帰国途中、トランプ大統領が朝鮮半島に立ち寄るのではないか、との情報が駆け巡った。だがそれは実現せず。そして今回の写真投稿だ。
「非核化への話し合いの一方で、もし会談が決裂したならば、トランプ大統領は今年1月にベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、2月にはイラン戦争で最高指導者ハメネイ師暗殺したのと同様の仕掛けをするのではないか、と囁かれています」(朝鮮半島諜報関係者)
ただし、これには懐疑的な見方がある。
「ウクライナへの軍事援助やイラン戦争で多くの弾薬とミサイルを消耗したアメリカは今、北朝鮮に何か仕掛ける余力はありません。北朝鮮との話し合いでもし、少しでも譲歩させれば、中間選挙にプラスになると読んでいることでしょう」(前出・軍事アナリスト)
ウクライナ戦線「徴兵逃れ」の「ワイロ」が横行
この写真投稿の折、イギリスBBCとロシア独立系メディア「メディアゾナ」などが調査したところ、ロシア支援のためウクライナ戦線に投入された北朝鮮兵士の死者数が2304人に上る、との報道があった。
ロシアと北朝鮮は2024年に軍事同盟、いわゆる新条約「包括的戦略パートナーシップ条約」を結んだ。ロシアにしてみれば、ウクライナ戦線での慢性的兵力不足を北朝鮮兵で埋めることができる。さらに北朝鮮からは、弾薬を調達。
北朝鮮への見返りは、ミサイルなどへのロシアの軍事技術を吸収させることと、外貨獲得だ。特に外貨においては、武器弾薬と派兵によって北朝鮮が得た収入は、日本円で約3兆円になるという。
だが、先の朝鮮半島諜報関係者が指摘するには、北朝鮮国民の間では、金委員長周辺は潤っても、自分たちの生活は変わらず苦しい上に、自分の息子がウクライナで死体になる可能性が高まったことへの不安がある。ひいては、政権に対する不満が溜まり始めているというのだ。
そのため、金委員長は戦死者を「国の英雄」と顕彰、遺族に高級住宅や高額年金などを支給し、その不安と不満解消に躍起になっている。
一方で徴兵逃れのため「トンチュ」と呼ばれる新興富裕層らが中心となり、北朝鮮の軍幹部への賄賂が横行している、との情報がある。さらには金委員長が次期体制を睨んで娘の金ジュエ氏を祭り上げる動きに対し、北朝鮮の権力エリート「赤い貴族」、そして実妹の金与正党宣伝扇動部副部長の反発が噂される。
もちろん、こうした情勢はアメリカCIAも把握し、トランプ大統領にも届いている。これらを踏まえてイラン戦争終結後、トランプ大統領は対北朝鮮でどう動くのか。
(田村建光)

