
「これが3日前に主将が交代したチームなのか」オランダ戦で目にした日本代表の“驚きの光景”――森保監督の“ひどい決断”がもたらした意外な効果【担当記者コラム】
[北中米W杯]日本 2-2 オランダ/6月14日/ダラス・スタジアム
「これが3日前に主将が交代したチームなのか」
強豪オランダと2-2で引き分けた日本代表の北中米ワールドカップ初戦を取材し、そう感じた。
試合の3日前、森保ジャパンに激震が走った。主将の遠藤航が怪我のために離脱したのだ。新キャプテンには板倉滉が任命され、FWの町野修斗が追加招集された。
今年2月に左足リスフラン靭帯断裂の重傷を負った遠藤は、懸命のリハビリを経て、5月31日のアイスランド戦で実戦復帰を果たした。だが、左足に違和感を覚えて前半のみで交代。モンテレイでの事前合宿では別メニューが続いていた。
100パーセントの状態でプレーできないと判断し、メンバー入れ替えを決断した森保一監督は、遠藤に「ひどいことを伝えた」と吐露した。苦渋の選択だった。
試合直前のキャプテン交代だ。動揺がないわけがない。その日の取材対応では、目に涙を溜める選手もいた。
だが、新キャプテン板倉の下で、もう一度団結した。「史上最強」と言われる今の日本代表は、力があるが故に、失点すると茫然として、ピッチ上で誰かがチームを奮い立たせるようなシーンが少なかった。だが、この日は円陣を作り、気持ちをひとつにした。驚きの光景だった。
試合に出なかった板倉に代わってゲームキャプテンを務めた堂安律は、その内容についてこう明かす。
「やはり2点差にならないことが非常に大事なので。2点差にならなければ、今日みたいに最後の5分で、必ず相手チームはメンタリティ的に引くので。押し込める時間があるというのはカタール(W杯)の時から僕たち自身わかっていたことですし。それを試合前から準備できていたことが大きかったですし。チームの約束事じゃないですけど、失点した後、得点した後、集まろうという話をしていたので。ポジティブにやれたと思います」
そう決めていても、重要な先制点を入れられれば、肩を落とすものだ。それでも、落ち着いて確認し合い、反撃に出た。キャプテンが代わったばかりのチームと思えなかった。いや、リーダーがいなくなったからこそ、気持ちをひとつにする必要があると感じたのだろう。
板倉は「失点した時、点を決めた時、給水タイム、そういう区切り区切りで、ちゃんと話し合うところは、チームとしてやろうという話をしていた」と語る。
まだ1試合だが、議論を呼んだ森保監督の決断は、結果的に奏功するかもしれない。もちろん遠藤が悪かったという意味ではなく、チームを改めて同じ方向に向かせるきっかけになったという意味でだ。
取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部/現地特派)
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