
横浜での歓喜から24年、セレソンの優勝は今回も難しそうだ。一番の問題点は?「現実的なのは次のW杯」「エンドリッキが希望」【ブラジル人記者の視点】
サッカー王国の覇権奪回は難しそうだ――そう思わざるを得ない初戦だった。
カルロ・アンチェロッティ監督が率いるブラジル代表は、日本時間6月14日に北中米W杯のC組1節で、モロッコ代表と対戦。21分に先制を許した後、32分にヴィニシウス・ジュニオールが個の力で同点弾を挙げて追いつくも、勝ち越し点は奪えず。1-1のドロー発進となった。
C組の1位は日本がいるF組の2位、C組の2位はF組の1位と対戦するなかで、解説を務めた田中マルクス闘莉王氏は「ブラジルと当たった方が、日本が上がっていく可能性が高いんじゃないかな。(モロッコの方が)やりにくい」と言い放った。
辛口コメントを連発した闘将はまた、「やっぱチームとして戦わないと。個に頼るところが多すぎる。もう少しチームとして戦わないといけない。ちょっと人任せにしているところが多い」とも伝えた。
そしてブラジル人記者のチアゴ・ボンテンポ氏も同じ意見だ。大会開幕前に「今のブラジルは、私が1994年から代表をフォローしている中で最も悪い状況だ」と口にしていた同氏は、「モロッコの方が良い試合をした。引き分けで御の字。祝うべき1ポイントだ」と切り出し、次のように語った。
「選手個々の力は強いが、チームとしてはまだ弱い。例えば、ラフィーニャが多分、今一番話題になっている。『ブラジル代表のレベルではない』『外すべき』という批判が多くあるが、彼はバルセロナではいつも活躍している。ヴィニシウスもレアル・マドリーでは活躍しているが、この試合ではスーパーゴールを決めたとはいえ、ミスが多かった。
ルーカス・パケタもパスミスが目立ち、カゼミーロは動きが遅く、マークもルーズだった。2人のセンターバック(マルキーニョスとガブリエウ・マガリャンイス)も失点シーンのマークが良くなかったし、右サイドバック(ロジェール・イバニェス)も苦しんでいた。問題点がたくさんあったね。
センターフォワードのイゴール・チアゴは多分、一番悪かったね。ビッグチャンスを外し、闘莉王が『ブラジル代表のセンターフォワードなら、このようなチャンスを外すわけにはいかない』と批判していた」
ハーフタイム明けにカゼミーロとイバニェスを下げ、ファビーニョとダニーロを送り込むなど、後半に選手を次々に入れ替えた。「アンチェロッティが選手交代をしてからはチームが良くなった」と見ているボンテンポ記者は、最大の問題点を明らかにした。
「クラブレベルの活躍を代表でできないのが一番の問題だ。なぜヴィニシウスやラフィーニャはクラブのように活躍できないのか。そして、なぜ次世代のエース候補エンドリッキを使わないのか。モロッコでは18歳のボランチ、アユブ・ブアディがMVP級の活躍をしていたが、ブラジルは同じような年齢のエンドリッキをプレーさせない。アンチェロッティはまだ彼をそんなに信頼していない。
問題点は多いが、少しチームを変えればここから良くなると思う。ただ、ワールドカップで優勝するのはとても難しいだろう。現実的なのは次のワールドカップだ。アンチェロッティが就任してからまだ1年だし、チームとしての完成度が低いのが今の問題だ」
電撃的なW杯メンバー入りしたネイマールは、右ふくらはぎの問題を抱え、モロッコ戦を欠場した。コンディションが不透明な背番号10に過度な期待はできない。
「ネイマールはとにかく怪我の問題が多い。いつ試合に出られるのか誰にも分からない。次の試合も難しいかもしれない。今のレベルでチームに貢献できるかは微妙で、期待しているのはエンドリッキだ。彼が今のブラジルの一番の希望だと思う」
2002年に横浜でトロフィーを掲げて以来、24年ぶりの世界制覇を目指すセレソンは、この後20日にハイチ、25日にスコットランドと相まみえる。34歳の重鎮ネイマールと19歳の逸材エンドリッキの出場はあるだろうか。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
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