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今年の宝塚記念は“青天の霹靂”…メイショウタバルを後押しした恵みの雨に武豊騎手が漏らした言葉「天国から松本会長が降らせてくれたのかな」

今年の宝塚記念は“青天の霹靂”…メイショウタバルを後押しした恵みの雨に武豊騎手が漏らした言葉「天国から松本会長が降らせてくれたのかな」

6月14日、上半期の総決算となるファン投票レースの宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)が行なわれ、2番手から抜け出した単勝2番人気のメイショウタバル(牡5歳/栗東・石橋守厩舎)が、追いすがる1番人気のクロワデュノール(牡4歳/栗東・斉藤崇史厩舎)をクビ差振り切って優勝。史上3頭目となる2連覇を達成した。

 3着には後方から内を通って追い込んだ3番人気のダノンデサイル(牡5歳/栗東・安田翔伍厩舎)が入着。逃げた8番人気のコスモキュランダ(牡5歳/美浦・加藤士津八厩舎)が入り、そこから5馬身離された5着に10番人気のタガノデュード(牡5歳/栗東・宮徹厩舎)が追い込んだ。

 一方、4番人気に推された昨年の有馬記念(GⅠ)勝ち馬のミュージアムマイル(牡4歳/栗東・高柳大輔厩舎)と、GⅠレース3勝馬で5番人気のレガレイラ(牝5歳/美浦・木村哲也厩舎)は、それぞれ9着と7着に沈んだ。
 「『前触れなく突然に生じて人を大いに驚かせるような衝撃的な事件や出来事のこと』や『突然の知らせを受けた際の大きな衝撃のこと』を意味する表現」(新語時事用語辞典より)

 これは中国の故事成語『青天の霹靂(へきれき)』の語句説明だが、今年の宝塚記念はこの言葉にぴったりの出来事が起こった。

 出走各馬がパドックでの周回を終え、騎手を背に地下馬道を歩いていたときのことだ。空はにわかに掻き曇り、バケツを引っ繰り返したようなゲリラ豪雨が阪神競馬場を襲った。返し馬は激しい雨のなかで行なわれ、馬場状態の発表は、それまでの『良』から『稍重』を飛ばして一気に『重』まで悪化したのだ。

 メイショウタバルに乗った武豊騎手はレース後、「(突然降った雨は)嫌な気持ちではなかったです。おそらく、天国から(元オーナーの)松本(好雄)会長が降らせてくれたのかなと思いました」と感慨深げにコメントしたように、この雨は昨年の本レースを稍重馬場で力強く逃げ切っているように、道悪に絶対的な自信を持つメイショウタバルにとって、まさに恵みの雨となった。 降り続く雨のなかでゲートが開くと、レース前から逃げると決めていたコスモキュランダが機先を制し、メイショウタバルはそれに続く2番手。クロワデュノールはそれを前に見る5番手付近に付け、ミュージアムマイルがそれを追走した。レガレイラは後方の11番手、タガノデュードは最後方の18番手を進んだ。

 1000mの通過は1分00秒3と、馬場状態を考慮するとかなり速い。それでもコスモキュランダは果敢に逃げ続け、そこからメイショウタバルが数馬身離れた2番手で折り合って進む。第3コーナー過ぎからややペースが上がり、メイショウタバルはコスモキュランダとの差を詰めながら直線へと向いた。

 コスモキュランダが粘るが、直線の半ばでそれを交わしてメイショウタバルが先頭に躍り出る。それをクロワデュノールが追いかけるが、なかなか差は詰まらない。結局、道悪馬場を味方にして力強く駆け抜けたメイショウタバルがクロワデュノールをクビ差抑えて2連覇の栄冠を掴んだ。
  レース後、武豊騎手は、「競馬だから何があるかわからないので、いろいろ柔軟に考えていこうと思っていました。馬も2番手で我慢してくれていい形だったので、非常にいいリズムで走ってくれました。(クロワデュノールが迫ってきて)今日はやめてくれ!という気持ちで追っていました。昨年から乗せていただいていて、僕が乗った中では、今日が一番の状態や強さを感じたので、スタッフ一丸となって、良い仕上げをしてくれたと思いました」と振り返り、ただ道悪に恵まれただけの勝利ではないことを強調。そして「胸を張ってフランスへ行けると思います」と、凱旋門賞(GⅠ)へ参戦するプランを明かしてコメントを締めた。

 武騎手の言葉のとおり、この日のメイショウタバルの締まった馬体はパドックでもひと際目立っており、また同時に、これまでにはない落ち着きを感じさせる絶好の出来だったように見受けられた。昨秋は凡庸なレースが続いて宝塚記念の勝利をフロック視する向きもあったが、大阪杯(GⅠ)の2着で復権の足掛かりを掴み、今回の勝利で再びトップオブトップを形成する1頭であることを証明したと言えるだろう。あらためて申し述べるまでもないが、2番手で折り合わせて絶妙なタイミングでスパートをかけた鞍上の巧みな手腕が流石のひと言である。 大阪杯、春の天皇賞(GⅠ)を制して、史上初となる春の古馬中長距離GⅠ完全制覇に臨んだクロワデュノールは負けて強しの競馬。春2戦の疲労を不安視するものも少なからずいたが、馬体に大きな変化は見られず、反動に関する疑問は杞憂だった。今回の負けはやはり馬場適性の差にあったと言っていいだろう。クロワデュノールは今年凱旋門賞への再参戦はしないとの方針であるため、他の海外レースへの参戦がなければ、秋のGⅠシリーズを引っ張る存在となり続けていくだろう。
  3着のダノンデサイルは1、2着には離されたが、自分の競馬に徹して3着まで追い込んだ。同じく、4着のコスモキュランダ、5着のタガノデュードも現状での力は出し切ったように思う。道悪にならなければ差は詰まったかもしれないが、上位2頭には及ばなかったのではないだろうか。

 7着のレガレイラと9着のミュージアムマイルは両者とも昨年の有馬記念以来の実戦。プレビュー記事で「本レースの過去10年で、レース間隔が3か月以上開いた馬で馬券圏内に突っ込んできたのは、2023年2着のスルーセブンシーズのみ」と指摘し、積極的に推すことはできないと評した。もちろん道悪の巧拙の問題はあるにしろ、やはり順調にレースを使えたかどうかというステップの順調さについて、他の有力馬と比べると少なくない差があったのだろう。秋の復活に期待したい。

 最後に、競走中に発症した疾病で命を落としたマイユニニバース(牡4歳/栗東・武幸四郎)の冥福を祈ります。

文●三好達彦

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配信元: THE DIGEST

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