旧いハーレーは、ドコトッドコトッと、不規則なアイドリングを奏でる。この独特なリズムが「3拍子」と呼ばれているものの正体。2気筒エンジンなのに、3拍子という奇数の鼓動を奏でるというのは不思議な話だが、これは45度Vツインというレイアウトに加え、2つのピストンが1つのピンでクランクに連結されていることが原因。つまり、前のシリンダーが爆発した時と、後ろのシリンダーが爆発した時とでは、クランクが回転する量が異なる上に、前後でクランクを回す抵抗も違うため、低回転になるほど、その回転スピードが速くなったり遅くなったりがハッキリとわかり、3拍子風に聞こえるというワケだ。さらに回転慣性が大きな重いフライホイールや、極低回転でも追従する点火システムも影響するため、それらをすべて備えていた旧車は自然と3拍子を奏でやすかったのだ。
変則的に爆発するヒミツは“45度Vツイン”にアリ!!
45度という狭い角度のVツインで、1つのピンで前後のピストンをクランクに連結しているため、独特な爆発間隔になる。また前後でクランクを回転させる量や抵抗が異なるため、回転スピードが速くなったり遅くなったりを繰り返し、低回転ではそれが顕著になる。

3拍子を奏でるその他の要因
ロングストローク
ピストンが上下する距離を「ストローク」、シリンダーの内径を「ボア」という。ボアよりもストロークの数値が大きいと、独特な鼓動感を生み出す要因になるのだ。
点火システム
ショベルに採用されていた「ガバナー」という進角装置は、クランクの遠心力を利用しているため、回転に合わせて点火する。そのため低回転時の不規則なリズムにも追従するのだ。
重いフライホイール
45度Vツインは変則的に爆発するため、低回転では特にクランクの回転がギクシャクしがち。回転が低ければエンストしやすくなるのだが、それを助けているのが重いフライホイール。大きな慣性力によって低回転でもゴロンゴロンと回り続けるのだ。
ノーマルで3拍子が出るのはショベルヘッドまで!

年を追うごとに軽量化されたフライホイール
低回転になるほどエンストしやすくなる45度Vツインだが、それを助けていたのが重いフライホイールだ。クランクの回転慣性を増すことでエンストしにくい粘り強い特性とした。しかし、高回転型へと移行する過程で軽量化されていったのだ。

現行ハーレーは何で3拍子が出ないの!?

600回転までアイドリングの回転数を下げれば3拍子になるのだが、現代のハーレーは点火タイミングが電子制御されていてアイドリング時から早めに点火するように設定されているため、回転数を下げるとタイミングが合わずエンストしてしまうのだ。

ミルウォーキーエイトのアイドリングは800〜850回転。

ツインカムのアイドリングは1000〜1100回転。
(出典/「CLUB HARLEY 2026年6月号」)