現在開催中の男子テニスツアー公式戦「HSBC選手権」(6月15日~21日/イギリス・ロンドン/ATP500)のシングルス予選1回戦で敗退した元世界ランキング21位のダニエル・エバンス(イギリス/現244位)が、試合後のメディア対応で自身に本戦ワイルドカード(主催者推薦/以下WC)が付与されなかったことについて、複雑な感情をのぞかせた。
36歳のエバンスは11日に自身のSNSを通じ、月末に開幕する今季3つ目の四大大会「ウインブルドン」(6月29日~7月12日/イギリス・ロンドン/芝)を最後に現役を引退すると発表した。身長175センチと小柄ながら、鋭いバックハンドのスライスを軸とした多彩なプレーを武器にツアー通算2勝を挙げ、2023年には世界ランキングで自己最高となる21位を記録。長年にわたり英国男子テニス界を支えてきた功労者だ。
そうした実績に加え、昨年のHSBC選手権ではベスト16に進出していたこともあり、最後の出場となる今大会では本戦WCが与えられるとの見方もあった。しかし今回はジャック・ピニントン・ジョーンズ(現147位/23歳)、アーサー・フェリー(同140位/23歳)、トビー・サミュエル(同144位/23歳)の3名の若手英国人選手に与えられ、エバンスには予選WCを付与。エバンスは現地14日の予選1回戦で元37位のマルコス・ギロン(アメリカ/現86位)に5-7、6-2、1-6のフルセットで敗れ、本戦進出を逃している。
その後エバンスは、今大会の本戦WC付与を巡る決定について率直な思いを口にした。不満をにじませながらも、自身ではなく若い選手たちが選ばれたことについては一定の理解を示し、主催団体である英ローンテニス協会(LTA)の判断を強く批判することは避けた。
「もし本戦ワイルドカードをもらえていたらうれしかったけど、僕は予選に回ることになった。イギリス人選手が母国の大会でワイルドカードを獲得できる制度自体は良いものだとは思う。ただ、十分に長い期間、祖国のために尽くしてきたのだから、最後のクイーンズ(開催地の名称)でそういった待遇を受けられるかもしれないと期待するのは自然なことだろう」
「昨年はこの大会でベスト16だったこともあって、LTAが本戦ワイルドカードを与えてくれなかったことには少し戸惑った。もし本戦から出場できていたら、準備のためにあと数日は余裕ができて大きな助けになったと思う。でもそれを決める権利は主催側にある」
一方で、計8枠与えられる聖地ウインブルドンのシングルス本戦WCについては期待を隠さなかったエバンス。16日には6名の獲得者が発表されたが、そこに彼の名前はなかった。
6名の顔ぶれは、グリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/元3位/現169位)と今季限りで引退するスタン・ワウリンカ(スイス/元3位/現111位)の他、イギリス勢ではジェイコブ・ファーンリー(24歳/元49位/現130位)、ピニントン・ジョーンズ、フェリー、サミュエルとなっている。エバンスのメインドロー入りは、後日発表される残り2枠に託されることとなった。
文●中村光佑
【画像】今年のウインブルドンを最後に引退することを発表したエバンスのインスタグラム投稿
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