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“三笘ロス”は日本だけのものではなかった。壁画に描かれているのは、その不在を惜しむ作品であるかのようだ【W杯戦記】

“三笘ロス”は日本だけのものではなかった。壁画に描かれているのは、その不在を惜しむ作品であるかのようだ【W杯戦記】


 現在取材で訪れているアメリカでは、4大ネットワークのひとつ、FOXがワールドカップを中継している。

 ただし、同局が持つケーブルテレビのチャンネルでは全試合を中継しているものの、地上波のチャンネルでは、すべての試合が見られるわけではない。

 ダラスで滞在しているモーテルの部屋では、地上波しか見ることができないため、見られない試合もあるのだが、それでも試合中継がない時には、ニュース番組がワールドカップ一色と言ってもいいくらい、ピッチ内外の様々な情報を伝えてくれる。

 おかげで部屋にいる間は、テレビがほぼつけっぱなしという状態である。

 先日、そんなテレビを見ていて、思わず、「おい、おい!」とツッコミを入れたくなるシーンに出くわした。

 ニュース番組のなかで、日本対オランダの放送予定が伝えられた時のことだ。

 日本風に言えば、「日本対オランダの試合は、明日14時45分、ご覧のチャンネルで放送します!」といった類のものと思ってもらえば分かりやすいだろう。
 
 放送時間を伝えるアナウンスとともに、画面に表われたのは、左右に並べられた日本とオランダの選手の写真。画面中央には放送時間とチャンネル名が分かりやすい大きさで記されていた。

 そこにオランダの顔として映っていたのは、キャプテンのフィルジル・ファン・ダイク。これは妥当な人選だろう。

 では、日本は誰だったのか。

 ファン・ダイクの写真と並んでいたのは、なんと三笘薫だったのである。

 初戦直前にメンバー外となった遠藤航ならともかく、そもそも登録メンバーに入っていない三笘をなぜ選んだのだろうか。

 そんな疑問は、もちろんある。

 だが、裏を返せば、三笘は誰もが知る日本の顔として認識されている、ということでもあるのだろう。三笘が登録メンバーに入っていないと知りながらでも、写真の差し替えをためらわせるほどに。

 ダラスで“三笘ロス”を目の当たりにしたのは、この時だけではなかった。

 ダウンタウンの一角にある、人気の飲食店が立ち並ぶエリア。この一帯にはレンガやコンクリートの壁を利用して、あちらこちらにウォールアートが施されているのだが、ワールドカップ期間中の現在は、サッカーに関するもの、特に出場国をテーマにしたものが数多く描かれている。

 公式ボールや各国のエンブレム、選手で言えば、リオネル・メッシやネイマール、珍しいところではヨルダンのエース、ムーサー・アル・タマリも見つけることができた。

 もちろん、日本に関するものもあった。

 殺風景な駐車場を取り囲む壁に、漢字の「日本」の文字とともに描かれていたのは、これまた、三笘なのである。

 三笘とともに描かれているのは、鎌田大地だろうか。GKグローブをつけているようにも見えるので、他の誰かかもしれないが、いずれにせよ、どう見てもメインは三笘。この壁画の企画者、あるいは作者は、日本の顔として三笘を選び、時間をかけて描いてくれたに違いない。今となっては、三笘の不在を惜しむ作品であるかのようだ。

 試合中に負傷した三笘のワールドカップ出場が叶わなくなった時、日本のサッカーファンは誰もがショックを受けたに違いない。

 だがしかし、三笘ロスは日本だけのものではなかった。

 日本から遠く離れたアメリカの地で、改めて三笘の存在の大きさを感じるとともに、彼がワールドカップの舞台に立てないことを残念に思うのである。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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