北中米ワールドカップで大会屈指の優勝候補と目されている欧州王者のスペイン代表が、現地時間6月15日、アトランタで行なわれたグループH初戦で、初出場カーボベルデを一方的に攻め立てたものの0-0の引き分けに終わり、世界に“悪い意味での”驚きを提供した。
27本ものシュートを40歳のGKヴォジーニャに浴びせながらも、一度もゴールネットを揺らせずに終わった後、「ラ・ロハ」のルイス・デ・ラ・フエンテ監督は「全員が改善しなければならない。私がまず、その最初だ。解決策は、同じ考え方を貫くことだ」と反省を述べた後、見事に守り切って勝点1をもぎ取った対戦相手を「非常に組織的なチームだった」と評し、「極端に低いブロックを敷かれると、スペースを作るのは難しい。十分なチャンスは創ったが、最後のところの精度と冷静さが欠けた」と自チームのプレーを振り返った。
指揮官はまた、ベンチスタートとなったラミン・ヤマルとニコ・ウィリアムスの両アタッカーについて、「徐々に出場時間を与え、リズムを取り戻させたい」と説明。そして、改めて「我々は32試合負けていない、信頼できるチームだ。この大会はまだ長い。頭の中では、あと7試合残っている」と楽観的な姿勢を示している。
これに対し、国内メディアではマドリードのスポーツ紙『MARCA』がこの試合を「アトランタで起きたスポーツ界の奇跡」と表現し、スペインについて「最悪のスタート」「サッカーもアイデアも、解決策も失った別のチームになっていた」と酷評。「まるで、近所のスポーツセンターの友人が、全盛期のラファエル・ナダルを倒したような出来事だった」と、自国のレジェンド・テニスプレーヤーを引き合いに出してその衝撃の大きさを強調した。
同メディアは、スペインが過去17回のW杯出場のうち、初戦に勝利したのはわずか5回だけであり、今回で12度目の「初戦未勝利」になったと紹介。「優勝候補の中で最も大きなダメージを受けた国」と断じた。その衝撃は「ブラジルがモロッコと1-1で引き分けこととは比べ物にならない」とし、「グループ最弱と見られていた相手への躓きによって、今後の計算が全て狂った」と嘆いた。
一方、同じマドリードのスポーツ紙『as』も、「“大爆発”ならぬ“大失態”」と題した記事で、「AIによる優勝予想では最有力視されていた国が、カーボベルデ相手に無得点に終わった」と皮肉を込めてレポートを綴り、「魂が抜けていた」「不安だけを残した引き分け」と評し、74.2%のボール支配率、27本のシュート、2.29のゴール期待値、801本のパスという圧倒的な数字を残しながらも得点に結びつけられなかった事実を問題視している。
そして、「選手たちは焦りから同じスペースに集まり、ボールを追いかけていた。それを『不安』と言う」と指摘。ヤマル投入後は流れが変わったものの、それについても「5000万人近い国の期待を18歳の少年ひとりに背負わせる状況になっていた」とネガティブに捉えた。
スペインの日刊紙『El País』は、「カーボベルデがスペインの風船をしぼませた」と伝え、「デ・ラ・フエンテ監督による『カボベルデは、この大会最大のサプライズになるだろう』との試合前の予言は、初戦から的中した」と記述。「スペインがボールを支配し続けながらも、カーボベルデの粘り強い守備網に完全に封じられた」と振り返り、「欧州王者は突然、エンジンが止まったようだった」「大会屈指の優勝候補が、新参者相手に無得点で終わった」と驚きを示している。
バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、地元バルサのスターを中心にした論調を展開。「ヤマルがいなければ、これほど酷い」と見出しを打ち、「スペインは『悪かった』のではない。そもそもプレーしていなかった」と切り捨て、ヤマルがガビとの交代でピッチに登場するまでの70分間を「歩いていただけだった」と酷評した。
「ロドリは精彩を欠き、ファビアン・ルイスも本来の姿ではなく、マルコス・ジョレンテも攻撃参加できなかった」と分析した同メディアは、「その中で唯一の希望となったのがヤマルであり、2か月近く実戦から離れていたにもかかわらず、20分間で他の選手全員を合わせた以上の危険を生み出した」と称賛している。
この結果は、当然ながら国外でも大きな反響を呼び、フランスのスポーツ紙『L’EQUIPE』は「深刻な問題」、ドイツの日刊紙『Bild』は「群島国家がスペインに恥をかかせた」、ポルトガルのスポーツ紙『A Bola』は「歴史的だ」、アルゼンチンのスポーツ紙『Ole』は「歴史的なサプライズ。スペインはカーボベルデに勝てなかった」、そしてウルグアイのスポーツ紙『Ovacion』は「ヴォジーニャが歴史的勝点をカーボベルデにもたらした」と、それぞれ伝えた。
スポーツ専門チャンネル『ESPN』も、この試合を「誰も予想しなかった結果」と総括したが、一方で「スペインは2010年南アフリカ大会で初戦黒星から優勝しており、またW杯初戦で苦戦する伝統がある」とも紹介し、「パニックになる段階ではない」と指摘。とはいえ、「ドイツがキュラソー相手に7得点、スウェーデンがチュニジアから5得点、アメリカがパラグアイから4得点を奪った中で、スペインだけが初出場国の格下相手に無得点だった現実は重い」とも論じている。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】初出場カーボベルデが優勝候補スペインを封じる!
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