ポルトガル代表のベルナルド・シウバのレアル・マドリーへの移籍が正式に決定した。当初はバルセロナが優勢と伝えられていたが、一転してそのライバルチームへの入団を決めている。
マドリードに本拠を置くスポーツ紙『AS』によると、年始あたりからバルサよりも早い時期に、しかも複数回にわたってB・シウバ側からマドリーに売り込みがあったという。
もっとも熱心に獲得に動いていたのはアトレティコ・マドリーだ。カタルーニャ発のスポーツ紙『SPORT』は、昨シーズン限りで退団したアントワーヌ・グリーズマン(→オーランド・シティ)の後釜として今夏の最重要課題に掲げ、契約ボーナスとスタメンの座を用意してプッシュしたと伝えている。
一方、同じく売り込みのあったバルサは、中盤にペドリ、ガビ、マルク・ベルナル、フレンキー・デ・ヨング、ダニ・オルモ、フェルミン・ロペス、マルク・カサドら豊富なタレントを擁しており、ポジションは埋まっていた。マンチェスター・C時代の主戦場の1つだった右ウイングにもラミネ・ヤマルが君臨しており、中盤と前線ならどこでもこなす万能性が魅力のB・シウバとはいえ、優先順位は高くはなかった。『SPORT』は、当初獲得に難色を示していたハンジ・フリック監督は最終的にゴーサインを出したものの、それはあくまでチーム力の底上げという意味合いだったと報じている。
そして、バルサが提示したオファーには、「正式なサインは前線の補強と余剰戦力の整理を終えた後に限る」という条件が付いていた。
その間隙を突いたのが、ジョゼ・モウリーニョを新監督に迎えたマドリーだった。指揮官は獲得を猛プッシュし、その熱意はクラブ内部の人たちを驚かせたという。マドリーがゲームメーカーを探していたのは周知の事実だ。コンセンサスを得たモウリーニョは直接ラブコールを送り、アトレティコも交渉を継続していたが、スポーツ面、経済面のいずれも、B・シウバの目に魅力的に映ったのはマドリーのほうだった。
スペインメディア『El Confidencial』は、マドリーによる破格の条件を暴露している。選手本人と代理人のジョルジュ・メンデスにそれぞれ手取り約1000万ユーロ(約18億5000万円)の契約ボーナスが支払われ、年俸も手取りで約1000万ユーロが提示されたという。さらに「2年+1年の延長オプション」の3年契約を全うした場合、その総額は5000万ユーロ(約93億円)に達する見込みだ。
そんな中、B・シウバはワールドカップ直前に実施されたチリとの国際親善試合の後で、『SPORT』のイバン・サン・アントニオ記者に対してミックスゾーンでこう語っている。
「バルサは選択肢の一つだがまだ何も決断は下していない。多くの選択肢があるのは事実であり、契約を結んでいない現段階で特定のクラブについて話すつもりはない。自分を必要としてくれるチーム、自分が本当に愛されていると感じられる場所にいられるよう努める。それは僕にとって非常に重要なことだ」
公の場でのこのドライな姿勢と要求額の上昇を受け、バルサの首脳陣はB・シウバと距離を置き始めた。
フリージャーナリストのアルベル・ブラジャ氏はこう結論づけている。「フリックはガビとベルナルを非常に信頼しており、デ・ヨングも重宝している。B・シウバの獲得はバルサよりもマドリー、さらにはアトレティコにおいてより理にかなっていた。必要とされる度合い、出場時間、そして役割の観点からだ。選手がより重要なステータスを得られる場所を選ぶのは論理的であり、フリックは彼を優先事項とは見なさなかった」
文●下村正幸
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