NBAの2025-26シーズンは、ニューヨーク・ニックスが1973年以来、53年ぶりに頂点へ立ち、8シーズン連続で異なるチャンピオンが誕生した。
最後に連覇を達成したのは2017、18年のゴールデンステイト・ウォリアーズで、3連覇になると2000~02年のロサンゼルス・レイカーズまで遡る。
そしてその前に3連覇を成し遂げたのが、1990年代のシカゴ・ブルズだ。彼らは1991年から93年、96年から98年と、2度のスリーピートという偉業をクリアし、NBAのレコードブックに燦然と輝いている。
そのチームで絶対的エースを務めたマイケル・ジョーダンは、史上最多のファイナルMVP6度を誇り、勝負所で幾度もクラッチショットを沈めてブルズを勝利へ導いた。YouTubeなどで当時の映像を観てみると、神格化されるのも納得の強烈な輝きを放っている。
そうしたなか、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)などをクライアントに持つ敏腕代理人のリッチ・ポールは、現地時間5月30日にポッドキャスト番組『Game Over podcast』へ出演した際、ブルズでジョーダンとともに6つのチャンピオンリングを勝ち獲ったスコッティ・ピッペンを高く評価していた。
ポールが「スコッティのリング6つとマイケル・ジョーダンのリング6つは同じとは見ていないのか?」と聞くと、ギルバート・アリナス(元ワシントン・ウィザーズほか)は「それは違うな。だって彼はあのチームでベストプレーヤーじゃなかった」と返答。
確かに、当時ブルズのトップスコアラーはジョーダンで、ピッペンはジョーダンを補佐する最強のオールラウンダーだった。
そこでポールが「確かにそうだ。でも、彼はチームで最も影響力のある選手だった。スコッティ・ピッペンをチームから外したら、ジョーダンは(ファイナルで)0勝6敗になっていただろう」と発言。これは物議を醸したが、ポールと同じような考えの持ち主がいないわけではない。
6月10日に配信された自身のポッドキャスト番組『Crossover Podcast』で、ティム・ハーダウェイ(元ウォリアーズほか)はこう口にしていた。
「スコッティ・ピッペンをしっかり準備させなければならなかった。あのチーム(ブルズ)は、彼が万全な状態で臨めるようにしなければならなかったんだ。ピッペンがこなしたことを、誰が代わりにできるだろうか?」 ピッペンはレイカーズと対戦した1991年のファイナルで、第2戦からジョーダンに代わってマジック・ジョンソンとマッチアップするなど、シリーズのキーマンとして初優勝に貢献。他のシリーズでも、相手チームのボールハンドラーに対して密着マークしつつ、味方をカバーできるように絶妙なポジショニングでチーム全体のディフェンスを統括した。
また、ハーダウェイはピッペンのオフェンス面の貢献も見逃せないと主張する。
「オフェンス面でもだ。いいか、聞いてくれ。マジック・ジョンソンをあれだけ抑えられる選手がほかにいるか?スコッティのようにボールを運べる選手がほかにいるか?もしスコッティが攻守で活躍していなかったら、(ブルズは)勝てなかっただろう」
王朝時のブルズのポイントガードはジョン・パクソンやBJ・アームストロング、スティーブ・カーのようなシューター型、ロン・ハーパーやランディ・ブラウンといったディフェンダー型が大半で、司令塔役は実質ピッペンがこなし、トライアングル・オフェンスの指揮を執っていた。
ジョーダンに次ぐ2番手の得点源でありつつ、パスを捌いて味方の得点機会も演出し、守備でも献身的な働きで複数のポジションを担当して6度の優勝を支えた。
当時と今ではゲームのスタイルも違うとはいえ、より詳細なスタッツを分析できる現代だからこそ、ポールやハーダウェイにはピッペンのオールラウンダーぶりが際立って映るのかもしれない。
文●秋山裕之(フリーライター)
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