現地6月16日に行なわれた北中米ワールドカップのグループステージでは、優勝候補に挙げられるフランス、ノルウェー、アルゼンチンが揃って勝利を収めた。
この3つの勝利には、それぞれ特別な意味があった。フランスはセネガルを3-1で下した。「レ・ブルー」にとってこの対戦は、前回王者として臨んだ2002年日韓大会の開幕戦で0-1の歴史的敗戦を喫した因縁のカードであり、当時の彼らはそのまま無得点でグループステージ敗退という悪夢を味わったが、24年越しに雪辱を果たしたのである。
一方、28年ぶりに大舞台に上がったノルウェーは、イラクを4-1で撃破。今大会はそれまで、日本(オランダと2-2)や韓国(チェコに2-1)、オーストラリア(トルコに2-0)などのアジア勢が欧州勢を相手に健闘を見せていたが、北欧のノルウェーがついに初白星を手にした。
そして前回王者アルゼンチンは、アルジェリアを3-0で退けた。かつて1978年、86年にW杯優勝を飾った「アルビセレステ」は、前者ではその4年後の初戦でベルギーに、後者ではカメルーンに、いずれも0-1で敗北を喫して厳しいスタートを余儀なくされたが、今回は3度目の挑戦で“ジンクス”を破り、内容的にも最高のスタートを切ったのだった。
こうして、この3か国はそれぞれの過去や流れへの“リベンジ”を果たしたわけだが、この日の試合にはもうひとつの共通点があった。それぞれの中心選手であり、今大会屈指の注目株でもあるキリアン・エムバペ、アーリング・ハーランド、リオネル・メッシが、揃っていきなりのゴールショーを披露したのである。
エムバペは後半開始直後にミカエル・オリーズの絶妙なパスから先制点を奪うと、後半アディショナルタイムには約30メートルの距離から強烈なシュートをゴール右上へ突き刺してダブルを達成。これで彼は、代表通算58得点に到達し、オリビエ・ジルーを抜いて同国代表史上最多得点者となった。さらにW杯通算得点数も14に伸ばしてドイツの伝説的ストライカー、ゲルト・ミュラーに並び、「歴史に少しでも名前を刻めることは幸せだ」と喜びを語った。 この試合から3時間後には、W杯デビューを果たしたハーランドが、29分に大会初ゴールを記録すると、さらに相手GKのミスを見逃さず追加点を奪取。ゴールだけでなく、1アシストも記録する活躍で白星発進に大貢献した彼に対し、米スポーツ専門局『ESPN』は「今大会最大級のスターのひとりという評判に相応しい活躍」と高く評価した。なお同メディアによれば、この2得点で彼は早くも、W杯における自国代表での最多得点記録に並び、代表通算得点数も57に伸ばしたという。
そして、この若きスター2人を上回るインパクトを放ったのが、38歳のメッシだった。17分に鮮やかな左足シュートで先制点を奪うと、後半にもこぼれ球に真っ先に反応して流し込み(60分)、さらに76分にも素晴らしい組織プレーから再び鋭く正確なシュートでジネディーヌ・ジダンの息子が守るゴールを射抜き、チームの全得点を叩き出した後、80分に大喝采を浴びながらお役御免でベンチに退いている。
初戦でいきなり決めたハットトリックは、W杯においては自身初であり、さらに大会史上最年長。そして、6回目の出場(これも最多記録)で通算得点数を16に伸ばし、ドイツのミロスラフ・クローゼが持つ男子大会最多得点記録に並んだ。加えて、この試合は代表通算200試合目であり、リオネル・スカローニ監督からは「レオについては言葉を失う。何と言えばいいのか分からない。信じられない存在だ」との賛辞を贈られたのだった。
この日のスターたちのゴールショーを、英国の日刊紙『The Guardian』は「メッシの記録、エムバペの魔法、そしてハーランドの鮮烈な船出」と報じたが、『ESPN』はその中でもメッシは別格だったと強調。「スターたちの日、それでもメッシは、エムバペとハーランドを圧倒した」と題した記事において、「2人の若きスターが2得点ずつを記録し、大会の主役争いに名乗りを上げた一方で、メッシはハットトリックによってそれを上回り、改めて『史上最高選手』であると証明した」と綴っている。
そして、エムバペのゴールを「絹のような技術とスタイルによる、華麗さと技巧に満ちたゴール」、ハーランドのそれを「生粋のストライカーらしい獲物を仕留める一撃」と評価した同メディアは、メッシを「依然として、今大会最大の“見世物”であり、最大のスターだ」「全てを勝ち取りながら、なお記録を塗り替え続ける存在。エムバペ、ハーランド、さらにはクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)でさえ、その輝きには及ばない」と、最大級の褒め言葉を表現して称えた。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】「すごすぎて言葉にできん」メッシがハットトリックを達成!
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