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「ジュースの飲み過ぎで心停止」も…暑い日に増える“ペットボトル症候群”の怖すぎる落とし穴

「ジュースの飲み過ぎで心停止」も…暑い日に増える“ペットボトル症候群”の怖すぎる落とし穴

6月19日、関東や東海、近畿を中心に晴れ間が広がり、全国各地で30℃以上が続出している。熱中症対策が呼びかけられる季節、こまめな水分補給は命を守る基本だ。一方で、飲み物の選び方を誤ると、別の健康リスクにつながることがある。近年、注意が促されている「ペットボトル症候群」もその一つだ。

「ジュースの飲み過ぎで心臓止まった人も…」

「ペットボトル症候群」とは、糖分を多く含む清涼飲料水やスポーツドリンクなどを継続的に大量摂取することで、血糖値が急激に上がり、高血糖、脱水、ケトーシス/ケトアシドーシスを伴う急性代謝異常を指す。医療現場では「清涼飲料水ケトーシス」や「ソフトドリンクケトーシス」と呼ばれることが多い。重症化すると、血液が酸性に傾く糖尿病性ケトアシドーシスを起こし、意識障害や昏睡に至ることもある。

背景にあるのは「のどが渇くから甘い飲み物を飲む」という悪循環だ。血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとする。その結果、尿量が増え、脱水が進み、さらに強い口渇を感じる。そこで糖分の多い飲料を水代わりに飲むと、血糖値はさらに上がる。本人は熱中症対策のつもりでも、体内では高血糖と脱水が同時に進んでしまう場合がある。

作家で医師の知念実希人氏は自身のXにて糖尿病専門医とのやりとりの中で、「ペットボトル症候群」について、驚きのエピソードとともにその危険性について言及している。

「インスリンはカリウムを細胞内に送り込む作用もあるので、ペットボトル症候群でインスリンが枯渇すると、高血糖だけでなく、高カリウム血症も引き起こします。そして、高カリウム血症は心停止を引き起こすことがあります。ちなみに私はジュースの飲み過ぎで心臓止まった人、救急で診たことあります。

ちなみに、コーラの飲み過ぎでペットボトル症候群になって心停止した患者さんを必死に蘇生したら、その患者さんが意識を取り戻してすぐに、『喉乾いたんでコーラ買ってきてもらえませんか?』って言われました」

特に注意が必要なのは、糖尿病と診断されている人だけではない。糖尿病予備群や、まだ糖尿病に気づいていない人、肥満傾向のある人、ふだんから甘い飲料を習慣的に飲む人もリスクがある。若年層でも発症例は報告されており、「若いから大丈夫」とは言い切れない。

症状としては、異常なのどの渇き、多尿、強いだるさ、体重減少、吐き気、腹痛などがある。重くなると、呼吸が荒くなる、意識がぼんやりする、会話がかみ合わないといった危険なサインが出る。こうした症状がある場合は、単なる夏バテや熱中症と自己判断せず、早急に医療機関を受診する必要がある。

1カ月以上、10%程度糖分を含む清涼飲料水を毎日1.5ℓ以上飲む人は要注意

過去には、いわゆるペットボトル症候群の患者が死亡した症例も医学論文で報告されている。報告例では、治療が行なわれたものの呼吸状態が悪化し、剖検で広範な肺動脈血栓症が確認され、これが直接の死因と考えられた。つまり、ペットボトル症候群そのものは「甘い飲み物の飲み過ぎ」という軽い話ではなく、重い代謝異常や合併症につながり得る病態だ。

では、熱中症対策として、日常の水分補給では何を選べばよいのか。基本は水やお茶など、糖分を含まない、または少ない飲み物をこまめに取ることだ。大量に汗をかいたときや、屋外作業、運動時などには塩分補給も必要になる。経口補水液やスポーツドリンクが役立つ場面もあるが、日常的に何本も飲み続けるものではない。糖分量を確認し、必要な場面で適量を使う意識が大切だ。

また、スポーツドリンクなどの摂取に関して全国清涼飲料連合会もホームページ上で「ペットボトル症候群」について注意喚起を行なっている。

「医学的には『清涼飲料水ケトーシス』と呼ばれるペットボトル症候群。これは糖尿病の自覚のない人が、症状のひとつ『喉の渇き』を癒すため、砂糖が入ったペットボトル飲料を多飲していたことで名づけられた造語です。
ペットボトルに入った飲料全てが問題なわけではありません。ミネラルウォーターやお茶飲料、炭酸飲料など無糖のものは害がないので、パッケージに記載された栄養成分表示を参考にしてください。
なお、『清涼飲料水ケトーシス』は少なくても1カ月以上、10%程度糖分を含む清涼飲料水を毎日1.5リットル以上飲み、急激に血糖値が上がるケトーシス(糖尿病の中でも血液中のケトン体が増えている重たい症状)になることです。
症状としては著しい喉の渇きや体重減少、倦怠感が表れ、ひどくなると意識がもうろうとし昏睡状態に陥ることもあります。
詳しくは「健康のためかしこく飲みましょう」をご確認ください。」(出典:全国清涼飲料連合会ホームページ)

「水分補給」は大切だが、「甘い飲み物をたくさん飲むこと」と同じではない。暑さが厳しい時期こそ、飲み物の中身を見直したい。のどの渇きが続く、尿の回数が増えた、急に体重が減った、だるさが抜けない――そんな変化があれば、体からの警告かもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部

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