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W杯の初戦は大事なのか。すべての国が同じ熱量で挑んでいるわけではない【コラム】

W杯の初戦は大事なのか。すべての国が同じ熱量で挑んでいるわけではない【コラム】


 北中米ワールドカップが開幕し、グループステージの“一巡”が終わっている。大会の在り方について批判などもあるのだろうが、各試合が巻き起こす熱狂はそれを飲み込む。さすがW杯というべきだ(ちなみにサッカーW杯と表記するメディアがあるが、W杯と表記したらサッカーのことで、それだけ特別な大会である)。

 目立っているのは、第1ポッドに入った有力国(開催国枠の国を除いて)が苦しむ姿だろうか。最多優勝回数を誇る王国ブラジルはモロッコに引き分けたし、欧州王者スペインも初出場のカーボベルデにドロー。オランダは日本、ベルギーもエジプトにそれぞれ引き分け、クリスティアーノ・ロナウドを擁するポルトガルもDRコンゴに1-1とドローだった。

 強豪国の不甲斐なさに批判が噴出する一方、「下剋上」という時代の変化を論じる意見もあり、二つはどちらも正しい。

 例えばスペインはコンディションが悪かったし、準備の面でミスをした可能性もあるし、そもそもエースのラミネ・ヤマルが本調子ではない状態でプレーするなど批判される余地のある試合運びだった。また、アジア勢やアフリカ勢が健闘しているのも明らかだろう。彼ら(我々)が戦略を立て、戦術を実行できたら、形勢不利であっても互角に戦えるほど成長しているのも間違いない。

 もっとも、有力国はそれらも折り込み済みなのではないか。
 
 第1ポッドに入った有力国(とくに優勝経験のある国)はグループステージ1試合ではなく、ノックアウトステージ以降の試合をめどに挑んでいる(今回の大会から出場国が大幅に増え、決勝に進むのに必要な試合も7から8に増えた)。目の前の1試合に乾坤一擲で挑んでくる挑戦者に対し、敗れることは避けたい。しかし彼らにとっては初戦が引き分けでも、順調に勝点を積み上げられたら、“誤りの余地”程度で次へ進める算段だ。

 実際、前回カタールW杯で優勝したアルゼンチンは開幕のサウジアラビア戦で敗れている。南アフリカW杯で優勝したスペインも、同じくスイスに黒星だった。

「初戦は大事」

 それは鉄則だが、すべての国が同じ熱量で挑んでいるわけではない。始まりがよかったら終わりもよい、とも限らず、金星を奪ったサウジもスイスも、どちらもグループステージ敗退しているのである。今大会も「アジアの躍進」など騒いでいる声もあるが、おそらくは落ち着くところに落ち着くはずだ。

 本当の意味で優勝を狙っている国々は、上位進出後にピーキングも合わせている。もちろん、その前にしくじって、ヘマをして、早々に敗退してしまうこともある。サッカーはすべてが紙一重だからだ。しかし、「初戦はあくまで初戦」というのも、もう一つの真理である。

文●小宮良之

【著者プロフィール】こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たし、2020年12月には新作『氷上のフェニックス』が上梓された。

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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