
ジェームズ・キャメロン監督が手掛ける「アバター」シリーズの最新作「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」が、6月24日(水)に配信される。本作は、2009年に公開された「アバター」、2022年に公開された「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」に続く、同シリーズ“第一章”の完結作。「アバター」シリーズならではの壮大な世界観がますますパワーアップしており、2025年12月に劇場公開されると、リピーター続出の大ヒットを記録した。そのシリーズの原点となる1作目は、映画史を変えた傑作として今もなお語り継がれている。そんな「アバター」の魅力を紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
■3D映画の概念を覆した2000年代の大ヒット作
「アバター」の舞台は西暦2154年、地球を旅立ったRDA社(資源開発公社)のメンバーたちが、遠く離れた神秘の星・パンドラで“アバター計画”に着手するところから物語が始まる。その計画とは、この星の先住民である“ナヴィ”と人間のDNAを組み合わせた肉体・アバターを作り、莫大な利益をもたらす鉱物を採掘すること。パンドラの大気は人間にとって有毒なため、アバターがないと話にならない。
本作の主人公である下半身不随の元海兵隊員ジェイク(サム・ワーシントン)も、その計画に参加。アバターを使うことで体の自由を取り戻し、パンドラの大自然やナヴィの精神に魅了されるだけでなく、ジェイクはナヴィの族長の娘・ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋仲になっていく。
やがて人類がパンドラの生態系を脅かし、容赦ない武力行使でパンドラを破壊していく身勝手さにジェイクは怒りを覚え、ナヴィの戦士として地球人と戦うことを決意するというストーリー。
現実の世界でも共感できる先住民との共存共栄という、壮大な世界観と普遍的なテーマが魅力の作品だが、もう一つ本作の優れたところは3Dの特性を全面的に生かした、革新的な映像技術だ。
公開当時も映画の3D版は多く公開され、スクリーンから人物、キャラクターが飛び出してくる感覚で人気となっていたが、多くの作品は通常の2Dで撮影したものを後から3D化したものだった。観客側の視点で振り返ってみると、映像が飛び出す感覚に目が疲れてしまったことを今でも鮮明に覚えている。
しかし、キャメロン監督は「3Dの作品は最初から3Dで撮影する」ということにこだわり、3Dで撮影するための「フュージョン・カメラ・システム」を独自に開発。
これは、1台のカメラ本体に2台のハイデフィニション・カメラを使用することで、それまでの3Dにはなかった“奥行き”が表現できるのが大きな特徴で、スクリーン手前の立体だけでなく、スクリーンの向こう側での奥行きも表現されることで、圧倒的な没入体験を得られるようになった。
劇中の舞台として描かれたパンドラの世界観にもマッチしており、木々の生い茂る密林の中でナヴィらと共存しているような錯覚を起こすようなクオリティーから「もう一度パンドラへ足を運びたい」と、熱烈なファンが何度も劇場に足を運んだほど。
「アバター」は3D映画ブームの象徴的存在となり、大ヒットを追い風に家電メーカー各社も3D対応テレビや3Dメガネを積極的に展開。家庭でも気軽に3D映像を楽しむ未来への期待が高まった。
■「アバター」シリーズ第一章が完結
「アバター」は、「第82回アカデミー賞」において作品賞、監督賞など9部門にノミネートされ、視覚効果賞、美術賞、撮影賞の3部門を受賞。キャメロン監督が手掛けた代表作の一つ「タイタニック」を抜いて、全世界歴代興行収入1位を記録。監督自身が「タイタニック」で保持していた記録を12年ぶりに塗り替え、2026年現在もトップだ。日本でも興収156億円の大ヒットとなり、その内3Dシェアは驚異の87%を記録した。
1作目の公開から16年半。今では映像技術をはじめとするさまざまな技術がよりバージョンアップされ、壮大な世界観で描かれる映画作品も多くなった。魅力的な作品が多く登場していく中でも、「アバター」で覚えた衝撃を忘れられないファンは多く、2022年に続編が公開されるとハイクオリティーな作品に慣れ親しんでいる新世代のファンも取り込み、再びエンターテイメント界に大きなブームを呼び起こした。
「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」は、2作目「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」と地続きになっているストーリーが展開。冒頭では、前作の最後にジェイクの長男ネテヤム(ジェイミー・フラッターズ)が命を落としてしまい、ジェイクや妻のネイティリらは、家族の命を奪われた悲しみに打ちひしがれる。そしてジェイクは愛する家族とパンドラを守るために、再び襲いかかる脅威と対峙(たいじ)していくことになる。
全作を通して描かれてきた戦闘シーンは、最新作ではより迫力が増し、これまで以上のスケールでダイナミックに展開。さらに“家族”や“親子”、“兄弟”といったつながりや、絆の大切さもより濃密に描かれている。
キャメロン監督は、3作目の公開にあたってのインタビューで「4作目が作れるかどうかなんて、この作品がヒットしなければあり得ないことですし、もし作れるとしても何か新しいストーリーを始めることになると思うので、“第一章”がこの作品で完結するということです」と口にしていたが、果たして新章は作られるのだろうか。
感動的な物語だけでなく、映画の概念を覆した映像美や没入体験を生み出した「アバター」シリーズの衝撃の“幕開け”を再び体感し、新作に没入する準備をしてみるのも良いだろう。
「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」は、6月24日(水)にディズニープラス スターで見放題独占配信される。
◆文=suzuki

