
なぜ日本代表は警告ゼロなのか? 森保ジャパンが体現する「良い守備から良い攻撃」の実態【W杯】
北中米ワールドカップで戦う日本代表は、森保一監督が掲げる「良い守備から良い攻撃」をピッチ上で体現している。その背景には、単なるハードワークだけではない、チーム全体に浸透した守備意識と組織力がある。
その実態を示したのが、板倉滉と中村敬斗の証言だ。
板倉は、日本の守備について「特別やるべきことを変えるわけじゃない」と語る。オランダ戦からチュニジア戦まで見せてきたベースを継続するスタンスが何より重要だという。
そのなかで強調したのが、前線の選手たちの献身性だ。
「前線の選手のプレスバックだったり、カウンタープレスだったり、そういうところを抜け目なくやることが大事」
ディフェンスは最終ラインだけの仕事ではない。FWやシャドーの選手まで含めた全員守備によって相手の自由を奪い、良い位置でボールを回収する。その結果として、日本のチャンスが生まれている。
実際、板倉は「良い状態でボールを奪えたら自分たちのチャンスになる」と説明しており、日本代表の守備が単なる失点防止ではなく、攻撃の起点として機能していることが分かる。
また、グループステージ2試合を終えてチームにイエローカードがない点も、日本の守備の特徴を表している。
板倉は「チームとしてポジティブ」と評価しつつも、「変に意識する必要はない」と冷静だ。無理なファウルで止めるのではなく、ポジショニングや連係によってボールを奪う。だからこそ、激しく戦いながらも警告を受けずに済んでいるのだろう。
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一方、中村は日本代表の守備組織の特徴について興味深い見解を示した。
欧州のクラブシーンと日本代表で同じ5バックを採用していても、守備の感覚は大きく異なるという。海外では1対1の対応を求められる場面が多く、突破されればそのままピンチにつながりやすい。しかし、日本代表は違う。
「日本は数的優位を常に作るっていう状態にしているので」
この言葉に、日本代表守備の本質が凝縮されている。
個の能力だけに頼るのではなく、周囲の選手が素早くスライドし、カバーリングをする。誰かが前に出れば、別の誰かがそのスペースを埋める。常に複数人で守る戦い方で、相手に1対1の状況を簡単には作らせないのである。
実際、日本代表の守備を高く評価する声として、「誰かが空けたスペースを別の選手が埋める」「仲間のために走ることを厭わない」といったものもある。
板倉が語った前線からの献身的な守備、中村が明かした組織的なカバーリング。その両方が噛み合うことで、日本代表は高いプレー強度と安定感を実現している。
森保ジャパンの強さは、個々の能力だけではない。全員が仲間のために走り、全員で守る。その組織力こそが、「良い守備から良い攻撃」を支える最大の武器なのである。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長/現地特派)
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