初戦は初出場のカーボベルデを相手にスコアレスドローに終わり、優勝候補筆頭として不甲斐ない船出となったスペイン代表が、現地時間6月21日に行なわれた北中米ワールドカップ・グループステージ第2節のサウジアラビア戦で本領を発揮した。
立ち上がりからテンポ良くボールを動かした「ラ・ロハ」は前半から攻撃力が爆発し、開始10分でのラミネ・ヤマルの先制点を皮切りに、ミケル・オジャルサバルが21分、24分と立て続けに2得点を挙げるなど、早々に勝負を決定づけると、後半開始4分で相手のオウンゴールによる追加点を奪い、危なげなく今大会初勝利を飾っている。
母国メディアでは、マドリードのスポーツ紙『MARCA』が、「スペインがフットボールの波を解き放つ」と題した記事で、チームの復調を強調。「完璧な最初の30分、圧巻のオジャルサバル、そして復活したラミネによって、スペイン代表はルイス・デ・ラ・フエンテ監督による“革命”を正当化した」「スペインはフットボールと笑顔を取り戻した。欧州を制した時(EURO2024)の合言葉とともに、先発とメンタルを刷新したスペインは、不安を打ち壊し、弱い相手であるサウジを30分間のマスタークラスで破壊した」と綴った。
さらに同メディアは、初戦からの変化について「カーボベルデ戦での“模擬演習”の後、スペインはようやく大会への登録を済ませ、W杯用のタイヤを装着した。サウジは、サイクロンのような勢いで襲いかかる欧州王者との対峙を余儀なくされた。ボールを失えば激しいプレスで相手を窒息させ、ボールを持てば観る者を楽しませる、あのスペイン本来の姿が戻ってきた」と表現している。
なかでもヤマルの存在感については、「不安定化をもたらすエージェント(相手に混乱をもたらす切り札、といった意)だ。このスター選手の名前がスタメンにあるだけで、スタジアムの座席の価格まで変わる」と、独特の言い回しで絶賛した。
この18歳の超新星に対しては、当然ながら所属クラブであるバルセロナの地元スポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』も注目。「ラミネは別の色を与える」と題した、誇らしげなトーンが滲む記事で、「彼はサウジ戦で先発出場し、スペインはわずか20分で試合を片づけた。チームはラミネだけではなかったが、彼が別の色をチームに与えた」と記した。
続けて、「本人は45分以上プレーできる状態ではないと試合前に語っており、実際にプレーしたのはその時間だったが、それで十分だった。オジャルサバルの見事なアシストから、W杯でスコアを動かしてみせた」と、限られた出場時間の中で結果を出した点を評価。「カーボベルデ戦では明らかに過信があり、決定力も欠けていたスペインだが、サウジ戦では全員が非常に集中して試合に入り、ラミネが『魔法のタッチ』を加えた」と、その影響力を強調している。
一方、2ゴール1アシストと主役級の働きを見せたオジャルサバルについては、所属クラブであるレアル・ソシエダの地元バスク・ギプスコアの日刊紙『noticias de Gipuzkoa』が、強い誇りを込めて報道。「W杯でオジャルサバルがショーを披露」と見出しを打ち、「ソシエダでは、オジャルサバルがどれほど重要な存在かがよく知られている。キャプテンであり、象徴である。そしてデ・ラ・フエンテも、それを知っている。疑いはない」。
さらに、「指揮官は、W杯初戦でそのプランに批判が集まったにもかかわらず、再びオジャルサバルを信頼した。そして彼はいつものようにそれに応え、わずか45分間で2得点と、ヤマルの先制点に繋がる1アシストを記録する“ショー”を見せた」と称賛。数字面でも、「サウジ戦の2得点により、スペイン代表で通算27ゴールに到達し、そのうち21点はデ・ラ・フエンテ体制下でのものだ。これにより、歴史的選手のひとりであるエミリオ・ブトラゲーニョを上回った」と紹介した。
同メディアは、彼のプレー内容についても詳しく言及し、「先制アシストの場面では、中盤まで下がって味方にボールを預け、左サイドで受け直し、ヤマルへ低く正確なクロスを供給。バルサのアタッカーは、ゴール前でその“キャンディー”を押し込んだ」とレポートしている。
続けて得点場面については、「自身のW杯初ゴールは、CKの流れから、チームで一番『賢い男』が、アイメリク・ラポルトのヘディングを拾って決めた。さらに3分後には、ダニ・オルモの頭での落としから左足で再び決めた」と綴り、「デ・ラ・フエンテ監督からの信頼には理由がある。世界はもう、オヤルサバルが何者かを知っている」と記事を締め括った。 国外メディアでは、英国の日刊紙『The Guardian』も、スペインの変貌ぶりを高く評価。「初戦の失望から、人員と構造に変化があった。しかし何より変わったのは、個性だった。激しく、攻撃的で、スペインは再びスペインになった」と報道。ヤマルについては、「18歳の彼は、90分間プレーすることはなかったが、その必要もなかった。45分で十分だった。仕事は終わり、ウイングはまた、別の日に戦うためにベンチに下がった」と評している。
オジャルサバルにも賛辞は贈られ、「カーボベルデ戦では前半の30分間でボールに触れることができなかったストライカーが、ここでは開始から24分間で1アシスト2ゴールを記録した」と伝えるとともに、「誰もオジャルサバルについて語らない。しかし、語るべきである」と、いかに彼が過小評価されてきたかを強調した。
そしてスポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「スペインにヤマルが戻り、ようやく優勝候補らしく見えた」と称賛。「これは、スペインによる前半のエキシビションであり、カーボベルデ戦の0-0という停滞の後、彼らを本来いるべき場所、すなわち今大会の優勝候補という立場に戻すパフォーマンスだった」と振り返っている。
同メディアもまた、ヤマル、オジャルサバルの働きに触れ、「10分、オジャルサバルの完璧に重みづけされたクロスがヤマルに届き、彼はファーポストへ滑り込んでゴール。スペインは早い時間帯にゴールを手にし、この1週間の緊張と重圧は全て消え去った」と、彼らの連係で生まれた先制点の重要性を強調した上で、「ヤマルがスーパースターなら、オジャルサバルは今大会で最も過小評価されている選手かもしれない。(中略)それでも彼は予選で6得点・4アシストを記録し、本大会では早くも2ゴール・1アシストを挙げている」と指摘した。
構成●THE DIGEST編集部

