
時に起点として。時にフィニッシャーとして。メッシの特性を理解。アルゼンチンの強みが見事に表現されたゲームだった【現地発】
北中米大会でW杯連覇を狙うアルゼンチンは、グループステージ第2戦でオーストリアと対戦。序盤にラウタロ・マルティネスが獲得したPKをリオネル・メッシが外し、W杯歴代最多となる17点目はお預けとなったが、38分にメッシが自らを起点とした、流れるような攻撃でオーストリアの守備ラインを揺さぶり、10番が歴史的なゴールを奪う。
右サイドに流れてアレクシス・マカリステルの縦パスを引き出すと、センターバックのダビド・アラバを引きつけながら中央のティアゴ・アルマダへ。そこから左サイドのスペースで受けたファクンド・メディナのマイナスクロスをアルマダがスルーし、その背後からメッシが左足で捉える。鋭いシュートがGKアレクサンダー・シュラーガーの反応を破り、ゴール左隅に突き刺さった。
そこからオーストリアもフィジカルの強さを活かしてアルゼンチンを押し込む時間帯もあったが、後半アディショナルタイムの90+5分に、メッシがとどめの2点目を奪う。
相手が最後のパワープレーに出てきた状況で、リサンドロ・マルティネスの好守からアルゼンチンボールになると、メッシが右から運び、左足で中央を走るフリアン・アルバレスに絶妙なパスを送る。
マルティネスに代わり、途中からメッシと前線のコンビを組んでいたアルバレスの左足シュートはシュラーガーに阻まれたが、こぼれ球をレアンドロ・パレデスが拾い、ボックス内に走り込んだメッシに預ける。
左に持ち運んでシュラーガーとの間合いを外し、放ったシュートはディフェンスにブロックされたが、リバウンドを蹴り直して、通算18点目を決めた。
ラルフ・ラングニック監督が構築したオーストリアの守備は、今大会でもかなり良く整備されており、実際にアルゼンチンも苦しめられた。しかし、だからこそ自由にポジションを取りながら、ライン間でボールを引き出すメッシのところから、必ずと言っていいほどチャンスができており、2ゴールに関しても必然性が高い。
しかも、周りの選手たちもメッシの特性を理解して、時に起点として、また時にフィニッシャーとして活かすアルゼンチンの強みが見事に表現された試合と言える。
MOMに輝いたメッシは「正直なところ、激しい試合になることは分かっていました。ほんの少しでも気を抜くことは許されない、そんな試合でした」と振り返る。また「ここで勝点6を確保できたことは重要でした。おかげで、この先の1週間を落ち着いて過ごすことができます」と語った。
これで2連勝となったアルゼンチンは、J組の1位でラウンド32進出が確定した。
そのラウンド32でJ組1位の相手は、H組の2位。H組はスペインの首位通過が濃厚で、最終節でスペインにウルグアイが敗れた場合、伏兵のカーボベルデとサウジアラビアの勝者が相手になる。
ウルグアイは隣国でもあるアルゼンチンが相手だと、目の色を変えて挑んでくる伝統があり、アルゼンチンとしてはできるだけ避けたいところだろう。どちらにせよ、リオネル・スカローニ監督としても、ヨルダンとの3戦目は主力を休ませたり、これまで出ていない選手にチャンスを与えることが可能だ。
それでもチームの象徴であるメッシをスタメンで起用してくるのか、ここで思い切って休ませるのかは1つ大きな注目点になる。
初戦のアルジェリア戦で衝撃のハットトリックを記録し、オーストリア戦の2得点を加えて、メッシはここまで5得点。得点王争いでライバルとなるフランスのキリアン・エンバペが2試合で4得点、ノルウェーのアーリング・ハーランドも4得点だ。ただ、アルゼンチンのキャプテンでもあるメッシは、得点数を伸ばすために、スカローニ監督にスタメンを直訴するようなことはしないだろう。
アルゼンチンがチームとして、あくまでメッシ中心の戦いを継続するのか、他の主力メンバーと共にメッシも休ませつつ、別のオプションもテストしておくのか。
過去三度の優勝を経験しているアルゼンチンにとっても、初となる連覇に向けてどういうプランを組んでいくのか気になるところだ。
取材・文●河治良幸
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