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ブラジルは日本代表を“恐れている”「歴史的大惨事が起きる可能性が」選手、OB、識者、ファンが大警戒「できるなら対戦したくない」【W杯現地発コラム】

ブラジルは日本代表を“恐れている”「歴史的大惨事が起きる可能性が」選手、OB、識者、ファンが大警戒「できるなら対戦したくない」【W杯現地発コラム】

北中米ワールドカップ・グループステージでは、実力差の大きい試合も多かったが、決勝トーナメントに入れば真の勝負が展開される。そんななか、多くのブラジル人はあることに気が付き始めた。

「ちょっと待て、決勝トーナメントの最初の対戦相手は、もしかして日本か?」

 強豪オランダに先制されながらも追いつき、チュニジアに大勝した日本代表を、ブラジルでは誰もが称賛した。決してあきらめない“侍スピリット”は過去の大会でも注目されてきたが、今の日本はそれだけではない。テクニック、戦術、フィジカルも兼ね備えた本当に優秀なチームだ。

 どの国のサッカーファンも、できることなら決勝トーナメントで日本代表と対戦したくないと思っている。本当だ。いや、こう言うのが正確だろう。対戦する可能性のあるチームの中で“最悪の相手”だ。

 とくにブラジル人にとってはそうだ。昨年の10月の親善試合で日本代表に敗れたことが、多くのファンのトラウマになっている。ブラジルはずっと自分たちが日本サッカーの師だと思っていた。

 しかし、カルロ・アンチェロッティ監督率いるセレソンは、前半で2-0とリードしながら、後半に信じられない逆転を許して2-3で敗れた。A代表でブラジルが日本に敗れるのは史上初。この結果、ブラジル国内ではセレソンへのリスペクトが急落した。

「もし日本と対戦することになれば、歴史的大惨事が起きる恐れがある」

 2002年に日本でワールドカップを掲げた世界王者のデニウソンは語る。

「日本の選手はボールを奪うと猛スピードで攻め込んでくる。我々の守備は考えすぎて、動きが鈍いため、それについていけない」

  ブラジル代表キャプテンのカゼミーロは、3-0で勝利したグループステージ第2節のハイチ戦後、決勝トーナメントで対戦するかもしれない日本について、ミックスゾーンではっきりこう言った。

「もはやヴェルデオロ(ブラジル代表のチームカラー)のユニホームを着ているだけでは、日本に勝てない。日本や他のチームのように同じスピードで我々も走れなければ、すぐに帰国することになるだろう」

 1986年のW杯に出場した元ブラジル代表で、現在はコメンテーターを務めるヴァルテル・カサグランデも警鐘を鳴らす。

「我々のMFがだらだらピッチを歩いている間に、日本人はその3倍も走っている」

 一方、ブラジルの著名なベテランジャーナリスト、ジュカ・クフォウリとジョゼ・トラジャノは、ブラジルの今の弱さはブラジルサッカー連盟(CBF)の慢性的な混乱も関係していると指摘。その点で日本と大きく違うという。

 ブラジルでは監督だけでなく連盟会長も権力抗争や汚職でころころ変わり、スキャンダルも日常茶飯事。今大会中も、現会長の不倫と公金横領が発覚している。一方の日本は「長年にわたり、同じ幹部、同じ選手、同じ監督のもとで真剣に強化取り組んできた」。

それが日本とブラジルの大きな違いだというのだ。

  ブラジルのメディアは今、日本代表の分析に大忙しだ。中でも森保一監督の手腕には注目が集まり、ブラジルのサッカーファンで彼の名前を知らない者はいない。

 日本のサッカーに精通しているジーコは、森保監督をこう評している。

「非常に知的な監督で、あらゆる事態に備えて戦うことができるチームを築き上げた、真の将軍だ。日本がビジョンと闘志を欠くことはない」

 1995年から97年にかけてイタリアのインテルとナポリでプレーし、現在はコメンテーターを務めるカイオ・リベイロの日本代表に対する印象はこうだ。

「日本は対戦相手への研究に余念がない。森保監督は間違いなくアンチェロッティの弱点をすべて分析しているだろう。選手たちはヨーロッパのトップリーグでプレーしており、もはやブラジル人を恐れることはなく、どこを攻めればよいかを正確に把握している」

 そのほか、ブラジル人コメンテーターたちは、「今の日本代表は真の現代的な集団サッカーを体現している。それに対してブラジルは単に個人技に長けたソロプレーヤーの集まりに過ぎず、各自が自分勝手に行動している」など、口々に日本とブラジルの差を挙げていく。

 ネットやSNS上では、ブラジルのサポーターたちが恐怖に満ちたコメントを書き込んでいる。あるサポーターはXにこう書き込んだ。

「遅いプレーをしていたら、アンチェロッティがベンチでガムを噛み終わる前に、日本にゴールを決められてしまう」

 Instagramでは、日本の選手たちの画像の下にこんなキャプションが付いていた。

「日本の選手は90分間、汗ひとつかかずに走り回るのに、うちの選手たちは20分も経たないうちに酸素ボンベを要求し始める」

 サポーターの不安は、両チームのメンタリティーの違いに向けられている。TikTokの投稿にはこうある。

「日本は夜通しブラジルのプレーの動画を見て我々の弱点を研究しているが、ブラジルは夜通しゴール後のパフォーマンスを研究している」

「日本の選手たちは時速200キロで走るアニメのロボットみたいだが、我々の選手たちはパーティーの後に友達同士で試合をしている元サッカー選手みたいだ」

  サポーターグループのチャットでは、次のような言葉も出回っている。

「日本に1点リードされたら、もう帰りの航空券を買った方がいい。彼らは守備を固めて、我々はゴールへの道筋を見つけられなくなる」

 もちろん日本代表と当たりたくない理由は、ほかにもある。

「日本のサッカーがすごく好き。日本のサッカーは楽しい。いつまでも見ていたいチームだ。だからブラジルと対戦することになったら、すごく複雑な気持ちになる」

「できるなら、トーナメント早々に日本と対戦したくない」

 そんな声もSNSでは見られる。

 もしラウンド・オブ32でブラジル代表が日本代表と対戦することになったら、その試合を最後にセレソンは大会を後にするかもしれない。

 多くのブラジル人は、日本代表を恐れている。

文●リカルド・セティオン
翻訳●利根川晶子

【著者プロフィール】
リカルド・セティオン(Ricardo SETYON)/1963年8月29日生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。ジャーナリストとして中東戦争やユーゴスラビア紛争などを現地取材した後、社会学としてサッカーを研究。スポーツジャーナリストに転身する。8か国語を操る語学力を駆使し、世界中を飛び回って現場を取材。多数のメディアで活躍する。FIFAの広報担当も務め、1998年と2002年のW杯ではブラジル代表の広報スタッフとして活躍。ジーコやカフー、ドゥンガらとの親交も厚い。現在はスポーツ運営学、心理学の教授として大学で教鞭も執っている。

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配信元: THE DIGEST

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