
「古畑任三郎 3rd season 1」DVD(ポニーキャニオン)
【画像】おふたりともお若いですね 第2話「動く死体」よりシーンカット
明石家さんまの役は「売れないロックスター」だった
ドラマ『古畑任三郎』シリーズが2026年6月よりNetflixにて配信がスタートし、大きな話題を呼んでいます。
田村正和さんが風変わりな刑事を演じ、毎回登場する犯人役の豪華ゲストを追い詰めていく様子は、最初の放送が始まってから30年以上経った今でも面白く、多くの視聴者を魅了しています。
多くのファンがそれぞれの“『古畑任三郎』ベストエピソード”を挙げていますが、本記事でも3本のベストエピソードを挙げてみたいと思います。これからご覧になる方のために、なるべくネタバレは避けています。放送順です。
第1シーズン 第2話「動く死体」(ゲスト:堺正章)
歌舞伎俳優「中村右近」(堺正章)は、警備員「野崎」(きたろう)に老女をひき殺したひき逃げ事件を口止めしていましたが、野崎が良心の呵責に耐えきれず自首しようとしたため、殺害してしまいます。右近は劇場での転落死を偽装しますが、お茶漬けを食べている間に古畑がやってきて――。
第2話ですが、実際には三谷幸喜さんが最初に脚本を執筆したエピソードとして知られています。田村正和さんは刑事役を嫌がっていましたが、この脚本を読んで「このホンだったらやってみたい」と出演を決めたそうです。先に真犯人による犯行が描かれる倒叙形式、古畑と犯人の対決、トリック崩しなど、『古畑任三郎』らしさが充溢した1本になっています。
中村右近を演じた堺正章さんの喜劇俳優としての軽み、元祖マルチタレントとしての器用さ、芸能界の大御所としての凄みなどが、随所に活かされた作品になっており、三谷幸喜さんによる“あてがき”が見事にハマったエピソードだといえるでしょう。最後に明かされる「なぜ犯人は犯行の後にお茶漬けを食べていたか」という謎の答えも、堺さんの芸人魂に重ねられているような気がします。
第2シーズン 第14話「しゃべりすぎた男」(ゲスト:明石家さんま)
弁護士の「小清水潔」(明石家さんま)は弁護士の娘「稲垣啓子」(小高恵美)との結婚が決まり、邪魔になった恋人「向井ひな子」(秋本奈緒美)を殺害。古畑の部下である今泉慎太郎(西村雅彦)に罪をなすりつけた小清水は、彼の弁護士として罪を認めるよう仕向けていきます。
人気絶頂だった明石家さんまさんをゲストに迎え、第2シリーズの冒頭を飾る90分スペシャルとして製作されたエピソードです。もともと、さんまさんの役柄は「売れなくなったロックスター」でしたが、さんまさんが「法廷のドラマをやりたい」と要望して本エピソードが実現しました。
ハイテンションで繰り広げられる古畑と小清水の対決は圧巻のひと言。両者の白熱の対決も見応えたっぷりですが、古畑が今泉を「友人」だと認めて、彼のために全力で対決する姿も胸が熱くなります。

「『古畑任三郎(第1シリーズ)』ビジュアル (C)フジテレビジョン/共同テレビジョン
緻密なアリバイ崩しが展開される傑作
第2シーズン 第20話「動機の鑑定」(ゲスト:澤村藤十郎)
贋作を真作と鑑定して荒稼ぎしていた骨董商「春峯堂」の主人(澤村藤十郎)は、告発しようとした人間国宝の陶芸家「川北百漢」(夢路いとし)を殺害。さらに川北の陶器を盗んだ挙句、犯罪の重圧のため自首しようとした共犯者の「永井」(角野卓造)を自殺に見せかけて殺し、すべての罪を永井になすりつけようとします。
骨董の世界を舞台に、共犯者の存在と連続殺人という複雑なプロットと、古畑による緻密なアリバイ崩しが描かれており、『古畑任三郎』ファンの間では名エピソードとして知られる1本です。犯人役としてキャスティングされた歌舞伎俳優、澤村藤十郎さんの柔らかな風情でいながら、冷徹に犯行を重ねていく姿が深く印象に残りました。
最後に古畑の推理が外れる場面がありますが、その場面を見ると『古畑任三郎』は「犯人の心理を味わうドラマ」であることがよくわかります。そういう意味でも『古畑任三郎』を代表する1本だといえるでしょう。
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『古畑任三郎』には多くの魅力があります。トリックの秀逸さ、犯人役のキャスティング、古畑と犯人の対決、犯人の人間性、古畑と犯人の関係などなど……。その人が何に反応するかで、好きなエピソードも変わるもの。ぜひそれぞれのベストエピソードを挙げてみてください。
