
森保ジャパンの現在地を映し出したスウェーデン戦の90分。確かな成熟を示した一方で、浮き彫りになった課題【W杯】
【W杯GS第3節】日本 1-1 スウェーデン/現地6月25日/ダラス・スタジアム
日本代表はグループステージ最終戦で、スウェーデンと1-1で引き分けた。勝点5でF組2位を確保。3大会連続となるグループステージ突破を自力で決め、決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)では優勝候補ブラジルとの大一番に臨む。
勝利こそ逃したものの、スウェーデン戦の90分は、森保ジャパンの現在地を映し出す内容だった。
攻守両面で積み重ねてきた成熟を示した一方で、世界の頂点を狙うための課題も浮き彫りになった。最大の収穫は、相手の強みを消しながら試合をコントロールする「戦い方」が定着していることだ。
森保一監督は「選手たちが、相手がやろうとする意図をしっかり把握したうえで、相手の強みを消し、粘り強く戦ってくれた。守備から攻撃につなげて先制点を奪えた」と評価。さらに「日本が世界のトップを目ざすなかで、常にグループリーグを自力で突破することを今大会でも続けられた。日本サッカーが確実に成長している」と胸を張った。
実際、オランダ、チュニジア、スウェーデンという異なるタイプの3か国を相手に、無敗で突破。しかも3試合とも3バックの組み合わせを変更しながら、大きく守備組織を崩さなかったことは、チーム全体の成熟度を物語っている。
中盤で攻守のバランスを取った鎌田大地も「何も悲観する内容ではなかった。8年間、積み上げてきたものがある。決勝トーナメントでも特別なことをする必要はなく、いつも通りやるだけ」と積み重ねへの自信を口にする。
この試合では、スウェーデン自慢のアレクサンデル・イサク、ヴィクトル・ヨケレス、アントニー・エランガという強力な前線に対し、セカンドボールを回収しながら主導権を握る時間帯も少なくなかった。
田中碧も「守備は特段ピンチもなく、自分たちも良い形でチャンスを作れた。グループステージ突破を自力で決めたことはポジティブに捉えたい」と振り返り、「前回大会よりも大会を通した手応えはある」と成長を実感している。
攻撃面では、堂安律と前田大然のホットラインが大きな収穫となった。
56分、堂安の絶妙なスルーパスに反応した前田が冷静に流し込み、待望の先制点を奪う。試合前からイメージを共有していた形だったという。
堂安は「大然とは試合前にあのプレーを話していた。彼なら絶対に背後へ走ると思っていた」と明かし、前田も「逆サイドにある時に、中へ入ることを律と話していた。それがうまくいった」と息の合った連係を喜んだ。
さらに堂安自身も初先発となったシャドーで躍動。「楽しかった。守備でも自分の良さを出せたし、非常にやりがいを感じながらプレーしていた」と、新たなオプションとして手応えを掴んでいる。
一方で課題も明確だった。その先制ゴールからわずか数分後、センターバックのヴィクトル・リンデレフを起点としたシンプルな展開から、ヨケレスと絡んだエランガの左足シュートで追いつかれた。
中村敬斗が短いソックスを理由に履き替えを命じられ、一時ピッチを離れた影響も多少あったかもしれないが、得点後のマネジメントは1つのミスが明暗を分ける決勝トーナメントに持ち越したくない課題だ。
アクシデントで前半途中に退いた板倉滉に代わり、3バック中央を担っていた谷口彰悟は「あれをゴラッソで片付けてはいけない。もう1人、2人と寄せてコースを限定することが必要」と指摘。「ブラジルはああいう一つの隙を確実に仕留めてくる。より人数をかけるところは、かけなければいけない」と次戦への警戒を強めた。
押し込みながら追加点を奪えなかった決定力も改善点だ。鎌田は「失点は課題だけど、それ以上に今日は攻撃でもっと鋭さが出せたと思う」と振り返り、田中も「あの時間帯でもう1点、決め切れれば結果は違った」と悔しさをにじませた。それでも終盤、勝ち急がず試合を締めたゲームマネジメントは大きな成長と言える。
森保監督は投入した長友佑都について「攻撃だけの意識になってゲームを崩すことがないよう、落ち着きをもたらしてくれた」と評価。前田も「長友さんが入るとチームの士気が上がる」とベテランの存在感を語った。勝点1を確実に持ち帰る判断力は、4年前にはなかった日本の武器でもある。そして待つのはブラジルとの大一番だ。
選手側にもプラスに捉える声は多い。鎌田は「ブラジルとガチンコ勝負ができるのは、自分たちが成長してきた証し」と語り、堂安は「ワールドカップでブラジルとやれるなんて最高。ここからワールドカップが始まるという感覚」と笑顔を見せた。
前田も「これまでやってきたものを出せれば勝つチャンスはある」と前を向き、田中も「優勝を目ざすなら、どこかで倒さなければいけない相手」と力強く言い切った。
無敗で突破した日本は、確かな成熟を示した。一方で、一瞬の隙を逃さない世界最高峰での戦いでは、攻守の精度をさらに高める必要がある。収穫と課題の両方を持って臨むブラジル戦こそ、森保ジャパンが「世界のトップ」を本気で目ざせるチームかどうかを証明する90分となる。
取材・文●河治良幸
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