北中米W杯のグループステージ第3戦で日本代表はスウェーデンと対決。1-1で引き分けグループリーグ2位通過を決めた。後半11分に前田大然がゴールを決め先制するも、直後に失点。一見うまくいかない試合に見えたが、現地で取材するスポーツライターの木崎伸也氏は、日本のDF陣を賞賛。試合のポイントを振り返ってもらった。
1失点で抑えたDF陣がMVP
――試合を振り返ってみていかがでしたか?
木崎伸也(以下同) まず今の日本の良さが出た試合かなと思います。しぶとく苦しい中でも我慢して守って隙を見せない。水漏れさせないことをコンセプトに、0-0が前提のような戦い方が、おそらくチーム全体に浸透していて、そのとおりに戦えたのかなと。
なので、一見うまくいかない試合でしたけども、前半を無失点で乗り切ったことがまず素晴らしかったです。
――そして後半早々に先制点が生まれました。
あのシーンでは、瀬古歩夢選手が試合を通じて初めて、3バックの右からオーバーラップして、菅原由勢選手の外側を追い越したことで、相手のDFも意識を引きつけられました。
菅原選手から堂安律選手、そして堂安選手から上田綺世選手に当てて落としたところを堂安選手がまたワンツーでもらって、前田選手にパスが出せました。あの連携は、まずは瀬古選手のセンターバックからのオーバーラップという勇気あるプレーができたから生まれたシーンだと思います。
そして瀬古選手がオーバーラップできたのも、田中碧選手がしっかりコミュニケーションを取りながら後ろをカバーしてくれたからなんですね。
更に、上田選手も堂安選手が前に当ててからスペースに入ってくるタイプのシャドウだということは分かっていたそうで。その上で試合前には前田選手と堂安選手が裏へ抜け出すパスについても話し合っていたそうなんです。
そう考えると、本当にいろんなコミュニケーションが結実したゴールだなと思います。
――しかし、その6分後には、失点してしまいました。
相手が2トップで来ると日本でも報道されていましたが、メンバー表が配られた時点で3トップで来ることがわかり、選手たちが話し合って対応を決めたそうです。今回のMVPはDFライン全員だと思いますね。
ギョケレシュ(アーセナル)、イサク(リヴァプール)、エランガ(ニューカッスル)という相手の3トップはやはり相当レベルが高かったです。プレミアリーグでもトップクラスのアタッカーたちを、1失点に抑えたっていうのは、非常に評価できると思います。
板倉滉選手が途中で交代しましたけども、谷口彰吾選手が代わりに入って、あと最後、渡辺剛選手も入ってきて。代わった人も含めてディフェンスラインが良く持ちこたえたなと。それは評価すべきですかね。
懸念は疲労感、中3日で王国ブラジルと対決
――ラウンド32の対戦相手はブラジルになります。
懸念をあげるとしたら今回のスウェーデン戦も想像以上に苦しい試合になってしまったことですかね。試合後伊東洋輝選手が座り込んでいましたが、更に鎌田大地選手も今回フル出場ですからね。
次は中3日(日本時間、26日2時キックオフ)で試合があって、疲労もかなり溜まっていると思うので。相手のブラジルの方が1日多く休養もできるので、次は難しい試合になると思いますね。
いかにコンディションを管理、回復ができるかっていうのが次の課題だと思います。
ただ、そんな中でも長友選手を出せたことは日本サッカーにとっても大きな意味があったと思いますね。ここで出さなかったらもう決勝トーナメントでの出場は難しかったと思うので、そこの大きな交代もできた上での勝ち点1だったので。
――木崎さんは、ラウンド32では試合会場への移動の問題もあり、1位通過よりも2位で通過し、ヒューストンで行なわれるブラジル戦のほうがいいという持論を試合前から展開されていました。
メキシコへはそもそもキャンプ地ナッシュビルからの移動も大変な上、練習場へも遠かったりと、1位通過でモンテレイでの試合は大変だったと思います。
ブラジルの試合も観ていますが、十分勝機があると思っています。今回と同じように水漏れをさせない、0-0が大前提の失点しないサッカーを貫ければ相手がだんだん焦れて来ると思うんですよね。
PKに持ち込んで勝つぐらい、粘り強く接戦に持ち込むことができれば十分にチャンスがあると思いますね。
取材・文/集英社オンライン編集部

