全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
近年のカップ麺市場では、素材の旨味を前面に押し出した「だし系」の商品が人気を集めている。そんな中で登場したのが、エースコックの「山椒香る 帆立だし塩そば」だ。
商品名の通り主役は帆立だし。そこに山椒をアクセントとして加えた一杯である。
調理は熱湯を注いで3分待ち、フタの上で温めた液体スープを加えるだけ。フタを開けると、まず帆立の上品な香りが立ち上がり、その奥から山椒の爽やかな風味がふわりと漂う。
スープをひと口飲んで感じるのは、北海道産帆立だしの真っすぐな旨味だ。複合的な旨味は狙わずに、、帆立の甘みと旨味をしっかり中心に据えている。調味料や香辛料が主張しすぎることもなく、「帆立を味わう塩そば」というコンセプトが明快に伝わってくる。
飲み進めると、遠くに醤油のコクやオニオン、生姜、ニンニクなどの風味も感じられる。決して前面には出てこないが、それらが下支えすることでラーメンらしい奥行きを生み出している。山椒もあくまで名脇役。軽い刺激と爽やかな香りが帆立を引き立てる。最終的な印象はあくまで「帆立と塩」なのだが、その裏側にはしっかりとした設計がある。
具材はネギ、お麩、メンマというシンプルな構成。チャーシューは入っていないが、不思議と物足りなさは感じない。
特に印象的なのがお麩だ。スープをたっぷり吸い込んでおり、口に入れるとジュワッと帆立だしが広がる。麺以上にスープのダシ感を抱え込んでいて、この商品の魅力を伝える重要な存在になっている。
また、ネギのシャキッとした食感とメンマのコリコリした歯応えが良いアクセントになっているのも見逃せない。派手な具材はないが、食感に変化をつけることで最後まで飽きずに食べられる。
麺は程よい中太タイプ。あっさりした清湯スープながら存在感があり、食べ応えも十分だ。液体スープ由来のオイルによってスープの持ち上げも良い。
素材の旨みをじっくり味わいたい人や、上品な塩ラーメンが好きな人には特にオススメだ。引き算の光るシンプルながら完成度の高い一杯だ。
(執筆者: 井手隊長)
