
「自分は他のシャドーの選手とは別」の前田大然が、W杯で2大会連続弾。ただまたも勝利に繋がらず...次はブラジル戦「しっかりゴールを決めて、勝っていければ」
【W杯GS第3節】日本 1-1 スウェーデン/現地6月25日/ダラス・スタジアム
北中米ワールドカップの決勝トーナメントの行方が決まる重要な一戦。日本代表は現地6月25日、グループF最終節でスウェーデン代表と対戦した。
ここまでの2戦で勝点4を手にし、突破がほぼ確実となっていただけに、森保一監督がスタメンを大幅に変更するのではないかという見方もあった。
だが、ふたを開けてみると、チュニジア戦から3人を代えただけ。「勝って1位通過を決めたい」という前日会見の言葉通り、指揮官は勝ちに行く姿勢を見せた。
注目されたシャドーの組合せは、右に堂安律、左に前田大然。彼らが並べば高い守備強度を出せるし、相手の守備陣をかく乱することもできる。堂安がチャンスメイクに関与しつつ、前田が裏抜けからゴールといった形が出れば理想的。そんな期待も高まっていた。
それが現実になったのが、56分の先制弾だ。始まりは谷口彰悟のボール奪取からだった。鎌田大地が持ち上がり、上田綺世が起点となって右の菅原由勢へ。そこからサイドチェンジが左の中村敬斗に通り、中盤の田中碧を経て、右の菅原に再びボールが渡った。
次の瞬間、菅原の縦パスを受けた堂安が上田とワンツー。守備陣のギャップを突き、斜めに走り込んだ前田に鋭いスルーパスを供給した。前田は冷静に右足で流し込む。見事な崩しから生まれたゴールだった。
「トラップだけ集中しようと思っていて、それが決まったんで、あとは流し込むだけでした。律はああいう素晴らしいパスを出せるんで。逆に僕は出せないんで、もう走るだけかなと。そしたら良いボールが来たので、決めるだけでした」と、前田は“してやったり”の表情を浮かべた。
ご存じの通り、彼は前回の2022年カタールW杯・クロアチア戦でも、セットプレーから先制点をゲットしており、W杯通算2点目を奪ったことになる。当時は「得点した瞬間を覚えていなかった」というが、今回は「しっかり覚えている」と明言。本人の中では「ゴールへの道筋を明確に描き、それを具現化した」ということなのだろう。
カタール大会からの3年半で、セルティックで数多くのゴールを決め、多彩な得点パターンに磨きをかけてきたことが大きいのだろう。以前にも増して「必然」で点を取れるアタッカーになったと言っていい。
加えて言うと、シャドーという不慣れなポジションで得点を挙げたのも特筆すべき点。第二次森保ジャパンでの前田にとって、主戦場は左ウイングバック。1トップで使われるケースもあったが、シャドーは限定的。ほとんど経験のないまま本大会に突入し、初戦のオランダ戦とスウェーデン戦で先発。そしてスウェーデン戦で結果を残した。
「自分は他のシャドーの選手とは別だと思うので、自分の良さを攻守で出せればいいかなと思っていました」と本人も言うように、前田はこれまで左シャドーを担ってきた南野拓実や鎌田、三笘薫とは異なるタイプだ。
圧倒的なスピードと運動量、守備の献身性という強みがチームにプラスの効果をもたらすと森保監督が確信し、この重要局面での起用に踏み切ったのだろう。背番号11はその期待にしっかりと応え、3年半の成長を実証してみせた。
ただ、悔やまれるのは、自身の先制点からわずか6分後に、アントニー・エランガの同点弾を食らってしまったこと。中村が主審にソックスを履き替えるように注意され、ピッチを離れていた間のことだ。結局、試合は1-1で引き分けた。
1点のリードを守り切れなかったという意味では、前回のクロアチア戦と一緒。「勝たないと意味がないと思うので」と、3年半前のカタールで悔し涙を流したように、今回もまた不完全燃焼感の残るドローになった。
それでも、今の日本代表にも、前田自身にもまだ先がある。ラウンド32の相手はブラジル。前田がどのポジションで起用されるかは分からないが、自身が点を取ってチームを勝利に導くチャンスは残っている。
「次はしっかりゴールを決めて、勝っていければいいと思います」と彼は語気を強める。その強靭な精神力と勝負強さを発揮し、輝きを放てるか。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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