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【テニスギア講座】グリップ性、クッション性、耐摩耗性…テニスシューズで重視すべき機能を考える<SMASH>

【テニスギア講座】グリップ性、クッション性、耐摩耗性…テニスシューズで重視すべき機能を考える<SMASH>

今回はテニスシューズの機能を再確認するのがテーマです。シューズに搭載される色んな機能は、どんなプレーヤー向けのモデルかによって、そのバランスが構築されます。あなたが重視すべき機能は何か、探りましょう。

 テニスショップには数多くのテニス専用シューズが並んでいます。初心者にとっては、どれがどう違うかわからないでしょうが、それぞれがプレーヤーの個性や使用環境に応じて、幾つもの機能が組み合わされて設計されています。

 あるものは、見るからにガッシリしていて、強い踏み込みや激しいフットワークにも耐えてくれそうです。またあるものは、シンプルな造りで軽快そうな感じです。

 競技プレーヤー向けのモデルには、過激なフットワークを支えるための強固さや剛性が必要で、それを実現するために最適な素材や構造が複合的に重なっていきます。片や初中級者や小柄なプレーヤー向けモデルには、競技系ほどの強靭さを必要としないため、軽快に動けて楽しくプレーできるような組み合わせが選ばれます。

 皆さんがテニスシューズを選ぶ時は、色んな機能の中から、自分の体力やプレースタイルにとって「必要と思われるシューズ機能」を感じ取り、あれこれ取捨選択しながら、自分に必要で最適なモデルを選ぶわけです。
  昭和初期、テニスをする人たちが履いていたのは、ただのズック製運動靴でした。それが進化を始めたのは戦後になってからで、最初に搭載された機能は「グリップ性」です。次の一歩を踏み出す時に滑らない安心感のために、ゴム底の接地面に溝が刻まれたのです。

 今日では、フットワークのパワーロスを抑え、迅速に移動するために、ソールパターンに工夫が凝らされ、各サーフェスでグリップしやすい意匠が搭載されています。

 そして次に注目されたのが「クッション性」。硬いハードコートが増えたため、カカトへの衝撃を緩和しようと、まず構造的緩和対策が考案され、1980年代にはソール内に衝撃緩和素材が組み込まれるようになります。また単に衝撃緩和するだけでなく、反発機能によって蹴り出しパワーを増加するという考え方も採用されます。

 アッパーについても、昔は「天然皮革の方が、人工皮革製よりも高級」が常識でしたが、90年頃には天然皮革よりも高価な人工皮革製モデルが登場し、軽量化も進みます。アッパー素材の進化は「布製→キャンバス地→天然皮革→人工皮革→メッシュ+RPU(ラバーポリウレタン)」と、現代へつながります。
  次に注目すべき機能は、コストに直結する「耐摩耗性」。溝がなくなってグリップ性が低下しないようにするため、ただのゴムではなく、耐摩耗ラバーという特殊配合のラバーが使われます。

 かつてはソール全体がラバーで重かったんですが、今では「軽量ミッドソール+アウターソール」という構造へと進化し、重いラバーは、必要部分に限定して使用されています。

 さて、ここからが重要です。競技レベルが上がると、フットワークが激しくなり、プレーヤーはシューズに「高い安定性」を求めるようになります。それを実現するために、多くの補強システムが開発されたことで、堅牢なパーツが装備され、シューズの全体重量も“重くなる”わけで、現代的ベースライン対決では、横への安定性重視モデルが重宝されます。

 でもそれとは対極的な「軽量・機動性モデル」というカテゴリーも生まれ、コート全体を動き回るのに有利な軽いシューズが登場します。ただ、あらゆるパーツの軽量化を図りますから、安定性能はどうしても低くなってしまいます。

 こうした二極化が10年ほど前から進みますが、各メーカーが開発努力したことによって、「安定」vs「軽量」のギャップは少しずつ小さくなり、軽くても必要十分な安定性を備えたモデルも生まれつつあります。

 これからのテニスシューズは、「軽さ」と「安定性」というジレンマの解消に向かって進化するでしょう。
  軽量化と同じ路線で進むのが、「快適性」でしょう。キツイとか、どこかが当たって痛いのを避けるために、ワイド設計という選択肢も用意されますが、我々はただ余裕を感じるだけでなく、シューズの中で横ズレしない「本当のフィット」も重視しないといけません。

 アッパーも柔らかい方が快適なんですけど、パワーロスが生まれやすいのも事実。パフォーマンス向上のためには、足と一体となるアッパーが必要で、無駄なくパワーを伝えくれることも考える必要があります。今後は、柔らかい感触の快適性と、足へのフィット性が両立するような機能開発も進んでいくことでしょう。

 軽量さや快適感は、安定系の競技性とは真逆にあります。全てを同時実現するテニスシューズは、いまだ「夢」のままです。

 そんな中で私たちは、どっち付かずの「中レベルの万能っぽさ」で満足しちゃうのではなく、自分にとって必要な機能・性能のバランスを知って、ベストチョイスをしていくようにしましょう。

文●松尾高司(KAI project)
※『スマッシュ』2025年1月号より抜粋・再編集

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配信元: THE DIGEST

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