
『機動戦士ガンダム』に登場したガンタンクを立体化した、「HGUC 1/144 RX-75 ガンタンク」(BANDAI SPIRITS)
【画像】「内部にファンがいたのか?」 これが色々作られた「ガンタンク」の派生型機体です(5枚)
なぜ乗員は頭部に? 防弾性も低く「丸見え」状態
『機動戦士ガンダム』に登場するMS(モビルスーツ)である「RX-75 ガンタンク」は、下半身が戦車のように無限軌道(キャタピラ)という一風変わったスタイルのMSですが、それゆえか特異な運命を歩むことになります。
ガンタンクの下半身が無限軌道なのは、「地球連邦軍が2足歩行のシステム実用化前だったから」というのが通説です。しかし連邦軍のMS開発を推し進めた「V作戦」の最初のMSということで、脱出カプセルともなる「コア・ファイター」を中心とした「コア・ブロック・システム」という最新技術を組み込んでいました。
このコア・ファイターがコクピットになるわけですが、ガンタンクにはもうひとつのコクピットがあります。それが頭部に備えられた砲撃手用のコクピットでした。この頭部コクピットはミノフスキー粒子下における有視界戦闘を考慮し、透過性の高い特殊素材による防弾キャノピーを採用しています。
しかし通常の装甲に比べれば耐弾性は低く、腹部と違って脱出カプセルになっているわけではないので、パイロットの生存率は比べるまでもないでしょう。戦闘機と同じレベルかもしれませんが、高速で動くものと陸上で走行するものでは直接狙われる可能性は段違いです。
ところが「ホワイトベース」で運用されていたガンタンクは、後にコントロール系を統一し、この頭部コクピットで操縦するシステムへと変更されました。あきらかにパイロットの生存率を下げる変更ですが、これはホワイトベースならではの苦渋の選択だったのかもしれません。
コクピットが頭部になった「ふたつの可能性」
ガンタンクのコクピットを頭部にしなければならなかった事態。その原因は「リュウ・ホセイ」の特攻によるコア・ファイターの損失が引き金だったのかもしれません。つまり予備のコア・ファイターがないゆえの現地改修だったのでしょう。
ガンタンクを単座にしなければならなかった理由ですが、まず考えられるのはホワイトベースのパイロット不足の可能性です。しかし、パイロットはリュウがいなくなったあとも「セイラ・マス」や「ジョブ・ジョン」がいるので、理由としては低いかもしれません。
むしろガンタンクの複座から単座への変更は、最前線で戦うホワイトベースならではの戦力の立て直しが急務だったからと考えられます。現状で使える戦力を確保するため、急きょガンタンクを改修したということでしょう。
もっとも、後にコア・ファイターは補充されたようで、「オデッサ作戦」ではガンタンクのものが「Gスカイイージー」に転用されていました。少なくともTV版ではそう考察できます。
ところが劇場版では、リュウの戦死とガンタンクの単座改修の順番が逆になっていました。これはどう解釈できるのでしょうか。こちらはホワイトベースに対するニュータイプ部隊への「実験」という意味合いが強かったと考えられます。
TV版と違って劇場版では、連邦軍がホワイトベースをニュータイプ部隊として考えていました。それゆえガンタンクのコクピットをあえて危険な頭部にし、どう運用するのかをテストしていたのかもしれません。
もっとも、これに関して大きな進展がなかったことから、宇宙へと向かわせる際にガンタンクの代わりに2機目の「RX-77 ガンキャノン」を配備したと考えられるでしょう。
いずれにしても、ガンタンクのコクピットを頭部にした明確な理由はいまだに語られていません。今後も考察の余地のあることではないでしょうか。
