
「チームの完成度が上がってきている証拠」上田綺世がブラジル戦前に口にした確信。4年間の積み上げが生んだ成果とは?【W杯】
2026年6月10日(日本時間11日)、日本代表の上田綺世はオランダ戦を前にこんな言葉を残した。
「別に変える必要がないじゃないですか」
相手がオランダだから守備的に戦う、これまで積み上げてきたものを捨ててオランダの戦い方に合わせて小手先で凌ぐ──そんな発想自体が上田にはなかった。
「前回のワールドカップが終わってから同じコーチ陣と監督と、戦術をアップデートしながらやってきた。ここで自陣に全員引き込んで守りましょうってやる必要がないじゃないですか。僕らが培ってきたものをぶつけるために準備してきたので」
「自信」という言葉では片付けられない。
4年間積み重ねてきた日本の戦い方への確信だった。
実際、日本はグループステージ3試合を通して、自分たちのスタイルを崩さなかった。相手も試合展開も異なった。それでも自分たちのサッカーを堂々と表現し続けた。
それを踏まえ、6月27日(日本時間28日)、著者は次のように聞いた。
「大会前に『変える必要はない』と言っていましたが、3試合とも日本らしいサッカーを展開できていた印象です。上田選手は実際にピッチに立ってみて、チームの成長を感じた部分はありますか?」
すると、上田はしっかりとこちらに目線を合わせて自身の見解を述べた。
「戦術的なことを言えば、より明確化できていますよね。試合中のシチュエーションだったり、相手、自分たちの状態、スコアによってもそうですけど、自分たちが今何をしなきゃいけないのか、チームとしてどういうプランで行くのかが明確になっています」
完成度が高まった理由は、単に戦術を理解しているからではない。試合の流れが悪くなっても、チーム全体が"今何をすべきか"を共有できるようになっていることだという。
「この4年間の積み上げもそうだし、ここ3試合やっていても、もちろん流れが悪い時間はありますけど、戦術的に僕らが噛み合ってないような状態にはなっていない。それが今、チームの完成度が上がってきている証拠だと思います」
さらに印象的だったのは、その先の言葉だった。
「ブラジル戦でもそうだし、仮にこれまでとまったく違うやり方を試したとしても、多分そういうふうに噛み合わないような状況になることはないと思います」
それは戦術の引き出しが増えたという話ではない。どんなプランを選択しても、選手全員が同じ絵を描きながらプレーできる。それだけの共通理解が、このチームには備わっているという自信だ。
大会前に語った「変える必要はない」という言葉は、グループステージ3試合を経て、結果と内容の両面から裏付けられた。
森保ジャパンが積み上げてきた4年間は、単なる戦術の成熟ではない。状況が変わっても迷わず同じ方向を向ける——その"完成度"こそが、日本代表が世界と渡り合うための最大の武器になりつつある。
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長/現地特派)
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