
ブラジル戦で鎌田大地はボランチ? シャドー?「過剰なリスペクトはない」。臆せず戦える強靭なマインドも魅力だ【日本代表】
森保ジャパンの8年間の集大成となる北中米ワールドカップ。ラウンド32のブラジル戦が目前に迫っている。
日本代表は6月27日にベースキャンプ地のナッシュビルから決戦の地ヒューストンへ移動。試合前日は酷暑のなかで調整を行ない、欠場が決定した久保建英以外はプレー可能な状態だ。
25日のスウェーデン戦で左太もも裏の違和感を訴え、39分に交代したキャプテンの板倉滉も「必要な場面があったらやるだけ」と気合を入れていた。ここからの試合は延長・PK戦もあるため、まさに総力戦。チーム一丸となって乗り切るしかないだろう。
そこで気になるのは、中盤の大黒柱である鎌田大地の起用法だ。
グループステージの全3試合に先発した背番号15は、オランダ戦とスウェーデン戦はボランチ、チュニジア戦では左シャドーでプレー。2つのポジションで絶大な存在感を示していた。
「相変わらず10番で試合に出るっていうのは簡単じゃないなと。ただ、10番で出ると決まった時には、あまりゲームを作ることは必要ないので、相手の嫌がるところに入り込む、できるだけ危険な場所に行くことを考えて、(南野)拓実君のプレーを意識しました」と、鎌田はチュニジア戦後にコメント。ゴールを強く意識してゲームに入り、実際に先制点を叩き出すことに成功した。
ただ、「ボールを持てる展開では全然良いんですけど、オランダ戦のような守備を基本的にやって、カウンターっていうなかでの10番はなかなか難しい」とも言及。オランダ戦同様に、ボール保持率で下回ると予想されるブラジル戦で2列目に入るのは、ややリスクが高そうだ。
となれば、やはり今回はボランチでの先発が有力か。25年10月に歴史的初勝利を挙げた前回対戦でも、鎌田と佐野海舟のボランチコンビが非常に効いていた。森保一監督も彼らを軸に据えて、機動力とアグレッシブさを強く押し出していく展開に持ち込みたいはずだ。
そのためにも、鎌田を3列目に配置し、シャドーには前田大然と堂安律というスウェーデン戦と同じ守備強度の高い2人を並べて、良い守備から良い攻撃を具現化できれば理想的。一瞬の隙を突いてゴールを奪うチャンスも見出せそうだ。
こうしたなか、鎌田にまず託されるのは、リスク管理とゲームマネジメント。相手はヴィニシウス・ジュニオールら前線が攻め残る傾向が強く、不用意にボールを失うと、一気にショートカウンターを繰り出されてしまう可能性はある。
スタンドの半数以上をブラジルサポーターが占めるであろうヒューストンで、たとえば先制点を与えることは、致命傷になりかねない。
この事態を回避するために、安定感とスムーズさをチーム全体に与えることが、鎌田の重要なタスク。相手も鎌田へのマークをより一層、強めてくるだろうが、それをかいくぐって攻守両面で違いを見せられるのが今の鎌田だ。ボランチ出身の森保監督も、その存在価値を強く認識しているに違いない。
さらに言うと、ブラジルにも臆することなく戦える冷静さと落ち着きを率先して示すことも大きな役割。プレミアリーグで日常的に世界のトップ選手と渡り合っているからこそ、できることである。
「少なくとも自分たちのメンタリティ的に、過剰なリスペクトは、昔のようにはないと思う。間違いなく、良い意味で強豪国相手にも変わらずにできると思います」とも鎌田は語る。ガブリエウ・マガリャンイスやブルーノ・ギマランイスらに圧倒されない強靭なマインドを、この男は誰よりも備えていると言っていい。
前回対戦を振り返っても、「ブラジルはツーセンターバックにちゃんとした選手が出ていれば、違った展開になっていた。言っても練習試合なので...」と振り返る。金星を手にしても、喜びを爆発させることは一切なかった。その達観と自然体が大舞台では実に頼もしい限りだ。
W杯の決勝トーナメント一発目ということで、チーム全体に大きな緊張感が漂うだろうが、鎌田が平常心でブレることなくプレーしていれば、日本は必ず良い方向に行くはず。日本の成否は高度な国際経験値を備えた鎌田の一挙手一投足にかかっていると言っても過言ではない。その動向を冷静に見守りたい。
取材・文●元川悦子(フリーライター)
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