最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
本当に優勝まで届くのか? イングランド代表に疑問符。“チーム”になり切れていない。2人の閃きだけでは足りない【W杯】

本当に優勝まで届くのか? イングランド代表に疑問符。“チーム”になり切れていない。2人の閃きだけでは足りない【W杯】


 結果だけを見れば、イングランド代表は順調に見える。北中米W杯のグループステージ第3節でパナマを2-0で下し、2勝1分けの成績でグループLを首位突破。決勝トーナメント1回戦では、米国アトランタでDRコンゴと対戦することになった。

 だが、試合後に残った感情は安堵ではなかった。それよりも「果たして、この内容で本当に優勝まで届くのか?」という疑問の方が濃かった。

 英BBCも「任務は果たした。しかし改善しなければイングランドはW杯を勝ち取れない」と報じたが、決して大げさな見方ではないだろう。パナマ相手の2-0というスコアは悪くない。しかしその中身は、優勝候補が格下を堂々とねじ伏せた試合とは言い難かった。

 初戦のクロアチア戦(4-2)では、まだ期待を抱かせる迫力があった。試合はスリリングに動き、イングランドは前へ前へと圧力をかけ、プレミアリーグの強豪クラブを思わせるテンポと強度で相手を押し込んだ。

 ところが、続くガーナ戦(0-0)、そしてこのパナマ戦では、低い位置に守備ブロックを敷く相手を前に、攻撃は途端に重くなった。ボールは保持している。相手陣内にも入る。しかし、そこから決定的な崩しに至るまでの道筋が見えにくい。

 この日のイングランドを救ったのは、やはりジュード・ベリンガムだった。62分、ブカヨ・サカのCKに反応し、相手DFに腰を抱え込まれながらも身体を張って踏みとどまり、左足で先制点を押し込んだ。

 さらにその5分後には、左からふわりとしたクロスを送り、ハリー・ケインの追加点をアシストした。ケインは相手DFの前へ巧みに入り、ヘディングでネットを揺らした。
 
 このゴールによって、ケインはW杯通算11点目を記録。ガリー・リネカーを抜き、イングランド代表史上最多のW杯得点者となった。1990年のイタリア大会でリネカーが10点目を決めて以来、長く破られなかった記録である。ケインは試合後、「また一つ誇らしい記録を達成できた。これが、この大会で最後の節目にならないことを願っているよ」と語った。

 そのケインでさえ、この日の主役はベリンガムに譲った。ベリンガムについて問われると、「今回も素晴らしいパフォーマンスだった。今の彼は本当に闘志に満ちあふれている」と称えた。英語では「He’s got the bit between his teeth」と表現していた。馬がくつわを噛みしめて前へ進もうとする様子に由来する言い回しで、今のベリンガムの前のめりな気迫をよく表わしている。

 ただし、ベリンガムが輝いたことと、イングランドというチームが完成に近づいていることは同じではない。むしろ逆だろう。完全には噛み合っていないチームの中で、ベリンガムの個の力が試合を動かした。そう見るべきだ。

 この試合でベリンガムは、同郷の幼馴染であり、ポジション争いのライバルでもあるモーガン・ロジャーズと同時に先発した。4-3-3のインサイドMFに近い位置で並び、状況によってはベリンガムが8番にも10番にもなる形だった。

 デクラン・ライスが休養を与えられたこともあり、中盤には新しい組合せが試された。ボール保持時には左サイドバックのニコ・オライリーが内側へ絞り、右サイドのジャレル・クアンサーは最終ラインに残って3バックの一角のように振る舞った。この形によって相手陣内ではガーナ戦より数的優位を作りやすくなり、高い位置からのプレスも効きやすくなった。
 
 だが、その一方で守備の安定感は乏しかった。マーク・ゲイ、エズリ・コンサ、クアンサーの3人は、必ずしも一体として動けていたわけではない。実際、試合開始からわずか10秒でパナマにシュートチャンスを許した。

 アンカー役のエリオット・アンダーソンはボールを持てば落ち着いていたが、カウンターを受ける場面では孤立することもあった。パナマ相手にこれだけ簡単に前進を許すなら、より質の高い相手にはどうなるのか。このシステムでは、その不安は消えない。

 英テレグラフ紙の手記で、元イングランド代表DFのジェイミー・キャラガーが指摘したように、今のイングランドはまだ「チーム」になり切れていない。ケインとベリンガムという世界最高級の2人に大きく依存している。

 キャラガーは、得点もチャンス創出もこの2人に負担が集中しているとし、「他の選手たちが立ち上がらなければ、イングランドは早々に帰国することになる」と警鐘を鳴らした。
 
 トーマス・トゥヘル監督は試合後、ベリンガムについて「彼は今、最高の状態にある」と語った。確かに、ベリンガムは大舞台で試合を変える力を持つ。ケインもまた、記録が示す通り、ワールドクラスの決定力を備えている。だがW杯を勝ち取るには、2人の閃きだけでは足りない。

 首位通過には価値がある。苦しみながらも勝ち切ったことも、決勝トーナメントを前にしたチームにとっては小さくない収穫だろう。だが、ここから先のステージは相手の質も、試合の重みも変わる。ケインとベリンガムが救ってくれる試合はあるはずだが、彼らに救われ続けるだけのチームが、頂点までたどり着くとは限らない。

 イングランドが本当の優勝候補になるためには、ベリンガムとケインの輝きに周囲が引き上げられ、一つのチームとして機能し始める必要がある。パナマ戦は、その可能性を示した試合ではなく、その必要性を再び突きつけた試合だった。

文●田嶋コウスケ

【美女サポ画像】北中米W杯を華やかに彩る各国ファンを一挙公開!

【画像】メッシ、エムバペ、ネイマールも! 世界のスター選手はどんなポーズ? FIFA公式ポートレートの厳選ショットを一挙公開!

【記事】「今だったらもっと化け物に」──森保ジャパンでも共存可能? 中田英寿という“終わらない夢”
配信元: SOCCER DIGEST Web

あなたにおすすめ