
俳優の綾瀬はるかが、6月29日、都内で行われた主演映画「箱の中の羊」(全国公開中)の舞台あいさつに登壇。公開から1か月を経た今の率直な心境や、劇中で夫役を演じた千鳥・大悟への“妻目線”のクレームを明かして会場を笑わせた。
■母が5回もリピート! 綾瀬はるか、是枝作品の大きな反響に「さすが」
5月29日に全国365館で公開を迎えた本作は、公開26日間(5月29日~6月23日)で動員50.8万人、興行収入6.8億円を突破。公開2週目の週末動員ランキングでは邦画No.1を記録するなど大ヒットを続けている。
周囲からの反響について綾瀬は、「普段、『観たよ』とお声がけをされないような方からも今回はお声がけいただくことがあって。さすが是枝裕和監督の作品だなと思っています」とその影響力の大きさを改めて実感している様子。身近な家族からの支持もあったようで、「母はこの作品がすごく好きみたいで。行くたびに相手を変えながら、5回も観たと言っていました」と明かし、会場を驚かせる一幕も。
綾瀬自身、「観る方によって受け取り方が違う作品だなと感じていて。だからもう一回観てみたいと言ってくださる方が多いように思う」とのことで、客席に向けて「皆さんは何回観てくださったんですか?」と逆質問。会場の半数近くが「複数回観た」「綾瀬さんに会いに来ました!」と手を挙げる一方で、「この日が初めて」という人の姿もある。そんな会場の様子からも、まだまだ本作の魅力が広がり続けている様子がうかがい知れた。
またこの日のステージには、タイ、ベトナム、香港、韓国などアジア各国で展開されている海外版ポスターが勢ぞろい。その違いに「見たことがないポスターですね、すてきです」と目を輝かせた。中でも韓国版のポスターは日本版とは違うデザインが採用されているということもあり、「これもすてきですね。本当にうれしいです」と喜びのコメント。さらに近く、是枝監督がタイとベトナムへ渡航する予定だと聞くと、「楽しみですね」と笑顔を見せた。

■生成AIの占い結果に驚き「私はねぼすけ最下位?」
続いては、SNSや制作スタッフから募集した質問に綾瀬が答える企画「箱の中にある『箱の中の羊』の質問を綾瀬はるかが答える」というコーナーを実施。質問箱から引いた「演じ終えた後も、ご自身の中に残り続けている感情や言葉はありますか?」という質問に、綾瀬は「ありました」と返答。
「私が演じる音々さんが、壁にぶつかって悩んでいるときに翔から質問をされて、『悩みたいの』と返すんです。今って、生成AIなどに質問すればすぐに答えが出てくるけど、悩んでいる時間こそが『その人らしさ』だろうなと思って。その言葉はすごく印象に残っています」と答える。
そんな綾瀬自身、日常的に生成AIを利用することがあるそうで、「分からないときに聞いたりしています」と返答。「綾瀬さんの頭の中には今、何がぎゅうぎゅうに詰まっていますか?」という作品のタイトルにちなんだ質問には、「実はさっき、ちょっと生成AIで占いをしていたんです」と笑ってみせる。
「みんなの生年月日を入力して『誰が一番なまけものかランキング』とか『食いしん坊は誰かランキング』を出して遊んでいました。『あ、この人はこういう性格なんだ』と知れて、今はそれが一番頭の中に入っていますね」と返答した。
その占いの結果について「あくまで生年月日ベースなので正しいものではない、という前提の上でなんですが……私、休みの日はずっと寝ている『ねぼすけランキング1位』だと思っていたんですけど、まさかの最下位だったんです」と驚いた様子で報告する。
その理由として、生成AIは「休みの日にはジッとしてられず、すぐに予定を入れてしまうから」と指摘していたというが、その指摘に綾瀬も「確かに当たっているかも。空いている時間があるとすぐに入れちゃうなと思いました」と感心した様子だった。
さらに「100年後の世界、綾瀬さんが活躍しているとしたらうれしいですか? 嫌ですか?」という質問には、「自分自身が出ているとなると、勝手に言葉を作られたり、自分(綾瀬)だったらこう言いそうだよねということで、まとめられてしまうということですよね。それはどう使われるのか分からないので、ちょっと怖いかもしれません」と率直な思いを吐露する。
一方で、「たとえば今まで自分が演じてきたキャラクター、『義母と娘のブルース』の亜希子さんみたいなキャラクターをAIにするなら、何かあったときに質問してみるのは面白いかなと思います」とユニークな視点で語った。
さらに100年後のテクノロジーへと想像を膨らませた綾瀬が「ここ数年で生成AIが急速に発展しているので、100年後はすごい世界になっていそうですよね」と語ると、「今、一番開発されてほしいのは『どこでもドア』みたいなもの。実家に帰りたいときにドアを開ければ、もう実家に着いているみたいな…でもそれだと全く運動しなくなっちゃって、逆によくないのかな?」と、ユーモアたっぷりな答えで会場を和ませた。


■自身の弱点は「決断力」と意外な素顔を告白
劇中で夫・健介を演じた大悟について、「撮影現場では、大悟さんを何と呼んでいましたか?大悟さんからは何と呼ばれていましたか?」という質問も。それには「基本は『大悟さん』と呼んでいましたが、たまに役名の『健ちゃん』と呼ぶこともありました。大悟さんも『はるかちゃん』というときと、『音ちゃん』と呼ぶときがありました」とコメント。
大悟自身、最初、何と呼べばいいかすごく悩んでいたとのことで、「綾瀬さん」「あやせ」「はるかちゃん」「はるか」などとシミュレーションをしていたというが、「結局、はるかちゃんになりました」という微笑ましいエピソードで会場を笑顔に包み込んだ。
そしてこの日は、大悟からの質問も読み上げられ、「想像の中になりますが、旦那の健ちゃんに直してほしいことはなんですか?」と綾瀬に投げられた。すると綾瀬は“妻”音々の顔つきとなり、「健ちゃんはお風呂の中で洗い物をしていたので。ああいうことはしないでほしいですね。それと音々さんがもう一個怒ったことがあって。食事をぐちゃぐちゃにして食べる癖。それは嫌だって言っているでしょと、音々さんは怒っていました」と“妻”からのクレームを代弁し、客席の笑いを誘った。
また劇中、甲本家の庭にレモンとオリーブの木が植えられる印象的なシーンにちなみ、「綾瀬さんが育てるなら何の木がいいですか?」という質問も届いた。綾瀬は「レモンがいいかなと思いました」と即答。「レモンの木があると、そのまま取ってきて炭酸水に絞って。レモン炭酸水にしたらすごくおいしくて。レモンもいいですし、シソの葉もいいですし、梅の木もいいですね。生活が豊かになるものがいいですね」と食べ物の名前を次々と挙げると会場は大盛り上がり。
だが、本作の劇中で苗を買いに行くシーンがあり、その撮影の後に「好きな苗を持って帰っていいですよ」と言われ、是枝監督と綾瀬はレモンの苗をもらっていったというが、「監督も私もすぐに枯らしてしまいました。私もロケに出たときに大丈夫かなと思ったんですけど、全然大丈夫じゃなかった」と告白し、会場の笑いを誘った。(※イベント後、監督は枯らしていなかったことが発覚)
また「もし未来の自分に一つだけ“アップデート機能”をつけられるなら?」という問いには「決断力です」と回答。「生成AIによると、決断力がないと出てきたときがあって。こっちがいいなと思っても、もう一つの方を想像してみると、そっちはそっちの良さがあるな、いいなと思ったりして。なかなか物事を決められないことが多いですね」と語る。続けて、「でも私、意外にレストランのメニューを決めるのは早いんです。でもお弁当で、魚か肉かで悩むときは、人に決めてもらっちゃいます」と明かし、会場を沸かせた。
■「前向きな旅立ち」を伝えたい――綾瀬はるかが作品に込めた優しい願い
イベントの終盤、「この作品を“ひと言で表すなら”どんな物語だと思いますか?」と質問された綾瀬は、「前向きな旅立ちです」と返答。「観てくださる方によって受け取り方は違うと思いますが、登場人物のみんなが、最後には前向きな旅立ちをしているというか、一歩を踏み出している。そういう映画だという気がしています」と語った。
イベントを締める最後のメッセージを求められた綾瀬は、「公開から1か月が経ち、すでに多くの方に観ていただけていることを本当にうれしく思います。この作品は、見終わったあとに『やっぱり人は一人ではなくて、大切な誰かと繋がって、分かち合うことで成長に繋がるんだ』というお話だと思います。見終わったあとに、そういう誰かを思い浮かべたりするような、そんな優しい時間になったらいいなと願っています。上映はまだまだ続きますので、よろしかったらぜひ、大切な誰かを誘って、また劇場に観に来てください」と会場に呼びかけた。
■映画「箱の中の羊」ストーリー
息子を亡くして2年、建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店の二代目社長を務める健介(大悟)の甲本夫婦は、息子・翔(桑木里夢)の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。
彼が到着した日、「おかえり」と駆け寄り喜びを隠さない音々と、戸惑いを隠せない硬い表情の健介。「パパだよね」と問いかけられた健介は、「おじさんでええよ」と答えるのだった。
少しずつ動き始める家族の時間。静かに広がっていく波紋。ほどなく予期せぬ事態が起こり、夫婦がそれぞれに抱く息子の死への思いがあらわになっていく。
夫婦とは?家族とは?彼らは大きな決断に迫られる。そんな中、ヒューマノイド翔は、密かにヒューマノイドの仲間たちとつながり始める──。
※桑木里夢の「桑」は異体字(木の上に十と草かんむり)が正式表記

