
日本史上初の五輪→W杯ゼロも…W杯→五輪→W杯? 若手の突き上げは不可欠。28年ロス大会を最大限に有効活用したい。ただ「Bチームのようになるかも」問題あり
“ねじれ現象”は起こるのか。
日本代表は6月30日、決勝トーナメント1回戦でブラジル代表に1-2で逆転負けし、北中米ワールドカップを去ることとなった。
今大会、森保ジャパンの26人の中でパリ五輪メンバーはゼロ。選出が有力視されていた藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)も落選した。日本がW杯に初参戦した1998年のフランス大会以降、直近の五輪出場者がW杯メンバーに不在だったのは、今回が初めてだ。
もっとも、パリ五輪世代という意味では、久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木唯人(フライブルク)、鈴木彩艶(パルマ)、鈴木淳之介(コペンハーゲン)がいる。とはいえ、五輪→W杯という明確な目標があるなかで、誰1人ステップアップできず、経験を還元できないというのは非常に寂しいデータであり、厳しい現実である。
東京五輪勢の2021年直後からの躍進を考えれば、余計に物足りなさを感じる。
一方で、今後はW杯→五輪という、逆のルートを辿る選手が出てくるかもしれない。2005年生まれのストライカー、後藤啓介(フライブルク)と塩貝健人(ヴォルフスブルク)だ。
後藤はさっそく2028年のロサンゼルス五輪出場に意欲を燃やしており、インスタグラムで「2028年。大会は違いますが、もう一度このアメリカの地で闘い、新たな歴史を共に作りましょう。そして、2030年。さらに強くなった日本でもう一度世界に挑みましょう!」とメッセージを発信。W杯→五輪→W杯のビジョンを明かした。
ただ、五輪はW杯と違い、クラブ側に招集に応じる義務がない。また、新シーズンの開幕直前に行なわれるため、所属クラブのプレシーズンに参加できず、自チームでのポジション争いに影響が出かねない上、オフ期間が短縮され、コンディション面への懸念がある。
そして移籍の問題がある。実際、2024年夏にFC東京からサウサンプトンへ渡った松木玖生は、パリ五輪の出場権獲得に大きく貢献しながら、本大会のメンバーを外れた。
ベストメンバーへの高いハードルは頭痛の種だ。日本サッカーを長く取材するブラジル人ジャーナリスト、チアゴ・ボンテンポ氏はこう語る。
「問題は、今のオリンピック代表候補はすでにヨーロッパでプレーしている選手が多いことだ。オリンピックの時期、ほとんどのクラブは選手の派遣を許可しないだろう。日本がロス・オリンピックに出場できても、Bチームのようなメンバーで戦うしかない恐れがある。(日本人選手が数多く所属し、理解がある)シント=トロイデン以外は、絶対行かせなさそうだね」
25歳の久保はブラジル戦の翌日、下の世代の台頭について「もちろん伸びてきてほしいけど、現状だと4年後、じゃあ僕の下の世代が何人もワールドカップメンバーに入ってるかって言われたら、今入っているメンバーがここから急激に衰えない限りは、同じメンバーなんじゃないかな。今はすごくレベルが高いし、割って入れるほどの選手がいるとは思えない」と率直に語った。
世界との差を埋めるために、選手層の強化は不可欠。若手の突き上げが必要で、大舞台での経験が物を言う。
一筋縄ではいかないが、今W杯と次のW杯の間に開催される、ロス五輪を最大限に有効活用したい。
文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
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