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【Do My Best, Go!|深田茉莉・女子スノーボード|後編】「みんなの思いを背負って滑り切れてよかった」積み重ねてきた努力が実った金メダル

【Do My Best, Go!|深田茉莉・女子スノーボード|後編】「みんなの思いを背負って滑り切れてよかった」積み重ねてきた努力が実った金メダル

アスリートへのインタビューを通し、明日への一歩を応援する「Do My Best, Go!」。今回登場するのは、スノーボードのビッグエアとスロープスタイルでミラノ・コルティナオリンピックに出場、スロープスタイルで金メダルを獲得した深田茉莉さん。第一線で活躍した経緯、その土台となる食への意識、今後への思いなどを前編/後編でお届けする。

――2023-2024シーズンの後半は苦しいときもあったと聞いています。振り返ってみてどんな時期だったのでしょうか。

 練習を積み重ねてきた自信はあったのに結果につながらないことが辛かったですね。一時期は大会には出ずに、中国でずっと練習していましたが、それだと自分がどれだけ成長しているのかを見失ってしまって、それも辛かった。練習に身が入っていないと佐藤コーチに指摘されたこともありました。これまでの人生の中で一番辛かった時間でしたね。そんなときでも中国の方たちがとても温かくサポートしていただいたので本当に感謝しています。

――その辛い時期をどのように脱したのでしょうか。

 中国でのトレーニングを終えた後に出た大会では予選落ちになって、「今までの練習はなんだったのかな」とすごく落ち込みそうになりましたが、あきらめずにもう一度ハードな練習をして次の大会では久しぶりに優勝できました。きっかけがあって状況が変わったわけではなくて、練習を信じてやめなかったことが大切だったと思っています。

――辛い時期も財産にしつつ、ミラノ・コルティナオリンピックの代表に決まりました。

 目標を聞かれたときには「メダルを獲ります」と答えていましたが、出場しないことには何も始まらないと思っていました。だから、出場が決まったときは素直に嬉しかったですし、自分よりも周りの人が喜んでくれたので本当によかったなと思いました。
 ――大会が始まり、まずビッグエアがありました。9位という結果でしたが、終わったときはどのような心境でしたか?

 出場している選手たちが他の大会でもよく一緒になるメンバーで、ジャンプ台や試合環境も普段の試合と似た光景だったこともあって、どこか普段の試合と同じような感覚になっていました。でも、日本から家族全員が見に来てくれていて、競技が終わって親の顔を見たときに「9位で終わっちゃったんだ、終わるときは一瞬なんだな」と思って悲しくなりました。

――続くスロープスタイルを迎えるにあたって、どう気持ちを整えていったのですか?

 ビッグエアでなぜ失敗したのかをコーチと話し合ったとき、自分がすごく緊張していたことに気がつきました。試合前日から何回も動画を見たことで逆に緊張してしまっていたみたいでした。だからスロープのときはぎりぎりまで練習していました。自分だけじゃ頑張れなかったかもしれませんが、中国のスー・イーミン選手たちと最後の最後まで一緒だったので頑張ることが出来ました。
 ――そしてスロープスタイルでは金メダルを獲得しました。

 自分でも「私が金メダルなんだ」って思っちゃいました。今まで親が泣いている姿を見ることはなかったですが、金メダルを獲ったときに泣いている姿を見て、頑張ってよかったな、みんなの思いを背負って滑り切れてよかったと改めて実感しました。

――「みんなのため」という思いが強かったのですね。

 大会で結果を出すことは、もちろん自分のためでもありますが、応援してくれる方々に喜んでほしいという思いがあります。でも、私のことで喜んでいる姿を見ると自分も嬉しくなるので、どちらかというと自分のためかもしれませんね。

――今回、スノーボード日本代表は各種目の男女を通じて今までのオリンピックで最高の結果を残しました。スノーボード全体の日本の強さはどこにあると思いますか?

 日本代表だけではなく、日本人選手全体のレベルがとても高くて、みんなすごく努力して、練習時間も長いです。海外で練習していても最後まで残っているのは日本人みたいな感じです。そうした環境なので尊敬できる先輩や努力を続けている人が周囲にたくさんいるから自然と一人一人の実力も勝手に上がっていくし、練習施設も素晴らしいので環境面でも恵まれています。ここまでの環境を作ってきた先輩たちのおかげでもあると思います。――ここからは食事についてお聞かせください。アスリートとして歩む中で、食生活において心がけていることはありますか?

 正直あまり意識はしていないですが、私が埼玉の方で練習を始めるようになって、最初の頃は兄が料理を作ってくれていたのですが鶏肉とか入れてくれたり、パワーをつけるためのご飯というのは考えてくれていたのかなと思います。

――海外遠征の機会も多いと思いますが、日本と食事の環境もかなり異なるのではないでしょうか。工夫していたことはありますか?

 泊まる場所によって食事は変わりますが、ホテルに滞在するときはホテルで食事をすることが多いです。みんなでコンドミニアムを借りるときは、分担で料理を作っています。日本から調味料や食材を持っていって、日本食を食べられるようにしていました。私が作ることもありますけど、先輩の(岩渕)麗楽ちゃんが料理はすごい上手なので、岩渕選手に作ってもらうことの方が少し多いかなと思います。(笑)

――きのこは栄養価が高く、低カロリーな食材として注目されていますが、日々の食事で食べることはありますか?

 はい。意識的にして食べるというわけではないですけど、週に2、3回ぐらいは食べていると思います。料理を作るとなったら、自然ときのこが入っている料理を作っている感じですね。

――腸内環境の改善の働きもありますが、ご存じだったでしょうか。

 なんとなく体に良いというのは聞いたことがありますが、あまり詳しくは知らなかったです。

――今年4月にはトヨタに入社されました。

 地元の企業なので家族全員がトヨタ車に乗っているくらい好きな会社です。去年の夏ごろにご縁があって、私の方からお話しさせていただきました。スノーボード選手として活動するうちはたくさんの人に自分のことを知ってもらって、応援していただきたいと思いますし、私が活躍することで皆さんの活力になりたいという気持ちがあります。そのためにはスノーボードだけじゃなく社会人としても成長しないといけないと考えていたので、そこを学べる場所として考えたのがトヨタさんでした。

――オリンピックからまだ数カ月しか経っていない時期ですが、これからの目標や思い描いている青写真があったら教えてください。

 これから世界選手権がありますが、これまでの最高順位が3位だったので、もっと上を目指したいというのと、今回オリンピックのスロープスタイルで金メダルを獲ることができましたが、そこでできていなかったことや新たな技も習得して、これからの大会で披露できたらいいなと思っています。

――深田選手にとってスノーボードとはどのような存在ですか?

 80歳とか90歳まで生きる人生のなかで、スノーボードをやっていた時間はその一部にしかならないと思いますが、それでもやっぱり自分がおばあちゃんになった時、孫にスノーボードのことを自慢できるかなとか、自分を誇れる唯一のものなのかなというふうに思います。

――最後に、スノーボードに頑張って取り組んでいる子どもたちへのアドバイスをお願いします。

 これは佐藤コーチから学んだことになりますが、感謝することはとても大切で、親やコーチだけではなく、私たちが日々練習できるのも、その環境を用意してくれるスタッフの方たち一人一人のおかげでもあるので、しっかり感謝しながら競技に取り組むことで選手としても人間としても成長していけると思います。


<プロフィール>
深田茉莉(ふかだまり)
2007年1月1日生まれ、愛知県みよし市出身

小学1年生のとき、スノーボードを始める。13歳から埼玉県熊谷市に通うようになり競技として本格的に取り組む。高校1年生でワールドカップに出場し、アメリカでの大会でビッグエア優勝。以降、ワールドカップや世界選手権で活躍。2026年ミラノ・オリンピックに出場、ビッグエア9位、スロープスタイル金メダル。この金メダルは日本女子最年少での獲得であった。
配信元: THE DIGEST

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