
桜井日奈子と日穏が主演を務め、いまおかしんじ監督がメガホンを執った映画「死神バーバー」。6月26日(金)より新宿武蔵野館ほかで公開中の同作は「生きること」と「別れ」の意味を温かく描き出すヒューマン・ファンタジーだ。WEBザテレビジョンではいまおか監督に直撃し、主演キャストの2人をはじめ、同作にかける想いを語ってもらった。
■朗らかな桜井、死神とのリンクを感じさせた日穏
――主演の桜井日奈子さんについて、撮影中に印象に残ったことなどございましたでしょうか。
試写が終わった後に桜井さんと話していて、僕は覚えていなかったんですが、演出中に僕が「やっちゃえ、やっちゃえ!」と言っていたそうなんです。それが「すごく面白かった」と言われたのが印象に残っています。
また、撮影現場の時は気づかなかったんですが、編集していて、桜井さんがすごく色んな顔するんですよね。笑うときも、びっくりするときも、こんなにくるくる表情変わるんだと思って。それを見てるだけで楽しくて、彼女にはいろいろ助けられました。
――続いて同じく主演の日穏さんはいかがでしたでしょうか。
キャスティングの時からみんなと(『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』のお芝居を見ていて)「何を考えてるかわからない雰囲気があるよね」という話をしていて、それって多分死神が持ってる空気感と通じる部分もあるなと。
だから、彼のキャラクターと死神にはリンクするところがあるなと感じていました。
最初の撮影が「冥供愛富(メイクアップ)」っていう美容室に歩いて入っていくっていうシーンだったんです。そこで「死神は人間じゃないから、ちょっと死神っぽい歩き方で」という指示をしたら、「え!?」と戸惑いつつも、彼はちょこちょこっと動きを変えて、自分なりのアクション加えてから歩く工夫をしてくれました。
やっぱりダンスをやってるので、何をやっても様になるんですよ。そうやって死神のキャラクターを2人でいろいろ模索しながら作っていったのですが、こちらの意図をすぐに動きで表現してくれたので、演出していてすごく気持ちよかったです。
――豪華俳優陣が参加されている本作ですが、演技指導や舞台裏で印象に残ったエピソードがあればご教示ください。
岡部さんはサクマ(日穏)の先輩の死神なんですけど、やはり芸人さんだから反応がいいというか、劇中で踊ってるみたいなアクションは全部岡部さんがアドリブでやったんですよ。「なんすかそれ!いいっすね!」と面白がりながら、こちらが言ったことを膨らませて、自分なりにやってくれて、「すごいな、面白いな!」と思いました。
■死=ネガティブを覆すアプローチ
――本企画のテーマ、脚本などを受け取った際のファーストインプレッションをお聞かせください。
最初脚本を読んで、「死ぬ」ってやっぱりちょっと怖かったり、ネガティブなイメージがあるんですが、「こういう死神がもしいたらちょっとだけホッとするな」そうなったら面白いなと思いました。死んで悲しいだけじゃなくて、「いやいや、ちょっと待って、面白いことがそこにあるぞ」みたいなことができそうだなと。
だから、本作を見て「勇気が出る」と言ったら変ですけど、僕自身脚本を読んでちょっと元気を貰ったような、その“ちょっとした救い”みたいなところを丁寧に表現できたらいいなと思いました。
――「死」という特に重いテーマを扱う作品です。制作のなかでさまざま思う点などあったかと存じますが、撮影にあたって特に気を付けた点・意識した点などございましたら教えてください。
撮影中に気づかされたことなんですけど、作中では死神が亡くなった人の髪の毛を切って、会いたい人に会わせて、それから冥土に連れていくんです。最初は亡くなった人が「もうこれで思い残すことはないです」と旅立つイメージだったのですが、会うと「もっと生きてみたい」と思うんじゃないかと思って。
だから思い残すことなく行くんじゃなくて、「もっともっと生きてみたいっていう未練がありながら旅立つ」っていう方がいいなと思いました。みんな本当のところはそうだと思うんです。
「未練を残したままで死んでいく」っていうことでいいんだと思ったので、そんな風に見えるように意識しました。「みっともなく生にしがみつく」というか、「最後まで生きることを手放さないでなんとかこの先も生きたい」という気持ちを持ったまま冥土へ行ってほしいと思いながら撮影していました。

