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「脈なし」についてまじめに研究した展示の癒し効果

「脈なし」についてまじめに研究した展示の癒し効果

誰もが一度は直視しなければならない現実、それが「脈なし」です。渋谷で恋愛における「脈なし」を追体験し、理解する展示イベント「脈なし研究センター」が開催されているというニュースを見て、怖いもの見たさで行って参りました。

約300名の20代〜50代男女を対象に「脈なしエピソード」を調査・分析した結果から、「脈なし」について研究したという、もはや学術論文のような企画です。50代まで入れてくれていて良かったです。

会場に入ると、この展示を企画しているという設定の「灰田脈」氏の序文が展示されていました。「”脈なし”を知らないことは交通ルールを学ばずに道路に飛び出すようなもの」だそうです。この展示を見て脈なしを学び、恋愛の事故をなくすこと、が目的とのこと。会場のスタッフの方に話を聞くと、「恋愛している人もしていない人もフラットな気持ちで見てほしいです。今後の恋愛術を学べます」とのことでした。

まず最初の展示コーナーは「関係コスト」について。「“脈なし”を研究していてわかってきたのは、 “脈あり”の相手には自分の時間や労力を惜しまないということだ。私たちはそれを“関係コスト”と名付けてみた」とのことで、主なコストは「会話コスト」「関心コスト」「配慮コスト」「距離コスト」「未来コスト」にわけられます。「脈なしとはコストカットの積み重ねである」という冷静な分析に心がギュッとつかまれたようです。各コストの例と「モテ期プロデューサー」荒野氏のコメントが掲示されていました。

まず、「会話コスト」の例。「スタンプで会話が終わった」「避ですれちがったとき、毎回立ち止まらず『バイバーイ』と歩き去られる」「会話の糸口をつくりたくて。、わざと先を間違えたようなメッセージを送ったら既読スルーされた」など。会話や、やり取りにエネルギーを使いたくないのが伝わってきます。でもこれらが1つでも当てはまったら脈なしというわけではなく、複数のジャンルに該当するものがあったら脈なし度が高い、ということだそうです。

続いて「関心コスト」は「ずっと名前を間違えられている」「髪型をロングからショートにイメチェンしたのに一切ふれられなかった」「自分が『大ファン』だと伝えたバンドの曲を一曲たりとも聞いてくれない」など。名前の件は切ないですが、昨今は髪型に触れただけてハラスメント認定されることがあるので、一概に脈なしとは言えないかもしれません。という希望的観測も一応補足いたします。

「配慮コスト」は、交際中のパートナーでもありそうな事例です。「歩くペースをみじんも気にされない」「新宿御苑の入場料(500円)をあとから払わされた」「帰り道が分からない」と言ったら、 駅近くの大通りまでしか付き添われなかった」など。モテ期プロデューサーは「男って“脈なし”の相手には一円も払いたくないものですが、プライドで支払うこともあります」と、コメント。

だんだん挙げるのが辛くなってきましたが、次は「距離コスト」です。「LINEを交換しようと言ったら『インスタでいい?』と言われた」「2人で家具屋のソファーに座ったら子供が寝転べるぐらいの距離を開けられた」など。間にバッグを置くというパターンもありそうです。若い世代にとってLINEはプライベート用で、よほどの人でないと教えないと聞きました。

続いて重要なのが「未来コスト」。「関係を続けるための 『未来の時間』を使うこと」なので最も重要で1つでも当てはまったら脈なし度が高いそうです。「「半年後まで予定が埋まっている」と、 売れてるみたいなことを習われた」「会う頻度が『月1』と絶妙に安定している」など……。

会場内でテレビの取材が行われていて、若い男性が、これらに当てはまるような脈なし行動をされたけれど、実は本当に彼女は忙しくて、あとでちゃんと恋愛が成就したので良かった、と脈なしだと思ったら両思いだった奇跡のエピソードを語っていました。でもそんなハッピーエンドはなかなかなさそうです。

「動画で見る脈なし」では、恋愛の温度差を感じる2人のビデオ通話の映像や、脈なしLINEのやり取りを紹介。たとえばおいしいパスタの店を聞かれて「ちょっと店名を忘れてしまって」と具体名を出さないことで一緒に食事するのを回避したり、食事に誘われて「また行けそうになったらご連絡しますね!」とかわしたり……。これは実際にやっている人も多いのではないでしょうか。年を重ねると本気で忘れている場合もありそうです。

実際に問題を解いて参加できる「脈なし力検査」もありました。一見普通に見えるデート写真やLINE画面、会話シーンの中から、脈なしの兆候を探し出す、間違い探し的なコンテンツ。若い女性2人組が、映画デートの男女の写真を見て「これは2人でポップコーンをシェアしてない」「こっちを向いてないし」「帰り早くね?」など次々当てていて、受験科目だったら脈なし学科に合格する勢いでした。

 「脈なし作文」という問題は、LINEのメッセージや、相手の会話に対し、脈なしのセリフを考えるというミッション。「Y子に彼氏できたらわりとショックかも」という男性の言葉に、脈なしの場合何と答えるか。先ほどの20代女性たちは「そこは祝ってよ」「『もういるよ〜』、とかどう?」と、かなりシビアな脈なしセリフを考案していてさすがでした。若い世代はコスパ、タイパ意識が高いですが、脈なし相手もどんどんコストカットできそうです。

実際に学んだ「脈なし」を披露する「脈なし実技試験」体験コーナーもありました。会場内で若い男性との会話しながら、脈なしの塩対応で返すという、ちょっと良心が傷むコンテンツです。「何が好きですか?どこか行きたいお店ありますか?」と積極的な相手に対し、できるだけ具体的な話をせず、公園デートの誘いなどもやんわり断りました。スタッフの方によると私の対応はまだ優しいほうで、一切相手を見ずスマホを眺めたまま適当に答える人もいるとか。

脈なし展の展示をじっくり見て辛くなってきたところ、イケメンに対し脈なし対応をすることで、何かリベンジできたというか、自分のプライドが守られた感があります。さらに、脈なし対応をされてきた過去も昇華されたような……。「脈なしセラピー」みたいなものでしょうか。癒されて自己肯定感が上がったので、今後、脈なし対応をされても揺らがないでいられそうです。

◆恋のつまずき対策実験「脈なし研究センター」

[会 期]2026年6月26日(金)〜7月26日(日)の金・土・日・祝日のみ開催
[時 間]12:00〜19:30
[会 場]マイラボ渋谷(東京都渋谷区宇田川町21-9 渋谷平和クワトロビル mineo渋谷1F)
[アクセス]各線「渋谷駅」徒歩2分
[内 容]体験展示/参加型イベント
[入場料]500円(税込)
[主 催]脈なし研究センター事務局
[企画・制作]株式会社人間

(執筆者: 辛酸なめ子)

配信元: ガジェット通信

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