記念すべき300回だが、これも単なる通過点。いかなる時も振り返ることのない侍のごとく、淡々と前へ進むのみ。とりあえずの目標は500回だ。
購入場所は前回に引き続き富澤商店。『松屋製粉の石臼こだわり蕎麦』の隣に並んでいたのが、同じ松屋製粉シリーズの更科版『松屋製粉の更科こだわり蕎麦 食塩不使用』である。
前回との違いは、製造者が山本食品ではなく松代そば善屋であること。
松代そば善屋の干し蕎麦といえば、私の印象では「久世福商店」や「カスミ フードスクエア」など、やや高級路線の店で見かけることが多い。
まさに富澤商店の棚に並ぶには、ふさわしいメーカーと言えるだろう。
裏パッケージを眺めても、とりわけ特筆すべきことはないので、あらためて松屋製粉がどんな会社なのかを3行で説明しておこう。
松屋製粉をひとことで言うなら「そば粉のプロ」。ニップングループ唯一のそば製粉会社として、原料の選定から製粉技術、品質管理までを担い、全国のそば店や製麺メーカーへそば粉を供給している。
一方の松代そば善屋は、超ざっくり言えば「乾麺づくりのプロ」。長年培ってきた製麺・乾燥・熟成技術で、おいしい干し蕎麦を作り続けてきた老舗メーカーだ。
つまり、そば粉のスペシャリスト・松屋製粉と、乾麺づくりのスペシャリスト・松代そば善屋。その組み合わせだけでも期待したくなる。
それではさっそく調理開始。
まずは大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かす。
約5分半ゆでる。
冷水(私は氷水を使用)で洗い、キリッと締めたら……
はい、完成。
そして、そのお味は──
これもまた、そばの香りが前面に出るタイプではない。
とはいえ、更科らしい上品でさっぱりとした味わいが心地よい。
そして何より食感が素晴らしい。白く美しい麺はコシとのどごしが非常によく、ツルツルと箸が進む。
食べ始めると止まらず、気が付けば一人前を食べ切ってしまう。いわば「止まらない系」の蕎麦である。
食塩不使用なので、麺だけで食べるとややあっさりした印象。しかし、おいしいつゆにくぐらせた瞬間、一気にポテンシャルを発揮する。
まさに、つゆと合わせて完成する更科といったところで、家そば放浪記的に言えば「つゆがらみの蕎麦」となる。
上質なそばつゆを用意すれば、自宅にいながら品のあるそば店で食べているような満足感を味わえるだろう。
「家そば」か「外そば」かで言えば、店で食べるような「外そば」寄り。普通にうまい。さすがは富澤商店のセレクションだ。
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24
