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アルゼンチン相手に大健闘。カーボベルデが日本に教えてくれた。勇気とは無謀に攻めるのでなく、準備した戦い方を相手が誰であっても貫くこと【W杯】

アルゼンチン相手に大健闘。カーボベルデが日本に教えてくれた。勇気とは無謀に攻めるのでなく、準備した戦い方を相手が誰であっても貫くこと【W杯】


 北中米W杯のラウンド32で、大会初出場のカーボベルデは前回王者アルゼンチンを相手に二度追いつき、延長戦の末に2-3で敗れた。

 人口60万人にも満たない小国が、リオネル・メッシを擁する強敵をあと一歩まで追い詰めた120分は、大会屈指の名勝負として世界中に強烈なインパクトを残した。

 この試合を単なる「ジャイアントキリング寸前の感動物語」として片付けるべきではない。カーボベルデの戦いには、明確な戦略と、それを実行できるだけのクオリティが伴っていたからだ。

 守備では4-5-1のブロックをコンパクトに保ちながら、中央を閉じてアルゼンチンに外回りを強いる。ボールを奪えば安易に前へ蹴り返さず、守護神のヴォジーニャを中心に相手のハイプレスを外しながら、サイドのスペースを起点に前進することで、アルゼンチンを押し下げる。

 相手が世界王者だからといって、自分たちのサッカーを捨てることはなかった。だからこそ、アルゼンチンは何度も守備を整える前に押し込まれ、二度にわたって追いつかれる展開を招いた。

 カーボベルデは気持ちだけで食らいついたのではない。ブビスタ監督には試合をどう進めるかという設計図があり、それを選手たちが高い精度で表現した結果、120分間にわたって世界王者と互角の勝負を演じたのである。
 
 数日前、日本はブラジルに1-2で逆転負けを喫した。スコアだけを見れば惜敗だった。しかし、試合内容を振り返ると、日本はブラジルの力を警戒するなかで、自ら攻撃の選択肢を狭めてしまった印象も残る。ボールを奪っても前線が孤立し、押し返す時間を十分に作れなかった。

 もちろん、試合の流れやブラジルの圧力を考えれば、押し込まれる時間が長くなることも無理はない。しかし、前向きなプレー選択によって、ブラジルに危険な状況を生むことで、相手の連続性を断つことができなかったか。

 選手が所属するクラブやリーグを見れば、アルゼンチンとカーボベルデの差より、ブラジルと日本の差の方がはるかに小さい。しかし、勝負の世界に立てば、同じ11人の戦いなのだ。

 ブビスタ監督は選手たちに「恐れるな」と伝えただけではない。どこで奪い、どう前進し、どうゴールへ迫るかを整理し、その共通認識をチーム全体に浸透させていた。勇気とは無謀に攻めることではなく、準備した戦い方を相手が誰であっても貫くこと。その土台があったからこそ、カーボベルデはアルゼンチンを最後まで苦しめたのだ。

 日本がW杯でのさらなる躍進を目ざすうえで、個のレベルをさらに引き上げ、クラブのステージを上げて、ハイレベルな環境に身を投じていくことも大事だ。しかし、それだけではないことをカーボベルデが教えてくれた。そんな120分だった。

取材・文●河治良幸

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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