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「最高じゃん おかえりおもちゃ達!」アナログとデジタルの壁を飛び越え“あらゆる年代に刺さる”傑作<トイ・ストーリー5>

「最高じゃん おかえりおもちゃ達!」アナログとデジタルの壁を飛び越え“あらゆる年代に刺さる”傑作<トイ・ストーリー5>

「トイ・ストーリー5」は、全国公開中
「トイ・ストーリー5」は、全国公開中 / (C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

1995年の第1作公開以来、じっくりと着実に物語をつづってきたディズニー&ピクサーの「トイ・ストーリー」シリーズ。その最新作「トイ・ストーリー5」が7月3日に日本でも公開開始。初日興行収入4億8445万9420円、動員32万705人を記録し、洋画アニメーション歴代No.1、ディズニー&ピクサー・アニメーション映画史上歴代No.1の特大オープニング記録を打ち立てた。ウッディやバズ・ライトイヤーといったおなじみのキャラクターも健在で、一度でもおもちゃやぬいぐるみと遊んだ人であれば、確実に「心に刺さる」物語が今回も展開される。そこで幅広いエンタメに精通する音楽ジャーナリスト・原田和典氏が同作を鑑賞し、独自の視点でのレビューを送る。(以下、ネタバレを含みます)

■ボニーが最先端のタブレットを手にする

今作の軸となるのは、ボニーという想像力豊かで内気な少女。おもちゃ遊びが大好きで、その気持ちはおもちゃ自身にもしっかり伝わっている。両親との関係も良好だ。だが、周りの子どもたちとの呼吸がなんだか合わなくなってきた。というのも他の子たちは、「おもちゃ?何それ?ダッサー」とばかりに最先端のタブレットに夢中で、どうやらそれがクールだと思っている節がある。

そこでボニーもリリーパッドという最新型のタブレットを手に入れたところ、その中では「友人の輪」のようなものが存在していて、彼女もそのグループチャットに参加。友達が欲しかった気持ちもあり、ひとまず満たされた気分になっていく。

やがてリリーパッドに夢中になるボニーの日々が始まった。タブレットには一つの事柄を終わらせようとすると「今度はこれね」とばかりに、向こうから新たなプランを軽やかに提案してくるところがある。次から次へとそれを受け入れていくと、すっかりのめり込んでしまい、結果的に多くの時間が費やされる。逆に言えば、タブレットに自分の時間がコントロールされていく。これは子どもだけでなく、大人も心当たりがあるのではないだろうか。

おもちゃと遊んでいるときには無邪気な笑顔でおっとりしていたボニーが、リリーパッドを凝視することに長時間を費やすことになる。グループチャット、友人の輪から外れたくないという気持ちも大きいのだろう。それに危機感を覚えたのが、カウガール人形のジェシーだ。彼女はいろんな持ち主を経てボニーのもとに来た「歴史」がある。要するに大人なのだ。長くさまざまな時代をくぐり抜けてきたジェシーにとって、リリーパッドにハマってからのボニーは、何かナチュラルではない、奇妙な存在に感じられたのかもしれない。

■おなじみ!ウッディ&バズの名コンビが帰ってくる

ジェシーは、ボニーのおもちゃコーナーの「元メンバー」であるウッディに連絡を取ってみることに。捨てられたおもちゃを助ける活動をしている彼は、かつての仲間のもとに戻ることを決める。もう1人、ジェシーの好パートナーといえる存在が、保安官代理のバズだ。彼が自らに課した使命は、子どもたちの幸せを見守ること。彼らはリリーパッドにのめりこんでいくボニーを元の子どもらしい笑顔の少女に戻せるのだろうか。

ひょっとしてアナログ組とデジタル組の間に火花が散るかも、とも一瞬想像したが、よく考えてみれば一般家庭にコンピューターやゲーム機器が普及し始めてもう40年ほどたっている。概念そのものは新しくない。ボニーの両親だってデジタルネイティブの世代なのだ。

ディズニー&ピクサーはさすがというか、実に分かりやすく、このあたりのマターに対処している。トラディショナルな存在であるおもちゃとコンテンポラリーな存在であるタブレットの間に橋を架ける存在として、“初期型デジタルおもちゃ”をキャスティングした。
「トイ・ストーリー5」より
「トイ・ストーリー5」より / (C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.


■魅力的なキャラクターがズラリ

トイレトレーニング用の(当時としては)ハイテクおもちゃのスマーティー・パンツ、デジタルマップおもちゃのアトラス、デジカメのおもちゃであるスナッピー。彼らはジェシーのかつての持ち主であるエミリーの家で、廃棄こそ免れてはいたものの「用なし」扱いされていた。

だが往年は時代の先端をいっていたおもちゃであり、充電の機会さえあれば現役で子どもたちを楽しませることができるというプライドはある。それに、今の見地からすれば、初期型デジタルにはアナログとややどっちつかずのところもあって、それがキャラクターに「人情」を吹き込んでいる。

昭和時代に子ども期間を終えたはずの筆者にとっても手に汗握る、山あり谷ありの展開。アナログおもちゃ、初期型デジタルおもちゃ、最新デジタルおもちゃが手を結び、人間を無二の友人だと思って、人間性の回復や友情の成立を大きく手助けしてゆくあたりも実にエモーショナルであり、「決して物を粗末にしてはいけないな」との思いは、一大クライマックスをなすラストに向けて強まるばかりだった。

■「人生100年時代、あらゆる年代にオススメ」の物語

「親子連れにオススメ」というフレーズはいろんなところで使われる一種の定番かもしれないが、だとすれば「トイ・ストーリー5」は「人生100年時代、あらゆる年代にオススメ」の物語ではなかろうか。この映画には、わらべ歌を歌ったり人形やまりで遊んでいた世代と、デジタルのおもちゃばかりで遊んでいる世代の間でも会話が成立しそうな普遍性がある。

主題歌は、先日マディソン・スクエア・ガーデンで大規模な結婚式を開いたことも話題になった世界的歌姫テイラー・スウィフトが歌う「I Knew It, I Knew You」。彼女は幼少期から「トイ・ストーリー」シリーズに親しんできたということもあり、このコラボに「ずっと憧れてきたこのキャラクターたちのために曲を書けるなんて、夢のようなこと」と、自身のSNSに喜びを語っていた。

サウンドトラックは、これまでの4作同様、ランディ・ニューマンが担当。「街の灯」や「慕情」などを手掛けたアルフレッド・ニューマン、「我等の生涯の最良の年」などを手掛けたエミール・ニューマン、「帰らざる河」などを手掛けたライオネル・ニューマンら偉大な映画音楽家の血を引くマエストロだ。

演奏者もトランペットのウェイン・バージェロン(エリック・ミヤシロ率いる“フォー・トランペット・レジェンズ”の一員でもある)、トロンボーンのビル・ブースら世界的トップで構成されており、つまり今回も細部も含めて一切手抜きナシ、超一流のプロフェッショナルたちによるエンターテインメントに浸ることができるのだ。

日本で劇場公開されると、早速鑑賞したファンから「心洗われる良い時間を過ごせた」「冒頭から泣けた」「最高じゃんおかえりおもちゃ達!」「ちゃんと笑えるシーンもあるのに目から水が止まりませんでした」と興奮の声が上がっている。これからの夏休みシーズンに、心温まる鑑賞体験が得られそうだ。

◆文=原田和典

「トイ・ストーリー5」は劇場公開中。シリーズ過去作はディズニープラスで配信中。



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