
「誰かが被害を受けたとすれば、それはアメリカだ」バロガンの“出場停止保留”を指揮官が全力で擁護「我々が罰せられなかったと誰が正当化できる?」【W杯】
北中米ワールドカップで前代未聞の事態だ。
アメリカ代表FWフォラリン・バロガンのレッドカードによる出場停止処分が、FIFA(国際サッカー連盟)によって覆された。アメリカのドナルド・トランプ大統領がFIFA会長に電話をかけたと噂されるが、物議を醸す決定について、アメリカ代表を率いるマウリシオ・ポチェティーノ監督が口を開いた。
バロガンはラウンド32のボスニア・ヘルツェゴビナ戦の61分、競り合いで着地した際、相手選手の右足首を踏みつけてしまう。VARが介入し、オンフィールドレビューの末、退場処分となった。
ラウンド16のベルギー戦は出場停止と見られていたが、FIFAは「FDC第27条の規定に基づき、米国代表選手フォラリン・バロガンに対する自動出場停止処分の執行は、1年間の猶予期間中、停止される」と発表した。
アメリカメディア『The Athletic』は、ベルギー戦を前にした記者会見でのポチェッティーノ監督のコメントを詳報。同監督は、バロガンが出場可能となった決定を、熱を込めて擁護。スポーツの誠実さと政治的影響力の境界線が曖昧になったとの見方があるなかでも、正義は果たされたと断固として主張した。
「人々が問題を混同する理由は理解している。物事を混ぜ合わせるための議題があることが多いからだ。しかし、このケースでは、それが正しいとは思わない」
ポチェティーノ監督は、アメリカが不当に利益を得ているという見方を真っ向から否定した。
「この状況で誰かが被害を受けたとすれば、それはアメリカだ。我々が罰せられなかったと誰が正当化できるのか? ワールドカップの決勝トーナメントで、30分か35分も1人少ない状態で戦ったんだ。我々が利益を得ているわけではない。いや、いや。我々がこれから得られる特別な利益など何もない。最終的に、我々は被害者ではないが、この話の悪役でもない」
ポチェッティーノ監督は、バロガンへのレッドカード自体が誤りだったと訴える。
「あれは決してレッドカードに値するプレーではなかった。ミスと呼ぼうが何と呼ぼうが、エラーがあり、結果として科された制裁は過剰だった。特に意図的ではないプレーに対しては。サッカー界の99.9%が、あれは不当な罰だったと言っている」
さらに、今回のような処分の変更は、過去にも同様の事例があったという。
「制裁が停止されたり、延期されたりした前例はある。だから、なぜ誰かが驚くのか理解できない。以前にもあったし、我々にだけ起こる特別な出来事ではない。今大会でも、我々が受けたような罰に至らなかった多くのプレーを見てきた。様々な試合で、異なる選手による同様のプレーを10個以上は指摘できる」
この問題には政治的な関心も集まったが、アルゼンチン出身の指揮官は「スポーツの力。素晴らしい...驚きはない」と語り、関心が高まるのは自然なことだとの見解を示した。
今大会でチーム最多の3ゴールを挙げているストライカーの“復帰”は、アメリカにとって大きな追い風となる。今年初めの親善試合ではベルギーに2-5で大敗しており、バロガンの存在は不可欠と見られていた。
ポチェティーノ監督は、自身はこの決定のプロセスには関与していないと強調。「トレーニングから記者会見まで、昼食にブリトーを食べ、車でスタジアムに向かう途中でコーヒーを飲むなど、とても忙しかった」「ソーシャルメディアを見る時間もなかった」と明かす。
ベルギー戦で出場可能となったバロガンは「選考対象になる」と述べるにとどめたが、シアトルのルーメン・フィールドで行なわれるゲームで、彼が先発メンバーに名を連ねないことは考えにくいだろう。
構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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