
浅野も、川辺も、塩谷も渇望している。かつてないほど強力なタレントが揃った広島が、例年以上にタイトルを強く意識してスタート
広島は7月5日、吉田サッカー場で練習を行なって新シーズンに向けて始動。浅野拓磨も10年ぶりに吉田サッカー場でチームメイトとともに汗を流した。
「一日一日がそうなんですけど、やっとこの日が来たなっていうのは感じますね」
一つひとつのイベントをこなしていくごとに、浅野は広島へ復帰した実感が湧いてくる。たくさんの思い出が詰まった吉田サッカー場に立つと、10年の年月を感じさせないような感覚を覚えていた。
「帰ってきたら帰ってきたで、本当につい最近までいたような感覚が蘇ってくるというか。最初に来た時はやっぱり久しぶりな感じがしましたけど、時間が経つにつれて本当にこの間までいたような感覚で練習できました。自分の中でなくなっていた記憶とかも蘇ってきて、もうすでに久しぶりな感覚は消えましたね」
以前一緒にプレーしていたチームメイトは、もう3人しかいない。その1人の塩谷司は、再会に感慨深い思いを口にした。
「お互いに10年前は若手で、下から数えた方が早かったけど、今は僕が最年長になって、拓磨も上から4番目。歳を取ったなって改めて思いました。拓磨が移籍する時に一緒にごはんを食べに行って、その時の写真を見ると、拓磨が抱っこしてくれている息子はまだ1歳にもなってなかったと思うけど、もう息子は小学校の高学年になっている。時が経つのは早いなとも思いますね」
浅野が海外移籍していた間には、塩谷も海外へ挑戦。UAEで4シーズンをプレーしたあと、広島に戻ってきてプレーを続けている。広島から海外へ旅立ち、海外から広島に戻ってくるキャリアを歩んで後輩たちの道しるべにもなっている塩谷は、浅野の復帰を心から喜んでいた。
「拓磨はいろんなことを経験して、代表でも活躍して帰ってきてくれた。(川辺)駿もそうだけど、それはこのクラブにとってもすごく大きいことだと思う。結局は個人、個人の判断だけど、サンフレッチェのことを戻りたいクラブってそれぞれが思っているからこそ戻ってきたと思う。
僕はそう思ったし、駿も拓磨もそうだと思うし、それはやっぱりこのクラブが築き上げてきているものだと思う。今も海外で頑張っている選手たちが、将来は帰ってきてくれればいいなと思いますね」
一つ年下の後輩になる川辺駿も喜びは大きく、強い覚悟を持って戻ってきた浅野と同じように、リーグ優勝への思いを強めていた。
「プロになって最初の入団会見から一緒だったし、ずっと寮生活も一緒だった。そういう選手とまた一緒にやれるのは嬉しいですし、チームとしてもすごく大きい存在。拓磨君が日本のサッカーや気候に慣れるまで時間が必要だと思うんで、そこはしっかりサポートしていきたいし、チームの一人ひとりが大きな怪我なく持っているポテンシャルを出せれば、タイトルに近づけると思う。
選手の質だったりクラブの規模だったりを考えても、ACL圏内じゃなくて優勝を狙える位置にずっといなきゃいけないと思うし、それが良いプレッシャーになって、選手も活躍しなきゃいけない状況になっていると思います」
塩谷もリーグ制覇を渇望している。
「毎年のようにメンバーは揃っているんで、タイトルを獲り続けていくチームにならないといけないと思うし、最近はカップ戦しか獲れていないんで、リーグ戦をもう一回、獲りたい。それが引退のお土産にちょうどいいと思うんで(笑)」
15年に三度目のリーグ制覇を成し遂げてから10年以上の年月が経ち、浅野が戻ってきて迎える2026-27シーズンは、チーム全体がタイトルを例年以上に強く意識してスタートしていると言ってもいいだろう。
前線には元コートジボワール代表FWのセバスティアン・アレーの獲得も発表された。かつてないほど強力なタレントが揃ったチームは、7日からオーストリアで、26日からは宮崎でキャンプを行ない、新シーズンへの準備を進める。
取材・文●寺田弘幸
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