
進化した映像技術によって、ウッディやバズらおなじみのキャラクターたちが、これまで以上にリアルな質感でスクリーンに帰ってきた。1作目の『トイ・ストーリー』(95)からシリーズに携わってきたプロダクション・デザイナーのボブ・ポーリーは、「今回の作品のビジュアルは非常に美しいです。劇場の大スクリーンで映画を観た人は、本当に驚くと思います」とその完成度に自信を見せ、「私も初めて映画館で観た時は、思わず『すごい』と言ってしまいました。自分が作った映画だというのに、ビジュアルの美しさに圧倒されたのです」と自身も驚いたと明かした。

1996年に日本公開された『トイ・ストーリー』は、世界初の長編フルCGアニメーションとして映画史に大きな変革をもたらしたエポックメイキングな作品だ。おもちゃたちがまるで本当に意思を持って生きているかのようなリアルな映像は当時の観客に大きな驚きを与え、その後のアニメーション映画の可能性を大きく広げた。それから30年が経ち、映像技術も飛躍的にアップグレードされたいま、最新作『トイ・ストーリー5』では様々な最新技術を取り入れることで、これまで以上のクオリティーのものに仕上げることができたという。
ポーリーは、「いまは映像技術が進化したおかげで、非常にリアルで本物らしく感じられるものを作れるようになりました。被写界深度やライティングなど、実写映画さながらの撮影技法を取り入れています。カメラの焦点が合う範囲を調整し、手前と奥の距離感を印象的に見せたり、光と影を繊細に操ることで、観客が本当にその場所に立っているかのような奥行きと空気感を作り上げています」と語り、シリーズ史上最もリアルな質感を生んだ制作過程を明かした。

一方で、ただリアリティだけを追求しているわけではないといい、「人間のキャラクターはリアルではなく、少し誇張してピクサーらしい独自のスタイルにアレンジされています」と語っている。おもちゃや背景の質感は限りなく本物らしく描きながら、人間のキャラクターの造形にはアニメーションならではの温かみや親しみやすさを残す絶妙なバランスによって、「トイ・ストーリー」らしい世界観を守りながら、かつてない映像美が実現したのだ。
そんな最新作『トイ・ストーリー5』では、本当はまだまだおもちゃで遊びたいのにタブレットに夢中な周囲の子どもたちと話が合わず、友達作りに悩むボニーのもとに、最先端タブレット「リリーパッド」がやってくる。画面のなかの世界に夢中になっていくボニーを前に、“自分たちはもう必要とされていないのではないか”と不安を抱くおもちゃたち。ボニーの笑顔を取り戻すため、ウッディやバズ、ジェシーらが再び肩を並べ、“デジタル”という史上最大の脅威へと立ち向かう。
30年にわたり愛されてきたウッディやバズらおもちゃたちが、進化した映像技術によってどのような冒険を見せてくれるのか?作り手さえをも圧倒した映像美と、シリーズ最高と呼び声高い感動の物語を、ぜひ映画館で体感してほしい。
文/山崎伸子
