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映画『バカンスは始まったばかり』芋生悠インタビュー「自分の幸せのたに働くということに執着してもいい」 木村聡志監督最新作に出演

映画『バカンスは始まったばかり』芋生悠インタビュー「自分の幸せのたに働くということに執着してもいい」 木村聡志監督最新作に出演

俳優の芋生 悠さんが、『恋愛依存症の女』『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』の木村聡志監督の最新作、『バカンスは始まったばかり』に出演しました。これからのバカンスシーズンを思わせる、とある海辺の別荘や海岸を舞台に、カップルを含めた男女の<惚れた晴れたの夏物語>が展開します。芋生さんに作品のこと、10年を迎えたキャリアについて聞きました。

●本作は、木村聡志監督・脚本の最新作ですが、ストーリーの印象はいかがでしたか?

この映画はひたすら会話劇なので、純粋に登場人物の会話が面白いなという印象から入りました。役としてもわたしが演じた、夫と離婚したばかりの優香は、一見まともそうに見えてやばい人と言いますか(笑)。バカンスが影響しているのか、本能的に生きているんです。自分ではまともだと思っていそうですが、そこも面白いなと思いました。

●完成した作品はタイトルどおりバカンス感が漂っていましたが、撮影はどのような感じで進行していましたか?

撮影は楽しかったのですが、あんまり撮影している感覚はなく、気づいたら終わっているような感じでした。もちろん監督がちゃんと演出をつけますが、自然な空気の中で撮影を始めるので、どんな感じだったかなと思うくらい、印象的な現場だったように思います。

いい意味で緊張感がなく、その一方でみんなあえて緊張感を出す空気作りなどもしながら作り上げていったような、いい現場でした。

●本作は木村監督の世界観が全開の印象でしたが、すでにご覧になっている方からは、どのような感想・声が届いていますか?

シンプルなバカンス映画だと思うと、びっくりすると思います。「こうくるかー!」と(笑)。意外性があって、ジャンルレスで面白い、という感想が多いですかね。

●芋生さんはデビューが2015年で、これまでガジェット通信でも何度もお話をうかがってきましたが、その10年の中でも今回の優香はめずらしい役柄だったように思います。

「こういう役もいいね」「今までで一番よかった」などと言われます(笑)。今まではわりと問題があるような辛い役や、誰かに守られ葛藤を抱えているような役が多かったからでしょうね。今回も何にもないわけじゃないけれど、優香は今までとはちょっと違いますよね。

●それは、俳優業での挑戦になると思われましたか?

そうですね。自分でもそう思いました。今まで演じたことがない役柄は新鮮ですし、今回の優香は本来の自分にむしろ近いのかなと。だいぶ追い込まれてはいましたが、自分で切り開いていく感じは近いと思いました。

●役をとおして、人生の価値観などが変わることもありますか?

自分の選択で他人を傷つけたりしているのですが、それはわたしの役柄だけじゃなくてみんながそうなんです。自分がやりたいことの人生の選択をすると、それが誰かを傷つけてしまう。でも、それでも手に入れたいみたいなところがあって。そういうところをこの作品の中で感じていました。

わたしはいつも誰かのためとか、いつも人生の中で選択してきたところがあったので、なるほどそういう生き方もあるのかと感じました。誰かを傷つけることはよくないけれど、自分の人生だから自分の意思で選択することは大事なことだと。そこで覚悟を持って進んでいくことも大事なのだと、最近は日常のふとした時に感じたりします。「あ、これ木村さんの脚本にあったな」と思う瞬間があるんです。今後は自分で切り開くということもやってみたいというか、意識してそうしてみたいと思っています。

●また、最近では舞台『岸辺のアルバム』にも出演されましたが、いかがでしたか?

演出の木野花さんは、女優もやられていて、人生の先輩であり、俳優の先輩であり、リスペクトしています。ある時「あなたはどう生きたいか?」と演出をとおして問われました。役ではなく、わたしのこととして。それはもうしびれる瞬間でした。でもけっこう図星だったと言いますか、自分と向き合ってなかったかもと気づいたり。

●どうお答えになったのですか?

なかなか答えられなかったのですが、その時思ったことは「見たことがない景色が見たいです」ということでした。舞台上から見る景色って、たまに奇跡みたいな瞬間があって、映画にもそういう瞬間があって、そういうことをもっと追体験したいということを伝えました。

その日の帰り道に静かに反芻する時間がありました。もしかして変にプライドがあったのかもしれないと。10年間役者を続けていて、そのように問われたときに、すぐに答えられないということが、ちょっと悔しかったんだと思います。わたしはこの仕事が好きでやっているし、そこは間違いないのですが、答えがすぐにわからなかったことが悔しいと。なので、これからの役者人生と自分の人生を見つめ直すよい機会になりました。

●今はいかがですか?

まだ足踏みしている感じはあるんですけど、でもどうすればいいのかわからないのではなく、何をすればいいのかわかっているような気がします。もっといろんな作品、人と出会って、経験をしていかなければならないし、まだまだショックを受ける場面が必要なのかなと。むしろそういう経験がないと怖いくらいにも感じています。

●最後になりますが、映画『バカンスは始まったばかり』を待っているみなさんへメッセージをお願いします。

日本だとみなさん仕事やいろいろなことに追われていて、バカンスってなじみがないかもしれません。わりと窮屈にわたしも感じることがあります。そういう時に海の音を聴いたりして、人とお酒を飲んだりして、語る時間が必要なのかなと思っていて、それをこの映画の中で感じられそうと言いますか、もっと楽でいいのだと思うんです。

働く理由って、美味しいご飯やお酒をいただいたり、大事な人と過ごす時間だったり、そういうことに執着してもいいのではないかと思うんです。映画『バカンスは始まったばかり』は、自分の幸せのために働くということを感じられる映画なのかなと思っています。

■ストーリー

夏の始まり。3年連れ添った春樹(五十嵐諒)と離婚したばかりの優香(芋生悠)は親友の詩菜(新帆ゆき)とその恋人の太宰(足立英)と共に、とある海辺の町へとバカンスに訪れた。そこで、かつて恋仲にあった太宰と久しぶりに再会した優香は徐々に太宰への想いが再燃していく。一方、詩菜は海辺の町で暮らす詩人の天馬(山口雄大)に惹かれていて…。

©ENBU ゼミナール

(執筆者: ときたたかし)

配信元: ガジェット通信

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