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メリーノ投入でソワソワ。決勝弾&勝利にご満悦。マウントを取ってきた彼女の表情をこわばらせた余計な一言【W杯戦記】

メリーノ投入でソワソワ。決勝弾&勝利にご満悦。マウントを取ってきた彼女の表情をこわばらせた余計な一言【W杯戦記】


 何もスタジアムで試合を見るだけが、ワールドカップの楽しみ方ではない。

 スポーツバーやパブリックビューイングの会場で、他国のサッカーファンとサッカー談義を繰り広げながら、試合を見るのも、また一興だ。そこでは、新たな出会いも待っているから面白い。

 ブラジル対ノルウェーの試合翌日、現地時間15時からスペイン対ポルトガルのビッグマッチが行なわれるとあって、どこで試合を見るべきかと思案しつつ、マンハッタンの中心部へと繰り出した。

 ニューヨークでは、ロックフェラーセンターでファンイベントが開催されており、ここなら大画面で試合を見ることができる。

 だが、大混雑でいつ会場に入れるのか分からないうえ、あいにくの雨模様。ここで試合を見るのは断念し、キックオフ間際になって、近くのバーに駆け込むと、幸いにして、テレビ画面が見やすいカウンターに席を確保することができた。

 店内にはスペインのユニホームを着たファンもいて、どちらかと言えば、スペイン寄りの雰囲気。スペインが攻勢に試合を進めているとあって、なかなか点が入らないイライラがにじみつつも、比較的なごやかなムードが漂っていた。

 そんな試合展開のなか、終盤にミケル・メリーノが途中交代で投入されると、カウンター席の隣に座っていた女性がにわかにソワソワとし始めた。

 彼女の手元にあるスマホに目をやると、壁紙はアーセナルのホーム、エミレーツ・スタジアムの写真。なるほど、彼女はアーセナルファンだったのである。
 
 果たして、ミケル・メリーノの値千金の決勝ゴールで、スペインが劇的勝利。試合終了の瞬間、彼女が何度も手を叩き、ご満悦だったのは言うまでもない。

「私もエミレーツ・スタジアムへ行ったことがありますよ」

 そう言って、スマホの中の写真を見せると、「これ、いつの写真?」と彼女。「2年前くらいかな」と答えると、「私のは(今年の)5月よ」と、あっさりマウントを取られてしまった。

 聞けば、彼女は今年5月、アーセナルの22年ぶりとなるプレミアリーグ制覇の瞬間に立ち会ったという。

「最高の経験だったわ」

 その瞬間を思い出すように、彼女はそう言って笑顔を浮かべていた。

 ところが、である。

「じゃあ、ノルウェーも応援しなければなりませんね。ノルウェーにはウーデゴーがいますから」

 話を合わせるつもりで、そんなことを言ってみたのだが、これが余計な一言だったようだ。

「えっ、何?」

 彼女はそう言うと、突如として表情をこわばらせた。

「確かにマーティン(ウーデゴー)のことは好き。でも、アーリング・ハーランドのことが嫌いというほうが、ずっと上回る。だから、ノルウェーのことは応援できない」

 むしろ、彼女が準々決勝で応援するのは、ノルウェーと対戦するイングランドのほうだという。

「イングランドには、(アーセナル所属の)デクラン・ライスもいるし、ブカヨ・サカもいる。ハリー・ケインはバイエルン・ミュンヘンだけど、彼のことは好き。私のお気に入りは、イングランドね」

 クラブ愛とは、かくも複雑なものなのである。

取材・文●浅田真樹(スポーツライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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