現地時間7月5日に行なわれた北中米ワールドカップのラウンド・オブ16で、ブラジル代表がノルウェー代表に1-2で敗れ、1990年イタリア大会以来のベスト16止まりに終わっている。
8万人を超える大観衆が詰めかけたニュージャージーのメットライフ・スタジアムで、ブラジルは前半にマテウス・クーニャが獲得したPKをブルーノ・ギマランイスが失敗し、後半にも途中出場のエンドリッキが絶好機を決め切れず。するとノルウェーは79分にエースのアーリング・ハーランドが先制のヘディング弾を叩き込み、90分にも強烈な左足のシュートで再びゴールネットを揺らす。ブラジルは後半アディショナルタイム、交代出場のネイマールがPKを決めて1点を返すも、これ以上の反撃はならなかった。
ノルウェーは初の8強入りという快挙に沸き、同国の日刊紙『Dagbladet』は「これほどまでに、ノルウェー人であることを誇りに思えた瞬間があっただろうか。ブラジル戦の2ゴールでスタンドは歓喜に包まれ、観客席は汗とビールまみれになった。1998年フランス大会でのブラジル戦勝利(2-1)を忘れろとは言わないが、今や新たな歴史はニュージャージーで生まれた2-1だ」と興奮を隠さなかった。
さらに、「準々決勝の舞台マイアミへ向かう航空券とホテルはすでに予約された。もう帰国などできない。11人の勇敢な選手と数千人のサポーターは、全てを出し尽くした。我々はブラジルより人数は少なくても、彼らより大きな声で歌い、そして何より良いサッカーをして勝利した」と大熱狂。「今のノルウェーは、試合を重ねるごとに良くなっている。全てが可能だ。この冒険は、何十年も語り継がれるだろう」と、初の世界制覇さえ夢ではないとの期待を膨らませた。
対照的に、早々に6度目の世界制覇の夢が潰えたブラジルでは、国内で厳しい論調が渦巻いている。ブラジルの総合サイト『Globo』は、「この敗戦は、責任を引き受けようとしなかった代表の姿そのものだった」と断じ、「決定機を逃した末に、ハーランドの得点力に屈した。しかし、この敗北は偶然のものではない。真に世界一を目指す覚悟を最後まで示せなかったチームの本質を映し出している」と酷評した。
同メディアは、今大会を通じてエースとして活躍してきたヴィニシウス・ジュニオールにも言及。「チーム最高の選手だった事実は間違いない。しかし、運命を左右するPKという最大の責任を背負うべき場面で、その役割をブルーノ・ギマランイスに委ねた。ロッカールームで決まっていた話だとしても、本当の主役なら自ら名乗り出るべきだった」と厳しく指摘している。
また別の記事では、カルロ・アンチェロッティ監督の戦術にも疑問を呈し、「ブラジルはボールを相手に渡し、速攻だけに賭けるという、自国の伝統とは異なる戦い方を選んだ。PKが決まっていれば違う展開もあり得たが、そのスタイル自体がブラジルには相応しくなかった」とネガティブに分析した。 さらに、「後半の交代策は、チームの勢いを完全に失わせた。ネイマールらを投入した後は試合を支配され、ノルウェーにスペースを与え、ハーランドに試合を決定づけられた。これは不運でも不当な敗戦でもなく、完全な戦略での負けだった」と、イタリア人名将の采配を厳しく批判している。
続けて大会全体の総括記事では、個人とチームを冷静に評価。「期待を裏切った選手」としてエンドリッキ、ラフィーニャ、カゼミーロ、ネイマール、そしてアンチェロッティ監督を挙げた一方で、マテウス・クーニャ、ヴィニシウス、ドウグラス・サントス、ラヤン、ブルーノ・ギマランイスを「数少ない収穫だった」とした。
そして同メディアは今後に向けて、「新しい代表は、自分たちの凡庸さを自覚するところから始めなければならない」と主張。「ベルギー、クロアチア、そしてノルウェーに敗れる代表チーム……それが今のブラジルだ」と指摘し、「ネイマールへの過度な期待も、エンドリッキへの希望も、問題を解決できなかった。2030年へ向けて必要なのは、“伝統”や“才能”といった神話にすがる姿勢ではなく、自分たちが現在は二流のチームである現実を認める勇気だ」と危機感を露わにした。
一方、スポーツ紙『Lance!』は、「今回の敗退は、4年間に及ぶ混乱の帰結だった」と総括。「2022年カタール大会以降、セレソンは4人の監督を経験し、サッカー連盟も会長交代や介入による混乱が続いた。アンチェロッティ監督は就任1年足らずでチームを作らねばならず、負傷者も相次いだ。チームは最後まで、確固たるスタイルを築けなかった」と、長年の組織運営そのものを問題視している。
同メディアはまた、多くの元代表選手による酷評コメントを紹介。カサグランジは、「ブラジルはボールを追い回すだけで、ノルウェーが完全に試合を支配していた」と振り返り、フェリペ・メロは「監督だけでなく、選手にも責任がある。ネイマールを先発で使っていればPKも決め、試合は違ったものになっていたかもしれない」と語った。
元監督も黙ってはおらず、ヴァンデルレイ・ルシェンブルゴは「ネイマールをもっと使うべきだった。ブラジルは、ハーランドのために試合をしてしまった」とアンチェロッティ監督を批判。またムリシ・ラマーリョは、「混乱した組織運営の中で、代表は明確なアイデンティティーを失った。ブラジルは才能こそ豊富だが、よりプロフェッショナルな組織へと変わる必要がある」と、自国サッカー界の抜本的改革を求めている。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】ハーランドに2発被弾のブラジルがノルウェーに敗戦
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