7月に入ってNBA界は移籍の話題で賑わっているが、その裏では各国代表が来年のワールドカップ出場権を懸けて熱戦を繰り広げている。
7月上旬に第1ラウンドのラスト2戦が行なわれた欧州予選には、シーズン中のウィンドウには参加できないNBAプレーヤーも多数参戦した。
ディフェンディング・チャンピオンのドイツ代表では、キャプテンのデニス・シュルーダー(クリーブランド・キャバリアーズ)が登場。2戦ともにチームハイの20得点に9アシストの活躍で、難敵イスラエルとキプロスを下して順当に第2ラウンドに駒を進めた。
フランス代表では、昨季サンアントニオ・スパーズをファイナルに導いたヴィクター・ウェンバンヤマは参戦していないが、ガーション・ヤブセレ(シカゴ・ブルズ)、ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、ザカリー・リザシェイ(アトランタ・ホークス)、ビラル・クリバリー(ワシントン・ウィザーズ)、マクシーム・レイノー(サクラメント・キングス)が出場。
現役NBA選手5人を擁し、ベルギーに79-63で勝利後、ラウリー・マルッカネン(ユタ・ジャズ)率いるフィンランドにも98-69で快勝。グループ首位で第2ラウンド進出を決めた。
第1ラウンドを6戦全勝で終えたトルコは、アルペレン・シェングン(ヒューストン・ロケッツ)がボスニア・ヘルツェゴビナ戦、スイス戦に先発出場し、平均15.5点、5.0リバウンド、4.5アシストと、攻守両面で存在感を発揮した。
一方、苦戦を強いられているのがルカ・ドンチッチ不在のスロベニアだ。
エストニア戦とスウェーデン戦を立て続けに落とし、次ラウンド勝ち抜けこそ決めたものの、3勝3敗とやや苦しいポジションにいる。とりわけエストニアには62-93と31点差をつけられての大敗だった。
この試合、エストニアは横浜ビー・コルセアーズ所属のビッグマン、マイク・コッツァーが12得点、12リバウンド、9アシストと、トリプルダブル級の活躍。さらにゲームハイの20得点をあげたイリノイ大の21歳ステファン・バークスなど、近年はアメリカの大学に進学する若手も激増中で、欧州内でも急激に力をつけている。
スロベニアは、第2ラウンドではフランス、フィンランドといった強敵との対戦が控えており、上位3位までの出場権を手にするのは容易ではない。ドンチッチの姿が、来年カタールで開催される本大会で見られない可能性も出てきた。 セルビア代表では、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)が大活躍を見せた。スイス戦で22得点、14リバウンド、7アシスト、続くボスニア・ヘルツェゴビナ戦では20得点、10リバウンド、11アシストのトリプルダブルで、チームの快勝に貢献。
昨プレーオフでは1回戦でウルブズに敗れ、4月中にシーズンを終えていたヨキッチは、すぐに故郷セルビアに舞い戻って大好きな馬レースに興じるなど英気を養った。軽やかなフットワークからトリッキーなパスやシュートを次々に繰り出し、ベオグラードの熱狂的なファンたちに披露した。
スイス戦の会場には、ナゲッツの相棒ジャマール・マレーも観戦に訪れ、試合終了後には、2人で固い抱擁をかわす場面も。
ボスニア戦後、今後のNBAキャリアについてヨキッチは次のように答えている。
「自分としてはデンバーに残りたいと思っている。たぶん来シーズン、延長契約にサインすることになるだろう。自分は残りのキャリアをデンバーで過ごしたいと思っている。ただ、それは球団次第だ」
ヨキッチは2014年ドラフトの2巡目41位でナゲッツから指名を受け、2015-16シーズンにNBAデビューし、11シーズンを戦ってきた。
彼は正真正銘ナゲッツのフランチャイズプレーヤーで、23年にはNBAタイトルを手にし、個人としても年間MVPを3度受賞した(21、22、24年)。
22年7月に5年間で2億6400万ドルという当時史上最高額のスーパーMAX契約を結び、最終年の27-28シーズンはプレーヤーオプションとなっている。
ヨキッチとしてはこのままデンバーに留まりたい意向だが、長年ミルウォーキー・バックス一筋だったヤニス・アテトクンボでさえ今夏ヒートへ移籍したように、未来はどうなるかわからない。
シュルーダーも、レブロン・ジェームズのレイカーズ退団に伴い、古巣キャバリアーズ復帰の可能性が浮上。それが実現すれば、トレード要員となる可能性も取り沙汰されている。
シーズンオフとはいえ、身体作りに代表ミッション、そして去就問題と、選手たちは忙しない夏を送っている。
文●小川由紀子
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