
「舐めすぎだろ」モロッコの心を折ったフランス。“つまらない”では片付けられない恐ろしさとは?【W杯】
「舐めすぎだろ」
北中米ワールドカップの準々決勝、モロッコを相手にフランスが2−0としたあとの戦いぶりを見て、思わずそう口にしていた。
もちろん、悪い意味ではない。むしろ、世界一を狙うチームの凄みを感じたからだ。
この先の準決勝、さらに決勝まで見据えたかのように、フランスは明らかに省エネモードへと切り替えた。ズル賢い大人が、純粋にサッカーを楽しむ子どもの心を折るように、試合の流れを巧みにコントロールしながらモロッコの戦意を少しずつ削いでいく。
無理に前線からプレスをかけることはない。自陣で冷静に跳ね返し、ボールを奪っても慌てずにテンポを落として時間を進める。モロッコのサポーターからすれば、これほど憎たらしい試合運びはなかっただろう。
前半、エムバペがPKを失敗し、ドゥエが決定機を逃しても、フランスは少しも動じなかった。そして後半、60分にエムバペが圧倒的な個の力で均衡を破ると、66分にはデンベレが決定的な2点目を奪う。決して攻め急がず、訪れたチャンスだけを確実に仕留める。その姿は、まさに強者そのものだった。
そして何より恐ろしかったのは、2点目を奪ってからだった。
フランスは無駄なエネルギーを使うことなく、淡々と試合を終わらせにかかる。モロッコにボールを持たせても慌てず、危険な場面だけを確実に潰し、余力を残したままタイムアップを迎えた。その姿は、「つまらない」という言葉では片づけられない。相手からすれば、「舐めすぎだろ」と言いたくなるほどの余裕だった。
これがワールドカップを制するチームの戦い方なのだろう。試合に勝つだけではない。その先にある頂点まで逆算しながら90分を支配する——フランスは、その恐ろしさをまざまざと見せつけた。
文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)
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