今年リニューアルした宮崎県の「ひなたTENNIS PARK MIYAZAKI」。私はこのテニスコート改修プロジェクトに最初からかかわっています。様々な要望に応えて頂き最終的に32億円規模の改修になりました。インドア6面とクラブハウス改修が加わった結果です。よくゴーサインが出たと思われるのではないでしょうか。これは、宮崎県と宮崎県テニス協会の方々のエネルギーの賜物なんです。
なぜ、大規模改修になったかと言えば、アウトドアをハードコートにするだけでは、他競技からの反対を招きかねませんでした。最初の計画で改修すれば費用は抑えられますが、リニューアル後に施設を活用する方法に限界があったんです。
改修後に大会開催、プロの合宿、一般団体の活用など、年間を通して施設全体を最大活用できるようにするためには、インドアコート施設とあらゆる大会のレギュレーションに対応した部屋数を持つことなどクラブハウスの改修も不可欠でした。
つまり、小規模改修では活用法が少なく、大規模改修にすれば年間を通じて様々な活用が可能になるということです。これが我々が大規模改修を提案させていただいた理由です。
成功の秘訣は、宮崎県と私を含めた日本テニス協会との信頼関係の構築だったと思います。お互いの思いを理解し、できることとできないことを明確にして進めました。中途半端な約束はしていません。キャンプの実施など、確実に実行できることを約束し、それを実現する。「言ったことはちゃんとやる。大風呂敷を広げるようなことはしない」。この姿勢が、良いサイクルを生んだと思います。
また、以前に「国スポ・障スポ」の会場となり施設を改修した岐阜や愛媛の事例を学べたことは大きかったです。宮崎の関係者は各地を視察し、良かった点、反省点を吸収しました。両県とも後からインドアを作っていたんです。「インドアを作っておけばよかった」という声を聞けたからこそ、宮崎は最初からインドアを含めた計画にできました。後発の利点を最大限に生かせたわけです。
それでも苦労がなかったわけではありません。一般愛好家の方々は砂入り人工芝への安心感があり、そしてソフトテニス側の理解を得ることも同様でした。ソフトテニスは砂入り人工芝でのリニューアルを希望していたのです。硬式と軟式は競技特性が異なりますので、「棲み分け」が必要だと考えています。国体でも、少年の部はハードコート、青年の部は砂入り人工芝と分ける動きが出ていますし、全国の施設を硬式と軟式で分けるなどの棲み分けができればと思っています。
大きなハードルでもあった県民からの理解を得ることに対して宮崎県と宮崎県テニス協会は、資料を用意して、公正な調査結果を公表することで対応しました。この宮崎県と宮崎県テニス協会、日本テニス協会、私の3つのタッグこそが成功の大きな要因だったと思います。それぞれにできる役割を最大限に果たし、多くの時間と労力を注ぎ込んで、大規模改修の決定に至ったのです。
4年間のプロジェクトは、まさに綱渡りでした。でも「言ったことはやる」という信頼を積み重ね、県も協会も私たちも、同じ方向を向くことができました。だからこそ、32億円という予算を実現できたんです。
県のテニス協会の強い思いがあれば、施設のリニューアルが可能であることを証明できました。今後、他県でもこの流れが広がれば、テニスの普及・育成につながっていくと感じます。
文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン
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