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超貴重「スケルトンヘッドの深海魚」の撮影に成功

超貴重「スケルトンヘッドの深海魚」の撮影に成功

Credit: ROV SuBastian / Schmidt Ocean Institute

頭が透け透けで、内側に収められたガラス玉のような眼球が丸見えになっている深海魚。

「デメニギス」と呼ばれるこの魚は、ふつうに暮らしていたら出会うことのない幻の生き物です。

デメニギスの中には、標本で存在こそ知られているものの、生きた姿が自然環境で一度も撮影されていない種もいます。

しかし今回、米シュミット海洋研究所(SOI)による大西洋での深海探査で、デメニギスの一種「ウィンテリア・テレスコパ(Winteria telescopa)」の撮影に初めて成功しました。

さらに同調査では、デメニギスの他にも、バリエーション豊かな深海生物たちが観察されました。

実際の映像とともに見てみましょう。

目次

  • デメニギスの希少種を自然環境で発見!
  • 驚くべき姿をした深海生物たちも確認【映像あり】

デメニギスの希少種を自然環境で発見!

今回の発見は、シュミット海洋研究所の調査船「ファルコー(トゥー)」による35日間の研究航海で得られました。

探査地点となったのは、赤道のすぐ北に位置する「ドルドラムズ巨大トランスフォーム断層・破砕帯」です。

ここは、世界最長の海底山脈である大西洋中央海嶺を横切る、地殻変動の活発な場所。

しかし、人間が簡単に近づけない深海にあるため、その詳しい姿はほとんど分かっていませんでした。

そこでチームは、遠隔操作無人探査機「SuBastian」と、新型の自律型無人探査機「The Childlike Empress」を使って海底探査を実施。

そして水深710メートル付近を探査していたとき、不思議な姿をした魚がカメラの前に現れました。

それがデメニギスの一種「ウィンテリア・テレスコパ」でした。

ウィンテリア・テレスコパの生きた個体が、自然環境で撮影されたのは初めてとのことです。

本種を含むデメニギスは、頭部の中に細長い筒状の眼球を持っています。

さらに眼球の周囲は、透明な液体で満たされた繊細なドーム状の組織に覆われています。

深海には太陽光がほとんど届きません。

上方から落ちてくるわずかな光や、生物が発する光を見つけるには、できる限り効率よく光を集める必要があります。

光を感じ取るレンズを備えた筒状の目は、その暗い環境で獲物やほかの生物を探すための特殊な適応だと考えられます。

しかし、この透明なドームは非常に壊れやすく、魚を網で捕らえて海面まで引き上げると、つぶれてしまうことがあります。

そのため、過去に回収された標本だけを見ても、生きているときの頭部がどのような構造をしているのかを正確に理解することは困難でした。

深海探査機によって傷つけずに観察して初めて、奇妙な目や透明なドームが本来どのように機能しているのかを調べられるのです。

驚くべき姿をした深海生物たちも確認【映像あり】

今回の探査は、デメニギスの発見を目的としていたわけではありません。

本来の大きな目的は、ドルドラムズ断層系の海底地形や断層、そして熱水活動を調べることでした。

チームは、調査船に搭載されたソナーで広い範囲の海底を調べた後、約147平方キロメートルを1メートル解像度で地図化。

こうして作成した詳細な地図をもとに、水深約4000メートル級の海底で、これまで知られていなかった熱水活動域を2カ所発見しました。

大きい方の熱水活動域は、約9万9000平方メートルに広がっていました。

そこには23カ所の熱水噴出孔があり、うち13カ所は、黒い煙のような熱水を噴き出す「ブラックスモーカー型」でした。

採取された熱水の温度は、最高で280℃に達していたとのこと。

そして、熱水噴出孔の周辺では、独自の深海生態系が築かれていました。

盲目の深海エビが数千匹規模で群れをなしていたり、奇妙に平泳ぎをするエイリアンのような等脚類「バシオプスルス・ニベリニ(Bathyopsurus nybelini)」も見つかっています。

こちらの動画の5秒頃に映っているのが、バシオプスルス・ニベリニです。

※ 視聴の際は、音量にご注意ください。

他にもイソギンチャクや異常に触手の伸びたイカなども見つかっており、こちらの動画でご覧いただけます。

こうした偶然の発見こそ、未知の海域を実際に探査することの重要性を示しています。

深海は、地球上で最大級の生息空間でありながら、人間が直接観察できた範囲はごく一部にすぎません。

今回初めて撮影されたウィンテリア・テレスコパも、突然誕生した新種ではなく、人間に見つからないまま暗い海を泳ぎ続けてきた魚です。

透明な頭を持つ魚、数千匹の盲目のエビ、長大な触腕を垂らすイカ、そして太陽光なしで生命を支える海底の熱水活動です。

私たちにとって異世界のように見えるこれらの光景も、すべて同じ地球上に存在しています。

一度の潜航、一枚の地図、一台のカメラによって、未知だった地球の姿が少しずつ明らかになっているのです。

参考文献

First-Ever Footage of Haunting Barreleye Fish Captured Deep Beneath The Atlantic
https://www.sciencealert.com/first-ever-footage-of-haunting-barreleye-fish-captured-deep-beneath-the-atlantic

The Doldrums Fracture Zone is Anything but Dull
https://schmidtocean.org/the-doldrums-fracture-zone-is-anything-but-dull/

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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