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FC東京からバレンシアへ。“壁”を越え続けてきた19歳・佐藤龍之介が世界に飛び出すまでの軌跡

FC東京からバレンシアへ。“壁”を越え続けてきた19歳・佐藤龍之介が世界に飛び出すまでの軌跡


 今も昔も変わらない。楽しそうにボールを蹴り、誰よりもうまくなりたいという一心でグラウンドを駆け回ってきた。FC東京のアカデミーで育った19歳が、ついに海を渡る。

 7月7日、FC東京はMF佐藤龍之介がバレンシア(スペイン)に完全移籍すると発表した。

 高校2年生だった2023年8月にプロ契約を締結。トップチームでは出場機会を掴めず壁にぶつかったが、武者修行の場として選んだファジアーノ岡山(期限付き移籍)で25年シーズンにブレイクを果たした。

 同年6月にはロス五輪世代の先陣を切って、A代表デビューを飾ったのも記憶に新しい。シーズン移行のため今年2月からスタートしたJ1百年構想リーグでは、復帰を果たしたFC東京で攻撃の要として活躍。19試合で6ゴールの活躍を見せ、A代表のワールドカップメンバー入りを最後まで争った。

 振り返れば、佐藤の挑戦は幾度の挫折とともにあったように思える。筆者が初めてプレーを見たのは中学3年生の夏、U-15クラブユース選手権の決勝だった。FC東京U-15むさしで10番を背負い、テクニカルなスタイルで勝負するアタッカーとして存在感を発揮。両足を巧みに使いながらボールを運んでチャンスをクリエイトし、サガン鳥栖U-15を下してチームの初優勝に貢献した(スコアは0−0/5PK4)。

 技術がある一方で、当時はまだ小柄で線も細く、身長も170センチに満たない。フィジカルの強さが足りず、ここからプロの世界で生き抜く術をどのように備えていくのか見えないところもあった。

 だが、佐藤には“壁”を乗り越える力が備わっていたのだろう。常に自分と向き合い、努力を怠らない。自分を俯瞰し、課題と向き合いながら一歩ずつ前進を続けてきた。その姿勢は勝っても負けても変わらない。23年秋のU-17ワールドカップでもそうだった。ラウンドオブ16でスペインに1−2で敗れた後、こんな言葉を残している。

「この1、2年はU-17ワールドカップを目標にしてきたので、(敗戦に対して)悲しい気持ちはある。だけど、それでモチベーションがなくなるってことは全くない。自分としてはトップチームで試合に出て、J1の舞台で試合に出続けるのが次の目標なので、そこを目ざして取り組んでいきたい」
 
 代表からFC東京に戻ると、前述の通りプロ契約を締結し、トップチームで研鑽を積んだ。出場機会を得られない状況を打破するべく、25年シーズンは岡山で武者修行する道を選択。サイドハーフやトップ下といった攻撃的なポジションを本職としていたなかで、新天地では右ウイングバックで新境地を開拓した。その結果、同年6月にA代表デビューを飾るまでになった。

 そして、迎えた同年秋のU-20ワールドカップ。グループステージを3連勝で首位突破したものの、またしてもラウンドオブ16で敗北。フランス相手に圧倒的に攻め込みながら、延長後半アディショナルタイムに先制点を奪われて涙を飲んだ。

「やっぱり、借りはワールドカップでしか返せない。出ているメンバー、ここに選ばれた選手がそういう悔しさを持って成長して、将来、A代表の力になってリベンジできればいい」(佐藤)

 そこで口にした課題も明確で、シュート精度の向上をポイントに上げていた。すると、帰国直後のゲームで鮮やかなミドルシュートを叩き込み、最終的に25年シーズンはJ1で28試合・6ゴールをマーク。今年1月のU-23アジアカップではU-21日本代表を優勝に導き、自身は大会MVPとトップスコアラーに輝いてまたひとつ壁を乗り越えた

 惜しくもA代表の北中米ワールドカップメンバーからは落選したが、その悔しさはまた佐藤の成長を支える原動力になるに違いない。バレンシアでも文化の違いやサッカースタイルの違いで戸惑いがあるかもしれないが、これも未来を見据えれば、大きな経験となる。

“壁”を乗り越えるために――。サッカーと向き合い続けてきた19歳の挑戦から目が離せない。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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