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数学教師の進路から芝居にのめり込んだ白柏寿大が語る「本当の自分を隠すために役へ没入する心地よさ」

数学教師の進路から芝居にのめり込んだ白柏寿大が語る「本当の自分を隠すために役へ没入する心地よさ」

大学在籍中は数学を専攻し、教職を目指していたという俳優・白柏寿大。そんな彼が、なぜ芸能界に興味を持ち、どのような経緯から活動をスタートさせたのか。白柏の芸能界入りのきっかけから、ターニングポイントとなった作品、プライベートでも遊ぶほど親交のある俳優仲間について聞いた。そして、最新作となるRICE on STAGE「ラブ米」~OKABO SONIC 2026~への意気込みも語ってもらった。
俳優業の魅力などを語った白柏寿大
俳優業の魅力などを語った白柏寿大 / 撮影=八木英里奈


■バイト先の先輩の影響で芸能界へ

――まずは芸能界に興味を持ったきっかけを教えてください。

学生時代から体育祭で応援団長をやるなど、人前に立つことが好きなタイプではありました。中学生の頃に放送していたドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」の中で、小栗旬さんが高跳びをやっていたのですが、ちょうどその頃、僕も体育の授業で高跳びがあったんです。得意な競技でしたし、校舎の窓から友人たちに応援してもらうこともあって、まるでドラマのワンシーンとリンクしているかのように感じました。そこで、芸能界という道もあるのかなと、ふと思ったんです。


――自分の日常とドラマの中の俳優さんの姿がリンクして、初めて俳優業を意識したんですね。

その後、大学進学のタイミングで地元・新潟から関東に出てきたのですが、バイト先の先輩に芸能活動をやっている方がいて、一気に興味がわいてきました。本格的に一歩を踏み出してみようと思い、最初はモデル志望で養成所に入ったのですが、芸能活動をやっていく中で芝居が好きな友達ができまして。その友達から芝居の話を聞いているうちに、自分も芝居の奥深さに惹かれてのめりこんでいった、という感じです。

――芝居のどこに惹かれたのでしょう?

大学では数学を専攻していたのですが、数学の世界では答えが必ずあるので、その答えを求めていくのが面白いと感じていました。でも、芝居はまったく逆。たったひとつの答えではなく、さまざまな正解があるところにすごく惹かれてしまったんです。そこから、いろいろなワークショップに行き、ご縁があって今の事務所に所属しました。

――では、バイト先の先輩に出会わなければ、もしかしたら違う道に進んでいた可能性も?

そうかもしれないですね。僕はもともと高校の教師になろうと思っていたのですが、本当にこのままでいいのかなという気持ちはずっとあって。理系を目指したのも高校時代の先生に「理系の方がカッコいいよ」と言われたのがきっかけでしたし、自分の中で特別やりたいことがあったわけでも、強い思いがあったわけでもないまま人生が進んでいる、という感覚があったんです。だから、芝居に出会えて本当によかったなと思っています。もう後戻りできないところまで来ちゃいましたが(笑)。

――後戻りというのは、俳優を辞めようと考えたこともあったということでしょうか?

具体的に考えたわけではありませんが、このままでいいのかなと立ち止まるタイミングはありましたね。とくにコロナ禍は僕だけではなく、たくさんの人がそういう岐路に立っていたのかなと。ただ、僕の場合はこの仕事以上にやりたいと思えることがなかったので、今も俳優を続けています。
白柏寿大
白柏寿大 / 撮影=八木英里奈


■「まほステ」での大きな出会い

――これまでの活動の中で、ターニングポイントになったと感じた作品や出来事はありますか?

新型コロナが落ち着きだした頃、舞台「魔法使いの約束」第2章に出演させてもらったのですが、そこであらためて俳優業をやっていきたいと決意することができました。それまでは共演者の人と仲良くなってもプライベートで遊ぶことはなかったのですが、「まほステ」では、尊敬できてプライベートでも遊ぶぐらい仲良くなれる人たちと出会えましたし、作品自体もとても素敵な作品だったので、この出会いには本当に感謝しています。

――「まほステ」メンバーでは、とくにどなたと仲がよいのですか?

キャスト全員が本当に仲良しではあるのですが、とくにプライベートで遊ぶのは、矢田悠祐さん、山田ジェームス武さん、和合真一さん、神永圭佑さんですね。僕は、“いい作品を作るために仲良くしましょう”というのはあまり好きではなくて、いい作品を作るためにみんなで戦った結果として仲良くなる、というのが理想的な形だと思っています。「まほステ」はまさにそれだったので、このメンバーといるとすごく居心地がいいんです。

――では、俳優として成長につながったと感じた出来事があれば教えてください。

すべての作品から何かしら得ているものがありますし、どの現場に入っても学ぶ姿勢は忘れずにいたいと思っています。ただ、今年の2月に出演した舞台「サラ・ベルナールの『サロメ』」では、久しぶりに「お芝居って、これこれこれ!」と、僕が最初にお芝居へのめりこんだときの感覚を思い出しました。

――具体的にはどのようなことですか?

養成所に通っていた頃、周りには自分だけの武器を持っている人たちがたくさんいました。僕には飛び道具といえるようなものがなかったので、それがすごくコンプレックスだったんです。でも、芝居をしているときだけは自分ではない別の誰かになれている、その感覚がすごく好きで。

今は大人になったので、人は人、自分は自分と割り切ることができるようになりましたが、当時の、本当の自分を隠すために役へ没入する心地よさみたいなものを「サロメ」で感じて。あの頃の感覚がまだ僕の中にあったんだ、いい意味で僕は変わらずにいるんだと思えてとてもうれしかったんです。
白柏寿大
白柏寿大 / 撮影=八木英里奈


■「ずっと必要とされ続ける俳優に」

――7月18日(土)に開幕するRICE on STAGE「ラブ米」~OKABO SONIC 2026~は、「ラブ米」シリーズ初のライブ公演となります。白柏さんはGAZEN BOYSの白瑞光役でご出演されますね。

「ラブ米」も最初に出演させていただいたのは9年ほど前になります。トークイベントや「ネルフェス2024」後夜祭でのパフォーマンスはありましたが、本公演に出演するのは久々ですし、すごく楽しみです。僕にとって「ラブ米」は、協調性の大切さと“まずはやってみる精神”を教えてもらった作品。今作でも「ラブ米」らしい面白さは健在ですし、大喜利もあるようなので、今から震えあがっています(笑)。

――そして「ラブ米」のあとには、舞台「プリズムの窓」で主演を務めますね。

ありがたいことに、久々に主演として立たせていただきます。少し難しいテーマの作品ではありますが、座組全体がのびのびとやれる空気感にしていけたらと思っていますし、本作では年下のキャストが多いので、老害にならないように(笑)、コミュニケーションを取るところは取って、引き締めるところは引き締めて、いい作品を作り上げていきたいです。

――将来的なビジョンについて考えていることがあれば教えてください。

ずっと必要とされ続ける俳優でありたいです。昔は技術よりも心の熱さがあれば伝わるだろうと思っていた部分もありましたが、今考えると、それは逃げだったなと思うことがあって。もちろん、心や思いの強さも大切ではありますが、僕の場合は技術が伴わない自分からの“逃げ”だったと思うんです。

今は経験も重ねて技術もしっかりとついてきている自信があるから、これからも役者としてのスキルを貪欲に磨いていきたいですし、現場で「この人がいたら安心する」と思ってもらえるような俳優を目指していけたらと思っています。

――忙しい日々の中で、リフレッシュになっていることやハマっていることがあれば教えてください。

まだハマっていることを認めたくないのですが、サウナです。「まほステ」大阪公演の大千秋楽の前日も、大海将一郎くんと2人で行きました。そういえば、「まほステ」の稽古初日にも将一郎くんとサウナに行っていたので、今回の「まほステ」は将一郎くんとのサウナで始まりサウナで終わりましたね。

――認めたくないというのは、どのような理由から?

単純に将一郎くんきっかけでハマるのがイヤだなという抵抗です(笑)。あとは、サウナには細かいルールがあるのですが、僕はまだちゃんと理解できていないので、ハマっているとまでは言えないかなと。

――オフの日はどのように過ごしていますか?

次の作品の台本が手元にあれば読んでいます。休みの日にも仕事をしている、というわけではなくて、読書をしている感覚に近いかもしれないです。新しい物語を知っていく瞬間はワクワクしますし、台本が届いて最初に目を通す瞬間が本当に大好きなんですよね。
白柏寿大
白柏寿大 / 撮影=八木英里奈


◆取材・文=榎本麻紀恵
ヘアメイク=田中宏昌
スタイリング=北村梓(Offce Shimarl)

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