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格下相手に苦戦が続く前回王者アルゼンチン。メッシの閃きにしがみつく傾向がますます強くなっている【W杯コラム】

格下相手に苦戦が続く前回王者アルゼンチン。メッシの閃きにしがみつく傾向がますます強くなっている【W杯コラム】


「アルゼンチンとはこういうものだ。おそらく、アルゼンチン人ではない者には理解できないだろう」と、エジプトとの死闘を制した後、リオネル・スカローニ監督は語った。

 前回王者のフットボールについて分かっていることは極めて少なく、指揮官も公の場でそれを説明することに多くの時間を割かない。この大会で唯一機能している要素であるリオネル・メッシを除いては、これまでの対戦相手の顔ぶれから別の展開を想像できたとしても、感情と抵抗力にすべてを委ねている。

 アルゼンチンが対峙してきたのは、格下の相手ばかりである。穏やかな道のりに見えたが、スイスとの準々決勝にたどり着いたのは、最後は必死に浸水を防ぎ、ボールを放り込んで逆転したからだ。そして、もちろん彼らにはメッシがいるからである。

 いかなる試合でも、エースを欠くことはできなかった。エジプト戦でも1ゴールを決め、ワールドカップの通算得点の最多記録を21に伸ばした。前回大会から9試合連続ゴールを達成し、決勝トーナメントでは6試合連続となった。「彼をロールモデルとするよう全員に伝えた。ペナルティキックを外した後も、ボールを要求してプレーし続けた」と指揮官は称賛した。背番号10の牽引とチームのレジリエンスがアルゼンチンの支えである。

 スカローニは「選手たちからは泣き虫と呼ばれているが、気にしていない」とも語った。彼だけではなくメッシも泣いており、逆転勝利を収めた後、誰もがアルゼンチンの逆境から立ち直る力に言及した。デ・パウルは「気持ちの勝利だ」と言い表した。

 スカローニが訴えるその感情的なアルゼンチンらしさと、展開されているフットボールの現実は、足下にボールがある時にメッシしか見つけられないチームの歩みを説明している。フリアン・アルバレス、エンソ・フェルナンデス、アレクシス・マク・アリステルといったカタール大会で台頭して理論上は成熟期を迎えてこの大会に臨んでいる若き主力たちがいる以上、本来は周りが支えると考えられていたにもかかわらず、39歳がチームメイトを引っ張っている。
 
 短いパスを繋いでゴールを目指すスタイルは、アイデア倒れで流れるようなプレーとして結実していない。すべての試合において、自陣で引いて守る時間帯や、一枚も二枚も格下の相手に劣勢を強いられる時間帯があった。エジプト戦での3ゴールはすべて放り込んだボールから生まれたものであり、アルゼンチンにとっては正統派とは言えない手段だった。総クロス数は21本に跳ね上がり、それまでの4試合の合計を上回った。

 苦闘に次ぐ苦闘のなか、スカローニは5試合すべてに勝利したと主張しているが、メッシの閃きにしがみついている傾向がますます強くなっているのが現状だ。指揮官が信頼を寄せているのは16人の選手に限られている。アルジェリア戦とヨルダン戦においてメッシのポジションで合計71分間起用されたニコ・パスはまだいいほうで、エセキエル・パラシオス、ロ・チェルソ、バレンティン・バルコ、ホセ・マヌエル・ロペス、ジュリアーノ・シメオネといった他の控え選手たちは消化試合だったヨルダン戦で姿を現しただけだった。

 劇的な逆転勝利を収めた気分の高揚のなかで、唯一自己批判を行ったのはエミリアーノ・マルティネスだった。

「0対2になった後、誰の助けにもなれないと感じてその感覚が嫌だった。これまで何度もチームメイトに救ってもらった。今度は俺の番だ」

 アルゼンチンは、メッシの驚異的な影響力と、刹那的な感情にしがみついて生きている。それ以上でも、それ以下でもない。

取材・文●ロレンソ・カロンヘ(エル・パイス紙)
翻訳●下村正幸

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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